姿や形がアライグマやハクビシンと似ているため、見間違えてしまうことも多いアナグマ。そんなアナグマも農作物を食い荒らすこともある害獣のひとつです。そのため、アナグマを見つけたら農作物に被害が広がる前に早めの対策が必要になるでしょう。
ただしアナグマかと思ったらまた別の動物と見間違えるケースも考えられるので、アナグマの見た目や特徴もよく知ることも大事です。そこで今回は、アナグマの特徴や見分け方、対策をおこなう際の注意点について解説していきます。
アナグマの特徴|意外と温厚なその生態
日本に住んでるアナグマの多くは、「ニホンアナグマ」という在来種です。おもに本州・四国・九州あたりの地域で生息がみられ、ネズミやモグラなどの肉や植物の根などを食べて暮らしています。性格は温厚なほうで、警戒心も比較的少なく、人に慣れることもあるのです。
ニホンアナグマの見た目は白~灰色をベースとした体に、黒い足と黒い鼻。そして目の周りには、縦に黒い筋が通ったような模様が付いています。体長は約40~50cmほどまで大きくなり、6~12cmほどの短いしっぽがあるのが特徴です。これらの点に当てはまる姿をしたイタチのような動物は、ニホンアナグマである可能性が高いでしょう。
また、ニホンアナグマの子どもはメス1匹を除いて親元を離れていき、残ったメスが母親が次に出産した子の面倒を見ていく習性を持っています。そのため、基本的には単独もしくは親子で見かけるケースも多いです。
アナグマによく似た生物|見間違いに注意!
アナグマは特徴を知っていれば判別しやすいですが、ほかの動物にも似た形をしているものがいるため注意が必要です。ここで、アナグマと間違えやすい動物の例を3種ご紹介しましょう。
1.ハクビシン
体長は51~76cmほどとアナグマよりもやや大きく、全体的に細長い体をしているのがハクビシンです。体色が黒っぽく、また鼻先から白いすじが伸びているため、特徴を知っていれば見分けるのは難しくないでしょう。
2.タヌキ
体長50~80cmで黒い鼻と足、灰褐色の見た目が多いことから、アナグマと間違えがちなのがこのタヌキです。「同じ穴のムジナ」の語源となるほど両者は似ていますが、タヌキはアナグマ特有の目の縦黒模様がないので見分けることは可能です。
3.アライグマ
見た目はタヌキに近く、灰色に近い体を持ったものがアライグマ。しっぽに特有のシマ模様があるため、判別が難しいときはここを見ておくと分かりやすいです。
アナグマが人間にもたらす”2つ”の被害
アナグマの性格は温厚ですが、食生活やその習性からときとして人間の生活をおびやかす害獣になってしまうこともあります。たとえば、以下の被害が発生する可能性があるのです。
・被害1.農作物の食害
アナグマは肉や昆虫だけでなく、野菜や木の実なども食べる雑食性の動物です。基本的には山や森にいる獲物を獲って食べるのですが、近くに食料がなくなってしまうと人里まで移動し、畑の食物を食いあらすことがあります。シカやイノシシほどではないものの、アナグマの作物への食害も気をつけたほうがよいでしょう。
・被害2.建物の倒壊
アナグマはその名前の通り、地面に穴を掘って巣を作る習性があります。基本的にはその同じ巣をずっと使い続けることになり、時間が経つにつれ穴はやがて大きくなっていくのです。もしその穴の位置が建物の下であった場合、地盤が緩くなることで建物が倒壊する恐れもあります。
アナグマの勝手な駆除はNG!罪になることも……
アナグマが原因で作物が食べられたり、建物の地盤が低下したりしないようにするためには、手遅れになる前にアナグマ対策をすることが必要です。しかし、アナグマはむやみに駆除をしてよいものではありません。アナグマは「鳥獣保護管理法」という法律で保護されているため、許可なく捕獲や駆除をしてはいけないのです。
アナグマ捕獲・駆除をするためには、多くの場合「狩猟免許」という届け出が求められます。このように、狩猟について長けている人でない限りは、アナグマに手をだすことは出来ないのです。
ちなみに、鳥獣保護管理法を破ってアナグマを捕獲・駆除してしまうと、懲役1年以下または100万円以下の罰金が科せられます。もしアナグマを見かけたときは、無理に手を出そうとせず、捕獲・駆除以外の手段で冷静に対処しなければなりません。
アナグマは駆除ではなく追い払おう!
アナグマは鳥獣保護管理法により捕獲・駆除ができませんが、アナグマが入らないように侵入口をふさぐ、刺激を与えて遠ざけさせるといった方法でなら、対策が可能です。たとえば、以下の方法であれば狩猟免許がなくともアナグマを対処できます。
・柵で囲いを作る
農作物の周りを柵で囲むことで侵入を防ぐ方法です。とくに電気柵は、触れたアナグマが感電すると痛い目を見たことを学習するため、忌避効果も期待できます。
・嫌な音や光を出して追い出す
害獣用の対策グッズのなかには、動物にとって不快となる超音波や光を出す装置があります。近づいたアナグマを追い出す効果が期待できるため、設置してみるのもよいでしょう。
・天敵となる動物を飼う
アナグマの仲間はオオカミを苦手としています。そのため、近い種である犬を番犬として飼うことで対策になる、ということもありますよ。