サムラッチ錠とは?特徴や仕組みを解説
サムラッチ錠とは、ハンドルの上部にあるつまみを親指で押し下げ、ラッチを動かしてドアを開閉するタイプの鍵です。親指(サム)でラッチを操作することから、この名が付けられました。
彫刻の入ったデザインなど装飾性が高いことから、「装飾錠」とも呼ばれます。
つまみ(サムピース)を押し下げると、ドアの側面にある三角形の部品(ラッチ)が引っ込み、ハンドルを引くことでドアが開く仕組みです。
サムラッチ錠の各部における名称を、以下の図解にまとめました。交換する部品を確認する際の参考にしてみてください。
サムラッチ錠を購入する前に確認すること
サムラッチ錠は、見た目が似ていても取り付けられるとは限りません。また、ハンドルのサイズや錠前の寸法などが合わなければ、正常に取り付けられない可能性があります。
メーカーやサイズ、寸法を確認せずに部品を購入してしまうのは、DIYに起こりやすい失敗の一つです。失敗なく交換できるよう、新しいサムラッチ錠を購入する前に、以下の3点を確認しておきましょう。
- メーカー・型番
- ハンドルのサイズ・室内側の取っ手の形状
- 錠前・ドアの寸法
メーカー・型番がわかれば、それだけで交換用のサムラッチ錠を選べると認識している方も少なくありません。
しかし、メーカーの型番だけでは交換部品を特定できない場合があります。同じ型番が記載されていても仕様が異なる場合があるため、購入前に既存の錠の形状や各部の寸法を測り、商品の対応サイズと一致しているか調べる必要があります。
メーカー・型番
まずは、現在取り付けられているサムラッチ錠のメーカーと型番を確認しましょう。
メーカーによって部品の形状や取り付け方法などが異なり、同じメーカーでも型番によってサイズや仕様が違います。既存のものと新しい部品の規格や寸法が合わなければ、取り付けられなかったり、ドアの加工が必要になったりする場合があります。
メーカー名と型番は、ドアを開けた側面にあるフロント部分に刻印されている製品が多いです。室内側のサムターン付近にメーカー名が刻印されている製品もあります。

刻印を確認したら、メーカーの公式サイトや取扱説明書で、対応する交換用の製品を調べてみてください。廃番になっている場合は、メーカーが案内する後継品や代替製品を選びましょう。
ハンドルのサイズ・室内側の取っ手の形状
次に、ハンドルのサイズと、室内側の取っ手の形状を確認します。

ハンドルのサイズが合わない製品を選ぶと、取り付け自体ができなくなる可能性があります。また、無理に交換すると動作不良を起こすほか、ドアとの間に隙間が生じ、防犯性の低下を招きかねません。
あわせて、室内側がサムラッチ型なのか、丸いドアノブ型なのかも確認しておきましょう。室内側のタイプによって購入する製品が変わります。
以下の記事では、ドアノブの種類ごとの交換方法や費用相場を紹介しています。室内側が丸いドアノブの場合は、あわせてご覧ください。
関連記事:ドアノブ交換は自分でできる?方法・費用相場と業者依頼の目安を解説
錠前・ドアの寸法
錠前(ドアを施錠・解錠するための部品全体を指すもの)とドアの寸法は、バックセット(ドア端からシリンダー中心までの距離)・ドアの厚み・フロントの大きさ・ビスピッチ(上下のビスの間隔)の4点を採寸します。

交換用のサムラッチ錠は、対応するバックセットやドアの厚みが製品ごとに決められているためです。
例えば、長沢製作所のサムラッチ錠は、バックセットが60mmの製品があり、対応するドアの厚みは製品によって30〜40mmや32〜42mmと定められています。各寸法が数mm違うだけで取り付けられない場合もあるため、購入前に正確に採寸しておきましょう。
ビスピッチの正しい測り方は、上下のビスの中心から中心までの距離を測る方法です。ビスの端から測ると数値がずれてしまうため、測る位置を間違えないよう注意してください。
採寸した数値を控えておけば、鍵専門店やホームセンターなどで製品を選ぶときや、鍵屋に相談する際にも、必要な寸法や取り付け条件をスムーズに確認・伝達できます。
サムラッチ錠を自分で交換する方法【5ステップ】
新しい製品を用意できたら、自分でサムラッチ錠を交換(DIY)します。作業を始める前に、必要な工具を揃えておきましょう。
サムラッチ錠の交換に使う主な工具と用途は、以下の表のとおりです。
ビスのサイズに合わないドライバーを使うと、ビスの溝がつぶれて外せなくなるおそれがあります。手持ちのドライバーが使えるか、あらかじめ確認しておいてください。
また、作業を始める前には、ドアストッパーなどを用いてドアを開けた状態で固定しておきましょう。作業中にドアが閉まると、解錠できず締め出されるおそれがあります。
サムラッチ錠をDIYで交換する手順は、以下の5ステップです。
- ステップ1.ビスを外してハンドルを取り外す
- ステップ2.フロントのビスを外して錠ケースを取り外す
- ステップ3.新しいケースを入れてビスで固定する
- ステップ4.ハンドルを仮止めで取り付ける
- ステップ5.鍵を取り付けて本締めする
それぞれの手順を順番に解説します。
なお、細かな手順は、製品によって異なります。ここでは一般的な流れを紹介しているので、実際の作業では製品の取扱説明書を確認しながら進めてみてください。
ステップ1.ビスを外してハンドルを取り外す
まず、室内側と室外側のビスをすべて外してから、ハンドルを取り外します。
ビスの位置は製品によって異なります。よく見られる配置は、室内側ではサムターンの両脇に2ヵ所とハンドルの下に1ヵ所、室外側ではドアノブの下部分に1ヵ所、ビスが設けられているタイプです。
すべてのビスを外したら、室内側と室外側のハンドルをそれぞれ引き抜きます。

