柱や基礎に使われる木材を好んで食べるシロアリは、ときに住宅に甚大な被害をもたらし暮らしの安全を脅かす存在となります。
特に木材住宅にとってシロアリ被害は深刻な問題で定期的な点検と対策は不可欠といえます。
シロアリ被害の特徴やその対策、業者の選定方法、料金の相場などをわかりやすく解説します。
- 木造住宅の脅威、シロアリとは
- シロアリが住宅に及ぼす被害
- 住宅被害をもたらすシロアリの主な種類
- ヤマトシロアリ
- イエシロアリ
- アメリカカンザイシロアリ
- ダイコクシロアリ
- シロアリかも?こんな兆候や症状に注意
- シロアリの成虫がいる
- 蟻道がある
- 床や廊下がたわむ、戸の立て付けが悪くなる
- 雨漏りや水漏れがある
- プロが行うシロアリ駆除とは
- 土壌処理
- バリア工法
- シート工法
- コーキング工法
- ガラス粒材工法
- ベイト工法
- 木部処理
- 上回り処理
- シロアリ駆除の料金相場
- 見積もり前の点検、診断について
- 料金を左右する主な要素
- 追加料金にも注意
- 複数業者から見積もりを取る
- シロアリ駆除業者の選び方
- 資格を持つ施工士が在籍しているか
- 実績は十分か
- アフターフォローの体制は万全か
- 不要な契約の無理強いをしないか
- まとめ
木造住宅の脅威、シロアリとは
昆虫の一種であるシロアリは体長6mmから10mm前後の小さなアリで、木や土の中に巣を作って集団生活を行っています。
動物の死骸や植物遺体、木材、プラスチック、コンクリートなど様々なものを食べる雑食性を持ち、木造住宅の天敵として知られています。
シロアリは大きさや見た目、巣を作って集団生活を行う特徴などの点において、黒いアリとよく似ていますが、アリとシロアリはまったく異なった種類の昆虫で、アリが木を食べることはありません。
シロアリが住宅に及ぼす被害
雑食のシロアリですがその主食は木であり、住宅の床下や柱などに巣食うと厄介な存在となります。
シロアリ被害の恐ろしいところは、目に見えないところで少しずつ建材を浸食しながらダメージを与え、いつのまにか家がボロボロになる恐れがある点です。
基礎である床束や大きな柱などを食い荒らされた場合には、住宅が倒壊する恐れもゼロではありません。
住宅の至る所に発生する恐れのあるシロアリですが、特に被害が多いのは湿気が発生しやすい次のような場所です。
★床束
★柱、敷居
★屋根裏
★外壁の内側
★浴室、洗面所
★外周
木造住宅にとって脅威であるシロアリは、鉄筋コンクリートの住宅にとっても決して他人事ではありません。
その雑食性から鉄筋やコンクリートまでも食い荒らし、徐々にダメージを与えていきます。
木造住宅に比べるとその浸食のスピードや程度などのリスクは多少低くなりますが、鉄筋コンクリートの住宅であっても壁やフローリングの一部には木材が使用されていますし、断熱材なども被害を受けることがあります。
鉄筋コンクリートのマンションでもシロアリ被害に遭うケースはあるため、注意が必要です。
住宅被害をもたらすシロアリの主な種類
日本に生息している主なシロアリの種類は次のとおりです。
★ヤマトシロアリ
★イエシロアリ
★アメリカカンザイシロアリ
★ダイコクシロアリ
ヤマトシロアリ
ヤマトシロアリは北海道の北部などの寒冷地を除いて日本全国に生息している普通種で、住宅被害の大半を占めているシロアリです。
湿った環境を好むので土の中や床下などに生息しており、ひとつの巣には数千から2万匹というシロアリが存在します。
イエシロアリ
イエシロアリは主に関東以西南の暖地に生息する種類のシロアリで、巨大な巣に数十万から百万匹という大所帯を構えて集団生活を行っています。
イエシロアリの行動は広範囲に及ぶため、その被害も極めて甚大になるケースが多く、特に注意を要する危険種でもあります。
アメリカカンザイシロアリ
アメリカカンザイシロアリはメキシコ北部生まれのシロアリで、アメリカや中国、日本などの各地でも確認されている外来種です。
特に近年は日本でも、テレビの特集番組で紹介されるほど増加しているため注意が必要といわれています。
土の中ではなく木の中に巣を作るのが特徴で、蟻道や蟻土を作らないため一見して発見が難しいシロアリです。
