鳩やカラスなど普段の生活圏内でも見かける機会の多い野鳥ですが、ときとして死骸という姿で発見してしまうケースもあります。そんなとき、どう対処すればいいのか迷ってしまう方もいらっしゃるでしょう。かわいそうに思い、供養をしてあげたくなる気持ちもあるかもしれませんが、野鳥に触れることはリスクが高い行為なので避けるべきです。
この記事では、野鳥の死骸を見つけてしまったときの対処方法や野鳥の死骸に近づくリスクなどについて詳しく解説していきます。
野鳥の死骸の危険性|素手で触るのは厳禁!
鳩やカラスなどの野鳥全般にいえることですが、野生で暮らしている野鳥はさまざまな菌やウイルスなどの病原体を持っている可能性があり、基本的に死骸に触れることは厳禁です。たとえば、野鳥の死骸に触れることで以下のような病気や菌の感染のリスクがあります。野鳥にむやみに近づくことは、ほぼデメリットしかないため極力接触を避けるようにしてください。
・鳥インフルエンザ
鳥から人に感染することがあるインフルエンザ。感染者数は少ないものの、死亡例もある怖い病気。
・サルモネラ菌
感染すると、腹痛・嘔吐・下痢などの症状がでてしまう。
・オウム病
高熱が出てしまう。野鳥のフンなどから感染するケースがある。
・トキソプラズマ病
体長をくずしたり発熱をおこしたりなど。胎児にも影響を及ぼすほど危険な病気。
・ダニなどの寄生虫
人間の皮膚などに噛みつき、アレルギー発症の原因になる可能性がある。
野鳥の死骸を発見したときの対応
野鳥の死骸を見つけたら、まずは状況を確認して的確な対処をすることが肝心です。以下に状況別で対処法をまとめましたので参考にしてみてください。
・死骸の数が5匹以上→すぐに自治体や業者へ連絡
野鳥の死因が鳥インフルエンザの可能性があります。早めに自治体または業者に連絡して対応してもらうようにしてください。
・4匹以下で集合住宅にある死骸→管理会社(大家さん)へ相談
マンションやアパートなどの敷地の場合は管理会社の責任範囲内になるため、一度管理会社へ相談しましょう。
・4匹以下で自宅にある死骸→自分で対処する
自身の敷地内で死骸がある場合は、自分での対処が基本です。ただ1人で対処するのが難しい、水鳥・猛禽類である場合は業者や環境事業所に相談するのがよいでしょう。
・公共の場(道路や公園など)で死骸がある→自治体へ連絡
まずは自治体へ連絡。無理に自力で対処する必要はありません。
自分でもできる野鳥の死骸の処理方法
自分で野鳥の死骸を処理する必要があるときは、以下の道具を用意してからおこなうようにしましょう。野鳥の体にはさまざまな菌が付いている可能性が高いため、間違っても素手で触ることのないようにしてください。なお、ゴミとしての処分ではなく土葬したい場合は、穴を掘るためのスコップも必要になるでしょう。
【死骸処理に必要な道具】
・ゴム手袋
・ゴミ袋
・トング
必要な道具を用意したら、あとは簡単な作業だけで済みます。ゴム手袋を装着してトングを使って死骸をつかみ、ゴミ袋に入れて縛るだけです。このときゴミ袋の口や外側に死骸が触れると、菌が移る可能性があるので慎重に入れましょう。その後、可燃ごみ扱いとしてお住まいの自治体が指定する曜日にゴミとして出すようにしてください。ただ、自治体によっては野鳥の死骸がゴミに出せない場合もあります。念のため、処分するまえに自治体へ相談しておくのがよいですね。
鳥の死骸は”はく製”として利用してもらえることも!
じつは、自分で死骸を処理する方法はゴミ処分や土葬だけではありません。野鳥の死骸を自然史博物館や専門の剥製業者などに持ち込み、剥製として利用してもらう方法もあるのです。もし野鳥のゴミ処分がかわいそうに感じるのであれば一度検討してみるのも悪くありません。ただし、剥製をするためには条件があるためご注意ください。
その条件とは、「へい死体鳥獣拾得届」を都道府県の環境管理事務所へ提出することです。これは、死骸を密猟で得たものではないことを証明する届け出になります。これを提出して認められることでようやく持込が可能となるので、必要な手続きを忘れずにおこないましょう。なお、届け出には拾った日付や場所などを記入する必要があります。
また、死骸の状態によっては剥製にできない可能性もあるので注意が必要です。そのため、剥製はあくまで選択のひとつとして考えてください。
野鳥が町中・住宅街で死んでしまう原因
最後に、野鳥の死因について3点ほど解説しましょう。野鳥の具体的な死因を把握することで、適切な対処が取りやすくなります。
・ガラスへの衝突
きれいに磨かれたガラスの場合、野鳥がガラスを認識できずに誤ってぶつかり死亡するケースは意外にも多いです。また、ガラスに反射して移った木を見て飛び込んで衝突したことも考えられます。この場合、野鳥が認識違いをしないように、色のついたブラインドなどを使用すれば今後の対策になるでしょう。
・農薬や殺虫剤にかかった虫を食べた
農薬などの強力な薬剤の入った虫を食べると、野鳥がその薬剤により死んでしまう可能性があります。農薬を使わないか、薬で駆除した虫を放置せずに処分することが今後の対策として重要でしょう。
・病気による死亡
原因が見当たらない場合、病気による死因も考えられます。鳥インフルエンザも考えられるので、自治体や業者に対処を任せたほうがよいでしょう。