ふと空を見上げたときに飛んでいる姿を見かけるほど、人間の身近で生活しているカラス。そんなカラスを見ながら「カラスって飼えるのかな」と疑問に感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
結論からいいますとカラスの飼育は不可能ではありませんが、現実的な話ではありません。なぜなら、カラスを飼育するにあたっては法律の面・手間の面での障害が大きいからです。
この記事では、もしカラスを飼いたいと思ったときに知っておくことについて解説していきます。
カラスは「鳥獣保護管理法」の対象です

はじめに覚えておきたいのが、野生のカラスを持ち帰って飼育することは原則としてできません。カラスに限りませんが、そもそも野生で暮らしているほとんどの動物は「鳥獣保護法」によって保護されています。許可なく攻撃したり捕獲したりすると、違法行為となってしまうのです。
なぜこのような法律があるのかといいますと、自然界の生態系バランスが崩れるのを防ぐためです。人間にとっては厄介なカラスでも人間が勝手に捕獲して数を減らしてしまえば、カラスの天敵となる生き物やカラスの捕食対象の数に影響が出てしまいます。
さらに悪影響が他の生き物まで広がることで、やがて自然環境が悪くなる可能性があるため、このような法律で守られているのです。この話はカラス以外の鳩やスズメなどの鳥類にもいえるため、間違って捕獲しないようにしましょう。
カラスを飼育できる可能性があるケース

鳥獣保護管理法で守られているカラスですが、以下3つの手段であれば飼育できる可能性があります。ただし、家にお迎えするまでのハードルはいずれも高いです。
・ペットショップでの購入
非常にまれなことですが、カラスを扱っているペットショップもあります。ペットショップ経由での飼育は基本的に法律上問題ありません。
・やむを得ず保護するとき
カラスがケガをしている、息はあるが倒れているといった場合に限り、一時的な保護ができる場合があります。ただし、保護したらすぐに役所へ許可を申請しなければなりません。
・鳥獣保護管理法の範囲内での捕獲
鳥獣保護管理法では例外として「狩猟期間」という限定された時期のみ、許可を得て捕獲や飼育をすることができる場合があります。ただし、住んでいる地域によってはペット目的の捕獲を禁止していることもあるため注意が必要です。
落ちているカラスのヒナは保護すべき?

まれにカラスのヒナが道端に落ちていることがありますが、その場合は安易にカラスのヒナに触らないようにしてください。多くの場合カラスのヒナの近くには親のカラスがいて、カラスのヒナに飛ぶ練習をさせています。このとき、ヒナに近づいたり触ったりしてしまうと、親ガラスが危険を感じて育児放棄をしてしまうのです。
そのため、落ちているヒナをかわいそうと思っても周りの状況を冷静に見ておくことが大切。もし近くに親ガラスがいるのであれば、心配はいりません。親ガラスの姿が見えず、かつ衰弱している場合でなければカラスのヒナに極力手を出すべきではないのです。
また、カラスのヒナをほかの動物が狙っている場合もあります。ヒナを保護しようと近づくと、横取りされたと感じた動物や鳥に襲われる可能性があるので注意が必要です。
それでもカラスを飼育する場合は

もし、保護したカラスを飼育することになった場合は、最後まで責任を持って育ててあげてください。ここでは、飼育するときに知っておきたい点を解説していきます。
・カラスは知能が高い
カラスはほかの鳥よりも脳が大きくて知能がとても高いため懐きやすいです。人間の言葉を覚えたり、硬い食べ物を割って食べたりすることもあります。
・飼育難易度が高い
カラスは50~55cmものサイズになり、大きな鳥かごが必要になるため広い飼育スペースが必要です。さらに、毎日の水浴びや定期的な日光浴も必要となります。食事は、食べ物ならなんでも食べることができますが、チョコレートやアボカドなど毒になる食材もあります。
・人間側の健康リスクがある
野生のカラスの場合、体に多くの雑菌が付いているため菌が人間に感染するリスクがあります。保護を始めたばかりのころはとくに気をつけましょう。