ダイコクシロアリ
ダイコクシロアリは沖縄や小笠原諸島など、奄美大島以南で生息が確認されている種類です。
まだ本州では確認されていない希少種ですが、今後その生息範囲が拡がる恐れもゼロではありません。
これらのシロアリは甚大な被害をもたらすことから害虫として認識されていますが、自然界においては同時にセルロースという炭水化物を分解して土壌の栄養に還すなど、生態系を維持する益虫としての一面も持っています。
シロアリがセルロースを分解するプロセスについてはバイオ業界で様々な成分の製造に応用できる可能性があり、各方面で研究が行われていることも付け加えておきましょう。
シロアリかも?こんな兆候や症状に注意
シロアリ被害は徐々に進行していくものであるため、早期発見が被害を最小限に抑えるポイントになります。
わずかな兆候を手がかりにして対策を行うことで、柱が傾いたり床が抜けたりする前に被害を食い止めることができます。
シロアリ被害の兆候として意識的にチェックすべきポイントを解説しましょう。
次のようなケースはシロアリによる被害の疑いがあるため要注意です。
★シロアリの成虫がいる
★蟻道がある
★床や廊下がたわむ、戸の立て付けが悪くなる
★雨漏りや水漏れがある
シロアリの成虫がいる
もし自宅付近で羽の生えたシロアリを見たときはすでにシロアリ被害に遭っている恐れがあります。
シロアリは成虫になると羽が生えて巣の外に出ていくので、この時点ですでに巣が形成されていると考えられるためです。
自宅が被害に遭うことはあまり考えたくないものですが、見かけたシロアリの数が少なかったり目に見える被害が無かったりといった理由で放置することは厳禁です。
シロアリ被害は、虫歯のようなもので放置していても状態が良くなることはなく、悪化の一途を辿るだけです。
ごくわずかな兆候であっても楽観はできないので、大切な住宅のダメージを最小限に抑えるためには早急に手を打たねばなりません。
近所でシロアリ被害に遭った家があると、そこから移動してきたシロアリが近隣で巣を作るケースもあります。
蟻道がある
その名の通りアリの道を意味する蟻道は、土や木材などの中や表面に形成されるトンネル状の通り道のことです。
湿気や暗所を好むシロアリは、木材の破片や排泄物などを混ぜた蟻土によって蟻道を形成し、餌となる材料がある場所と巣の中の往来に使っています。
シロアリの蟻道は黒いアリが作るものと比べると硬く、人が手で軽く触るくらいでは崩れない程度にしっかりした造りになっているのが特徴です。
ただしアメリカカンザイシロアリやダイコクシロアリなど蟻道を作らない種類のシロアリもいるため、蟻道が見当たらないからといって必ずしもシロアリ被害が無いわけではありません。
蟻道は柱や壁、床下の基礎部分に使われるコンクリートなど様々な場所に作られるので、家の周囲を確認してみましょう。
もし家の周囲に蟻道らしきものを見つけた場合は、あわてて壊してはいけません。
見える範囲だけを取り除いても根本の解決に至らないケースが多く、蟻道はシロアリの生息範囲を知るための重要な手がかりでもあるため、シロアリ駆除業者に対応を依頼する際にそのままの状態を見てもらう方が好ましいケースがあるためです。
床や廊下がたわむ、戸の立て付けが悪くなる
シロアリは柱や壁、床などに使われる建材を食い荒らすため、症状が進行すると微妙なたわみやきしみといった症状を発生させます。
床や廊下を歩いたときにフワフワと浮いた状態になることがあるのもシロアリ被害の特徴的な症状ですが、これは建材の中に空洞ができてスカスカの状態になるためで、住宅の強度も著しく低下している危険な状態です。
壁を叩いてみたときに以前はなかった空洞音が確認できる場合も要注意です。
また微妙な傾きが発生するために戸の立て付けも悪くなり、実用面でも支障が出てきます。
もちろんこれらは通常の生活における損耗や老朽化などによって引き起こされる現象でもありますが、築年数の割に傷みが早いと感じた場合にはシロアリ被害も疑わなくてはなりません。
これらの症状がはっきり体感できる場合には見えない部分で相当進行している恐れがあります。
特に床下の点検を1年以上行っていない場合はすでにシロアリが住み着いている可能性があるため注意が必要です。