室内側が丸いドアノブの場合は、まずは丸いドアノブのビスを外します。その後、室外側のハンドルに付いているビスを外せば、内外のハンドルを取り外すことが可能です。
中には、ドアノブにビスが付いていない製品もあります。その場合は、丸いドアノブの根元付近(丸座)を持ち、反時計回りに回して取り外してください。
ビスを外してもドアノブを取り外せない場合は、製品によって取り外し方が異なるため、無理に工具を差し込まず、メーカーの取扱説明書などで手順を確認してください。
ステップ2.フロントのビスを外して錠ケースを取り外す
次に、フロント(ドア側面に見える金属製の板)の上下に付いているビスを外し、錠ケースを引き抜きます。

ビスを外しても錠ケースを引き抜けない場合は、無理にこじらず、製品の取扱説明書を確認してください。取り外し方がわからない場合や固着している場合は、鍵屋へ相談しましょう。
ステップ3.新しいケースを入れてビスで固定する
新しい錠ケースをドアの側面の穴に差し込み、フロントのビスで固定します。

ビスの位置が合わない・ケースが正しい位置に収まらないといった場合は、追加の穴あけや切り欠き(ドアの一部を削って取り付けスペースを作る作業)など、ドアの加工が必要な状態です。
加工が必要になった場合は、無理にDIYを続けず、鍵屋へ相談することを推奨します。加工に失敗すると、位置がずれてやり直しがきかず、錠前を正しく取り付けられなくなったり、ドア自体の修理や交換が必要になったりするおそれがあります。
ステップ4.ハンドルを仮止めで取り付ける
ケースを固定できたら、次はハンドルの仮止めです。

室外側のハンドルをドアに当てがい、室内側のハンドルをビスで留めて固定します。このとき、室外側のハンドルの軸が錠ケースに正しく入っていないと、サムピースを押してもラッチが動かずドアを開けられません。
位置を調整できるように、この段階では仮止め程度に締めておくのがコツです。本締めは、鍵を取り付けたあとです。
ステップ5.鍵を取り付けて本締めする
最後に、シリンダーとサムターンを取り付けて本締めします。

