「カアカア」と大きな声で鳴いているカラス。普段カラスの鳴き声に悩まされている地域の方にとっては、不快に思う方も多いでしょう。しかし、カラスの鳴き声にはいろいろなバリエーションがあり、それぞれ異なる意味を持って仲間とのコミュニケーションをしているのです。その鳴き声の意味を知ってみると、いつもは不快に思うカラスの鳴き声が、ほんの少しだけ面白いものに感じるかもしれません。ここでは、カラスの鳴き声の意味について解説していくので、次にカラスの鳴き声を聞く機会があれば、耳をすませて意味を判別してみてください。
カラスの鳴き声の意味｜仲間への合図や警戒など
意外にもカラスの鳴き声は40以上もの種類があるといわれており、これらを使い分けて仲間と連携をとっています。ただ、すべての鳴き声の意味は分かっておらず、いまだカラスは謎の多い生き物なのです。ここでは、カラスがほかの個体とコミュニケーションを取るときに使われることが多い鳴き声の意味について解説します。
まずは、カラスが飛んでいくときに「カァ～カァ～」と鳴いているのは、人間でいう「点呼」と近い意味の鳴き声。複数のカラスで目的地に向かう際、はぐれてないよう鳴き声で確認を取ります。
また、朝に耳にすることの多い「カアッ、カアッ、カアッ」という短く途切れたような鳴き声は、縄張りを主張しているときの合図。それでも縄張りから離れない場合「カァァ、カァァ」と威嚇をし、最終的には「ガァッ！ガァッ！」と怒ったような鳴き声で攻撃をしてくるのです。
カラスの種類によって鳴き声が違います
一見どれも同じように見えるカラスですが、じつは「ハシブトガラス」と「ハシボソガラス」の2種類いることはご存じでしたでしょうか？カラスの鳴き声は、カラスの種類によっても鳴き方が異なります。それぞれどう見分ければよいのか特徴を見てみましょう。
ハシブトガラスは、頭とくちばしがやや丸みを帯びた形になっており、跳ねるような歩き方をするのが特徴です。とくに都会で見かけることの多いカラスであり、「カァー」といった濁りの少ない声で鳴きます。
もう一方のハシボソガラスは、ハシブトガラスよりもシャープでまっすぐな頭とくちばしの形をしており、二足でしっかりと歩きます。こちらは草原などの自然の多い場所に生息しやすい種類であり、「ガァー」といった濁りの感じる声で鳴くのが特徴的です。もし家の近くにカラスがいる場合はこれらの特徴を確認して、種類を判別してみるとよいでしょう。
カラスが鳴く理由ってなに？昼と夜で異なる鳴き声
カラスの鳴き声は、昼か夜どちらで鳴くかによっても意味が変わってきます。カラスの体色からして夜の鳥というイメージがある方も多いかもしれませんが、実は昼行性であり昼の時間帯に鳴くほうが多いのです。
カラスが昼に鳴くのは、おもに仲間とのコミュニケーションや敵への威嚇がメインとなります。また、何かに興奮して鳴いているケースも多いようです。たとえば良いエサを捕まえてきたとき、仲間に知らせるために鳴くことも。さらに、巣が壊れていたなどのトラブルがあったときに、つい興奮して大きな声で鳴いてしまうなど、人間味を感じるようなしぐさを見せるときがあるのです。
なお、夜はおもな活動時間ではないですが、エサを見つけたときなど興奮したときに鳴くことがあります。さらに、カラスは人の顔を覚えるほど頭の良い鳥で、夜にゴミ出しをしている人の姿を覚えてそのゴミの中に入っているエサを待ち伏せしていることもあるそうです。
カラスが鳴く回数に意味はある？
たとえ同じ音でも、カラスが鳴く回数によって意味が異なります。たとえば1～3回カラスが鳴いている場合は、仲間とのコミュニケーションをしているとされています。1回の場合はほかのカラスとの挨拶、2回の場合は空腹や注意を伝えるため、3回の場合は満足したときや自分の位置を知らせるなど、同じ回数の鳴き声でも別の意味が込められている場合があります。
さらに、4～6回鳴く場合は敵が来たときなどの緊急時に連携するため、7～8回の場合は仲間を集めたり、群れのリーダーが指示を出したりするときの合図の意味があるそうです。また、回数だけでなく「鳴き方」によって別の意味として仲間に伝えていることも。
このように、普段何気なく鳴いているように見えるカラスには、奥深いコミュニケーションの意味が込められてるのです。家の近くにカラスがいる場合は、どんな意味で鳴いているのか一度耳を澄ませてみるのもよいでしょう。