国土交通省が補助事業としてまとめているシロアリ被害実態調査報告書では、築年数が10年以上経過している場合にシロアリ被害のリスクが高まることが示されています。
一度被害を受けた住宅で再発するケースもあるため、年に1度は点検を行うことが好ましいでしょう。
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雨漏りや水漏れがある
屋根裏や洗面所、浴室などの付近にシロアリが巣食っていた場合、雨漏りや水漏れの原因となることがあります。
屋根材や瓦、排水管などを支えている下地部分が浸食されモロくなることによって水漏れが発生し、それにより湿度の高い状態となってシロアリの生息により適した環境となります。
逆に雨漏りや水漏れが原因でシロアリが発生する場合もあります。
水回りは損傷を受けると症状の進行も早いため、特に注意が必要です。
屋根裏の雨漏りは、居室の天井にシミができるなどの目に見える症状がなくても進行している場合があるので、定期的に点検を行う必要があります。
シロアリ被害は普段の生活で特別意識しない状態で確認できたときにはすでに手遅れといえるほど進行している場合もあるのです。
プロが行うシロアリ駆除とは
シロアリ対策には大きく分けて駆除と防除の2種類があります。
駆除は発生したシロアリを取り除くことで、防除はシロアリが住み着かないように予防を施すことです。
自宅で手軽に行える駆除や防除としては、殺虫剤を塗布したり見つけたシロアリを掃除機で吸引したりといった方法が挙げられます。
シロアリの駆除や防除を目的とした殺虫剤、防除剤はホームセンターやネットショッピングなどでも販売されています。
これらを購入して自分で対策を実施することは可能ですが、基本的にはプロの業者に対応を依頼することをおすすめします。
殺虫剤や掃除機などを使って対処ができるのはごく初期のシロアリ被害だけで、巣が大きく広がった中期から末期症状の場合は完全に対応を行うことは難しいためです。
一見シロアリがいなくなったように見えても床下の土や柱の中に潜んでいるシロアリをすべて駆除できているとは限りません。
わずかでも残っていればそこからまた繁殖して巣が大きくなり、被害が再発する恐れがあります。
そもそも症状が初期かどうかの見極めや被害範囲の正確な把握も素人には容易ではありません。
専門業者にシロアリ駆除を依頼する場合には当然費用がかかりますが、もっとも確実にシロアリを駆除できるベストな方策であるといえます。
プロが行うシロアリ駆除がどんなものかをご紹介しましょう。
★土壌処理
★木部処理
★上回り処理
土壌処理
シロアリの侵入経路は地中であることが多く、被害の大半も床下に集中しています。
シロアリを駆除、防除するための対策を侵入経路である土壌に施すのが土壌処理です。
土壌処理には主に次のような種類があります。
★バリア工法
★シート工法
★コーキング工法
★ガラス粒材工法
★ベイト工法
バリア工法
バリア工法は土壌の表面に薬剤を散布してバリアとなる防蟻層を形成することでシロアリの定着を防ぐ方法です。
使用する薬剤にも様々なものがありますが、あえて非忌避性薬剤を使い接触したシロアリが巣の中で薬剤を拡散させる伝播効果を狙った方法もあります。
シート工法
シート工法は薬剤を練り込んだシートを土壌に敷き込むことで、同様の効果を得られる工法、薬剤の散布による土壌や水質への汚染の心配がありません。
コーキング工法
コーキング工法は、薬剤を含ませてペースト状に加工したコーキング剤を侵入経路である基礎部分や配管まわりなどのコンクリート部分に塗る工法で、強い防蟻効果が得られます。
ガラス粒材工法
ガラス粒材工法は特殊加工を施したガラスを敷き詰めることで、進入を防ぎます。
通常の土壌処理に比べて効果が長く持続する工法です。
ベイト工法
ベイト工法は専用のステーション容器にベイト剤という殺虫効果のある餌を入れて地中に埋め込み、シロアリを媒介させて巣ごと全滅させる工法で、薬剤の影響が周囲に及ぶ心配がほとんどありません。
シロアリ被害に遭いやすい床下の木材は、同時に微生物や菌によって腐敗しやすい部位でもあります。