室外側のシリンダーを錠ケースの穴に合わせて差し込み、室内側のサムターンをビスで固定します。その後、仮止めしていたハンドルを本締めすれば、取り付けは完了です。
ドアを開けたまま、鍵の施錠・解錠と、サムピースを押してラッチが出入りするかを確認してからドアを閉めましょう。ラッチの動きに引っかかりがある場合は、ハンドルを仮止めに戻して位置を調整します。
サムラッチ錠の交換にかかる費用相場
サムラッチ錠の交換にかかる費用は、自分で交換するか、鍵屋へ依頼するかで異なります。
それぞれの費用の内訳を整理しつつ、目安となる費用相場を見ていきましょう。予算を踏まえながら、どちらの方法が適しているか検討してみてください。
自分で交換する場合の費用相場
自分で交換する場合にかかる費用は、取り替えるサムラッチ錠の部品代が中心です。自宅に工具がない場合は、ドライバーなどの工具を購入する費用もかかります。
交換用のサムラッチ錠は、鍵専門店やホームセンター、ネット通販などで購入が可能です。商品によってはハンドルやシリンダーなどの部品単体で販売されているほか、外ハンドル・内ハンドル・シリンダー・錠ケースなどが一式になったセット商品もあります。
予算を抑えて単品で部品を購入したい場合は、不具合が発生している箇所を正しく特定する必要があります。
例えば、鍵が回りにくい場合でも、必ずしもシリンダーだけに原因があるとは限らず、錠ケースなど別の部品に不具合が生じているケースも少なくありません。原因を特定しないまま部品を購入すると、交換しても症状が改善せず、結果的に余計な費用がかかってしまう可能性があります。
自分で原因を特定するのが難しい場合は、鍵屋に点検・交換を依頼しましょう。不具合の原因を確認したうえで、必要な交換箇所を判断してもらえます。
鍵屋へ依頼する場合の費用相場
鍵屋へ依頼する場合の費用は、交換する部品の部品代に加えて、工事費がかかります。依頼する業者やエリアによっては、別途出張費が発生する場合もあります。
部品代は、仕入れ価格や在庫管理などを踏まえて各鍵屋が販売価格を設定しています。スタッフの工事費は、交換する部品や作業内容、ドアの加工が必要かどうかなどによって異なります。出張費は、現場までの距離や時間帯(夜間・早朝など)によって加算される場合があります。
鍵屋へ依頼した場合の、工事内容別における総額の費用相場は以下のとおりです。
※費用に含まれる部品代・作業費・出張費などは鍵屋によって異なります。
自分で交換する場合と比べて費用がかかりやすいものの、製品選びから取り付けまで任せられるのは鍵屋へ依頼するメリットです。また、専門的な知識と技術をもとに正確に取り付けてもらえるため、交換後に動作不良が発生するリスクも抑えられます。
鍵屋へ依頼する際は、作業前に見積もりを確認しましょう。総額だけでなく、部品代や工事費、出張費などの内訳や、追加料金が発生する条件も確認しておくと安心です。
サムラッチ錠の交換を鍵屋へ依頼したほうが良いケース
サムラッチ錠は、状況によって自分で交換せず、鍵屋へ依頼したほうが良いケースもあります。鍵屋へ依頼すると、失敗のリスクを回避したり、防犯性を高めたりしやすくなるためです。
鍵屋へ依頼したほうがよいケースは、以下の3つです。
- ドアの加工が必要になる
- 交換用のサムラッチ錠がわからない
- 玄関ドアの防犯性を高めたい
それぞれ解説します。
ドアの加工が必要になる
追加の穴あけや切り欠き(ドアの一部を削って取り付けスペースを作る作業)など、ドアの加工が必要な場合は鍵屋へ依頼しましょう。
位置や寸法を間違え加工すれば、錠前を取り付けられなくなる可能性があります。また、加工によってドアが大きく損傷した場合は、ドアの修理・交換費用まで負担することになりかねません。
鍵屋であれば、ドアや錠前の寸法を正確に測り、取り付ける製品に合わせて必要な加工を施せます。そのため、加工が絡む交換は自分で対応せず、プロである鍵屋に任せるのが無難です。
交換用のサムラッチ錠がわからない
交換用のサムラッチ錠がわからないときも、鍵屋へ相談してみてください。
サムラッチ錠は、同じメーカー・型番だからといって、交換部品を特定できるとは限りません。同じ型番が記載されていても仕様が異なるものもあり、ドアの厚みやバックセットなどを確認し、条件に合った製品を選ぶ必要があります。
鍵屋なら現物を見て、取り付けられる製品を選定してくれます。
以下のような状況の場合は、自分で製品を探すよりも、鍵屋に確認してもらうほうが確実です。
- 刻印が薄くてメーカー・型番が読めない
- フロントが上下2つに分かれていて構成がわからない
- 廃番になっていて、後継品や代替製品が見つからない
- ドアの形状が特殊で、交換用の鍵の対応範囲に収まるかわからない
- 室内側と室外側で取っ手の形状が異なり、対応する製品を絞り込めない
鍵屋に依頼すれば、取り付け可能な製品を自分で探す手間を省き、部品の買い間違いも防げます。
玄関ドアの防犯性を高めたい
鍵の交換を機に玄関の防犯性も高めたいなら、鍵屋への相談が向いています。
防犯性能は、製品によってさまざまです。最近では、ピッキング(特殊な工具で錠を壊さずに開ける手口)への対策として、ディンプルキーなどピッキングに強いシリンダーを採用した錠が販売されています。
また、補助錠を追加して、1つのドアに2つの鍵を設ける「ワンドア・ツーロック」にすると、侵入に要する時間が2倍以上かかるとされており、空き巣対策として有効です。
鍵屋に相談すれば、現在の錠前やドアの状態、予算などを踏まえて、適切な防犯対策を提案してもらえます。サムラッチ錠の交換とあわせて防犯対策を見直したい場合は、専門家である鍵屋に相談してみましょう。
以下の記事では、住宅の防犯対策におすすめの鍵を紹介しています。防犯性の高い鍵を選びたい方は、あわせてご覧ください。
関連記事:防犯性の高い鍵とは?住宅の防犯対策におすすめな鍵をご紹介します
サムラッチ錠の交換が難しい場合は鍵屋へ相談しよう
サムラッチ錠は自分で交換できる場合もありますが、メーカー・型番や各部の寸法を確認して交換品を選び、取り外しから取り付け、動作確認まで行う必要があります。製品選びや交換作業には時間と手間がかかり、取り付けに失敗すると部品の買い直しや修理が必要になることもあります。
取り付けられる交換用のサムラッチ錠がわからない場合や、ドアの加工が必要な場合、防犯性も高めたい場合、自分での交換に不安がある場合は、無理にDIYせず鍵屋へ相談しましょう。鍵屋へ依頼すれば、製品選びから交換作業まで任せられるため、自分で調べたり作業したりする手間も省けます。