そのため建築基準法の第四九条においても、地面から1メートル以内の柱や筋交い、土台に対して、防腐措置や必要に応じて防蟻措置を講じることが定められています。
なお薬剤の効果は大体5年前後で失われるため、5年ごとに定期点検を受けて適切な処理を施しておくことが好ましいでしょう。
施工の保証期間も大体この期間を目安に設定されています。
木部処理
シロアリが好んで食べる木材を使った柱や土台部分に対して行う処理で、主に次の2つの工程に分けて行われます。
★穿孔注入処理
★吹き付け処理
穿孔注入処理は木材にドリルで穴を開けて、その中に薬剤を注入する形で行います。
穴には木栓を打ち込んでフタをすることにより薬剤の浸透効果を高めます。
穴の数は数ヵ所のこともあれば数十から数百におよぶこともあり、状況に応じて決められます。
吹き付け処理は柱や木材などの表面に薬剤を吹き付ける処理で、土壌処理のバリア工法に似た意味合いを持つ防蟻加工です。
穿孔注入と吹き付けのいずれも、どの範囲に処理を行うかの見極めが非常に難しい処理です。
素人が真似しようとしていたずらに柱に穴を開けることは強度の低下につながりますし、薬剤の吹き付けも正確に行わなければ効果は得られません。
まさにプロでなければ行えない専門業務といえるでしょう。
上回り処理
浴室や洗面所、玄関など、床下から処理を行うことが難しい場所に対して行う処理で、室内処理とも呼ばれることがあります。
床や壁などの表面に数mm程度の穴をあけて薬剤を注入する処理ですが、四方ノズルなどの専用機器を用いて高圧で注入することで薬剤を内部に十分浸透させることができます。
状況にもよりますが、施工は穴が目立ちにくい箇所を選んで行い薬剤の注入後にはセメントで表面の処理を施すため、跡が目立つことはそれほどありません。
床下に次いでシロアリ被害が多くみられる箇所である水回りや玄関に対する室内処理はシロアリ駆除の重要なパートです。
シロアリ駆除の料金相場
多くのシロアリ駆除業者では料金を施工する面積によって設定していることが多く、一般的な相場は1平米あたり3,500円前後といわれています。
これは坪単価に直すと約11,550円となります。
安いところでは1平米あたり1,200円、高いところでは5,000円近い値段を設定しているところもあります。
30平米の施工を依頼する場合を考えると単純計算で36,000円から150,000円までの幅となり、まさにピンからキリまでといえるでしょう。
駆除だけを行う場合と防除まで行う場合でも料金は変わってきます。
業者によっては料金体系を公開せず個別に見積もりを出しているところもあるので、相場も踏まえたうえでサービスの内容を勘案して料金の妥当性を判断することが大切です。
見積もり前の点検、診断について
実際に依頼をする際の正式な見積もりが作成される前に、業者が現地を訪問して状況を確認する点検や診断が行われるのが普通です。
シロアリがいるかもしれないので調べてほしい、シロアリが出たから駆除してほしいなど依頼の理由は様々ですが、業者も実際に現場を確認しなければ正確な見積もりを出すことはできません。
点検や診断は無料で行っているところもあれば有料のところもあります。
無料といっても実際には人が動くコストはかかっているので、施工する際の基本料金に含めていると考えるのが自然でしょう。
診断と施工それぞれで適正価格を設定するためにあえて診断も有料としている業者もあるため、施工を前提とする場合にはそれほど大差はありません。
被害があるかどうかわからないけれども念のために見てもらいたいという場合は無料診断のところを選ぶのが良いでしょう。
要施工と診断された場合には電話などで後追い営業が来ることもありますが、これも業者によって様々です。
料金を左右する主な要素
実際にシロアリ駆除を専門の業者に依頼するときの料金は次のような要素によって変わります。
★被害状況
★施工範囲
★シロアリの種類
★駆除方法
前述のようにシロアリ駆除の基本料金は面積によって決められているため、被害に気付かず放置していた期間が長いほど被害範囲が広がって費用も高額になります。
相場で考えると面積が10平米広がると費用が35,000円も跳ね上がることになります。
家のダメージだけでなく駆除費用を最小限に抑えるためにも早期発見、早期対策が必要であることを常に意識しておきましょう。
シロアリの種類によっても費用は異なり、最も多いヤマトシロアリに比べるとイエシロアリやアメリカカンザイシロアリの場合は費用が若干高めに設定される傾向にあります。
これは駆除方法や施工難易度の違いによるものですが、特にアメリカカンザイシロアリは巣や蟻道を作らないため発見が難しく、明確な駆除方法も確立されていません。
施工も一度ではなく長期にわたって複数回行う必要があるなど状況に応じた対応が必要になるため、見積もりを作成してもらうときに詳細の説明を聞いておくことをおすすめします。
相場ではヤマトシロアリ以外の種類は2割から5割増し程度になることが多いようです。
追加料金にも注意
ホームページなどで平米あたりの料金を公開している業者の場合も、実際には追加でオプション料金が必要になるケースがあります。
ホームページに掲載する料金は依頼を検討する際の大きな目安となるため、競合他社よりも優位に立つ目的であえてオプションを含まない最低線の基本料金を記載するケースが多くなります。
記載されている価格はあくまで最低料金で、見積もりはそこにある程度プラスされることを想定しておかねばなりません。
追加されることのあるオプションには次のようなものがあります。
★床下換気扇
★防カビシート
★調湿剤、防湿材
床下に湿気が滞留するのを防ぐために設置するのが床下換気扇です。
シロアリが発生する湿気対策としてとても効果のある方法ですが、床下換気扇自体が数万円近くする場合もあるうえに、電気代やメンテナンスなどにもコストがかかる点は頭に入れておく必要があります。
防カビシートや調湿材、防湿材なども場合によって追加で使用する場合があり、1平米あたり3,000円から5,000円前後の費用がかかります。
追加オプションは基本的に業者の判断に基づく提案によるものですが、万全を期すなら前向きに検討する必要があるでしょう。
複数業者から見積もりを取る
相場を知ったうえで依頼を検討する際でも、出してもらった見積もりの内容が妥当かの判断が難しい場合があります。
見積もりを取るのが1社だけの場合、どうしても判断が難しくなり、できれば3社前後から見積もりを取って比較してみることをおすすめします。
中には診断に来てもらった業者に悪いと感じたり、失礼ではと思ったりして相見積もりを敬遠する人もいるかもしれません。
業者の中には相見積もりを取るといえばイヤな顔をする人がいるのも事実ですが、相見積もり自体は消費者が持つ当然の権利のひとつです。
いくつか見積もりを取って検討するから時間がほしいと正直にいえば問題はありません。
ただし業者によって診断結果に基づく施工方法の方針の立て方にも違いが出てくるため、まったく同一の条件で比較ができない場合もあります。
このあたりが相見積もりの難しいところですが、値段が明らかに相場より高い場合でも単に除外するのではなく、その根拠を確認してみることも大切です。
良心的な業者は合理的な理由で適正な価格を設定しているため、その内訳について十分な説明をしてくれるでしょう。
シロアリ駆除業者の選び方
シロアリ駆除に限りませんが、専門業者は値段だけでなくサービスの質についてもピンからキリまで幅広く存在しています。
大切な住宅の施工を任せるわけですから優良な業者を選びたいところですが、中には悪質な業者がいることも事実です。
悪質業者の多くは突然住宅を訪れて無料診断を持ち掛け、強引にサービスやオプションの契約を迫ります。
シロアリ駆除に関する基本的な知識がなければ値段が妥当かも判断できませんが、相場を知っているが故に安い料金に飛びついて契約してしまうケースもあるため注意が必要です。
シロアリ駆除は完全に根治させる高度な技術を必要とするため、施工が不十分であればいずれ再発し住宅が蝕まれてしまいます。
ひどい業者になると特に問題がない住宅に持参したシロアリを撒いてあたかも被害に遭っているかのように見せかける、犯罪まがいの手口を用いることもあります。
このような悪質な業者に食い物にされないためにも、業者選びは慎重に行わなくてはなりません。
業者を選ぶときに最低限確認しておきたいポイントは次の3点です。
★資格を持つ施工士が在籍しているか
★実績は十分か
★アフターフォローの体制は万全か
★不要な契約の無理強いをしないか
資格を持つ施工士が在籍しているか
シロアリ駆除を行うのに必須となる資格はなく、知識や技術があれば誰でも施工を行うことができますが、これは質の悪い業者が混ざって業界を混乱させている現状を生んだひとつの背景ともいえます。
優良な業者を判断する目安のひとつに、公益社団法人であるしろあり対策協会が定めているしろあり防除施工士という資格があります。
この資格はシロアリ被害や対策に関する専門知識、安全管理基準、防除施工標準仕様などに精通した専門の施工士に与えられるもので、昭和39年の創設以降15,000人の有資格者が輩出されています。
優良なシロアリ駆除業者には必ずこの資格を有する施工士が在籍しているので、安全かつ確実な施工を行うことができます。
業者選びの際には必ず有資格者かとうかを確認するようにしましょう。
実績は十分か
資格とあわせて確認しておきたいのが、施工実績です。
豊富な実績を持つ業者は様々なケースについて施工経験があるため、常に状況に応じた適切な施工が行えます。
実績は件数だけでなく事業の継続年数にも注目しましょう。
対応エリアが狭い業者は、サービスを全国展開している大手業者に比べると実績の件数自体はそれほど伸びません。
しかし質の良いサービスを提供していれば事業は必ず消費者に理解され、長年の実績へとつながるものです。
もちろん実績が少なくても質の高いサービスを提供している業者もたくさんいるため一概にはいえませんが、業者選びの際には確認しておきたいポイントのひとつですのでホームページなどでチェックしておきましょう。
アフターフォローの体制は万全か
シロアリ駆除の施工後に被害が再発したり施工箇所に問題が発生したりした場合のフォローについても確認を行いましょう。
うまくシロアリを駆除できたかどうかは後になってみなければわかりません。
施工が十分でなかった場合はもちろんですが一度シロアリを駆除して症状を根治させた後でも、状況によって被害の再発は起こり得ます。
またシロアリが住み着いた、施工箇所に不具合が見つかったなどの場合に対応をしてもらうための保証サービスの有無は、ぜひとも確認しておきたい重要なポイントです。
サービスに自信を持っている業者は保証にも力を入れている傾向があり、万一被害が出た場合に修復を行う費用や、再施工といった部分について必ず保証の準備をしています。
保証やアフターフォローが万全な業者と、保証を一切行わずに施工をやりっぱなしという無責任な業者、どちらが優良であるかはいうまでもないでしょう。
駆除や防除に使用する薬剤の期限に合わせて5年保証を提供している形が一般的で、ほかに年に1度の定期診断を無料で実施している業者もあります。
アフターフォローができるだけ手厚い業者を選ぶことがポイントといえます。
場合によってはシロアリ保険への加入も検討するとよいでしょう。
不要な契約の無理強いをしないか
悪質な業者に共通する特徴として、契約を無理強いする点が挙げられます。
すぐに駆除をはじめないと倒壊の恐れがある、床下に換気扇を設置しないと必ず再発するなどと言って不安を煽り、急いで契約書にサインさせようとします。
冷静に考えると不自然だったり理不尽だったりなどのアラが見えてくるため、消費者に考える余裕を与えずに契約をさせようと迫ってくるのです。
このような業者は極めて危険なので、落ち着いて毅然とした態度で対応しましょう。
はじめに相見積もりを取っている旨を伝えるのも、明らかに不自然なオプションを入れさせないために有効な方法です。
まとめ
床下や水回りなどに巣を作って建材を食い荒らすシロアリは、住宅の天敵です。
日本ではヤマトシロアリやイエシロアリ、アメリカカンザイシロアリなどの種類が生息していて、木造住宅を中心に被害をもたらしています。
家の周辺に蟻道ができている、床や廊下がフワフワするなどの兆候が見られた場合はシロアリ被害に遭っている恐れがあるので、専門の駆除業者に対応を依頼しましょう。
料金の相場は1平米あたり3,500円前後ですが、被害状況やシロアリの種類などによっても変わってきます。
オプションなどの追加料金が発生する場合もあるので、見積もりをよく確認してから依頼を行うようにしましょう。