犬の死後硬直はいつ始まる?大切な最期を後悔しないために知っておきたいこと
公開日:2025.6.2
愛犬の最期を看取り、きれいな姿で見送ってあげたいというのは、すべての飼い主様の願いでしょう。
しかし、実際にその時を迎えると、悲しみや動揺から何をしてあげたら良いかわからなくなり、気がつけば愛犬の死後硬直が始まっていた、ということも起こりえます。
犬の死後硬直は、死後1~2時間ほどで始まるため、それまでに体勢を整えたり目を閉じたり、といったエンゼルケアを行うことが大切です。
そこで、当コラムでは犬の死後硬直が始まる時間と解ける時間、それに伴う注意点、そして適切なエンゼルケアと安置方法をご紹介します。
供養方法4種類についても解説していますので、愛犬を悔いなく見送ってあげたい飼い主様はぜひ最後までご覧ください。
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1.犬の死後硬直は死後1~2時間ほどで始まる
死後硬直の経過や注意点を確認しておこう
体格や筋肉量によって個体差がありますが、犬の死後硬直は死後1~2時間ほどで始まり、12~24時間ほどでピークを迎え、24~48時間後には解硬(遺体が再び柔らかな状態になること)します。
ここでは、時間経過による遺体の変化や注意点などを解説します。
死後硬直が始まる時間と解ける時間
どの生き物にも言えることですが、体が小さいほど死後硬直は早く始まります。
一般的に、死後硬直は顎や前足など筋肉の小さな部位から始まり、続いて背中や腹部といった大きな筋肉がある部位へと広がります。
硬直した遺体は、関節なども曲げられないほどに固まります。
死後硬直の状態がしばらく続いた後は、再び筋肉が徐々にゆるみ始め、遺体は柔らかくなるのですが、これを死後解硬と言います。
死後解硬も硬直時と同じ順番で起こるとされていて、顎や前足など筋肉の小さな部位から進んでいくようです。
死後解硬時には、筋肉のゆるみによって表情や体勢に微妙な変化が生じることがあります。それを見た飼い主様が「動いた」「生き返った」と思われることがありますが、残念ながら生き返ったというわけではありません。
〈死後硬直が始まる時間〉
小型犬:死後 約1時間
中型犬:死後 約1時間半
大型犬:死後 約2時間
※個体差があります
〈死後硬直が解ける時間〉
ペットちゃんの体の大きさや筋肉量などの個体差、気温などの外的要因によっても変わってきますが、早ければ12時間ほど、多くは24時間ほどで死後硬直が解けます。
しかし、大型犬などでは48時間ほどかかることもあります。
死後硬直に伴う注意点
・体勢を変えられない
死後硬直が始まると、目や口を閉じたり体勢を変えたりすることが難しくなります。
無理に体勢を変えようとすると関節が外れるなどしてしまう可能性もありますので、すでに死後硬直が始まっている場合は、解けるのを待ってから体勢を整えてあげましょう。
・解硬時に体液が漏れることがある
死後硬直が解ける際に、遺体から体液や排泄物が流れ出てしまうことがあります。漏れないように、コットンや綿球などを肛門・鼻・耳などに詰めておいてあげましょう。
また、漏れてしまった場合は濡らしたタオルなどできれいに拭いて清潔にしてあげてください。
2.愛犬の死後直後は心を込めてエンゼルケア(遺体の処理)をする
エンゼルケアはペットちゃんの尊厳と飼い主様の心を守る
愛犬が亡くなった直後は、悲しみから冷静に対応するのは難しいかもしれません。
しかし、大切な愛犬を生前のようなきれいな姿で送り出してあげられるように、死後硬直が始まる前にエンゼルケア(遺体の処置)をすることが大切です。
エンゼルケアとは、遺体の処置全般のことで「感染症予防」「ペットちゃんの尊厳を守る」「飼い主の心のケア」という3つの重要な意味合いがあります。
ペットちゃんの遺体のお世話をすることは、衛生的な理由だけでなく、ペットちゃんへ愛情や感謝を伝える大切な時間であり、飼い主様の心の整理を助ける行為でもあるのです。
以下に、エンゼルケアの手順をご紹介しますので、心を込めて丁寧に処置してあげましょう。
エンゼルケアに必要な準備物
まずは、エンゼルケアに必要なものを揃えましょう。
・バスタオルや毛布
・濡らしてかたく絞ったタオルやウェットティッシュ
・毛並みブラシ
・綿球や脱脂綿、コットンパフ、ティッシュなど
体勢を整える
バスタオルや毛布を敷いて愛犬を寝かせ、寝ているような状態に体勢を整えます。
この時、手足は優しく曲げてお腹に寄せるようにします。
目や口が開いている場合は、閉じてあげましょう。目は手でまぶたを撫でるようにして閉じますが、完全に閉じ切らないこともあります。そのような時は無理をせず、ガーゼやハンカチを掛けてあげてください。
口は、舌が出ていれば優しくしまい、閉じさせた状態でタオルやリボンで固定しておけば、死後硬直が解けた後も開きにくくなります。
遺体を清潔にする
濡らしてよく絞ったタオルやウェットティッシュを使ってペットちゃんの体全体を拭いて清潔にします。
遺体からは体液や排泄物が流れ出てしまうことがありますので、綿球やコットンなどを肛門・鼻・耳などに詰めてあげましょう。
生前のような姿を保ってあげるためにも、ブラシで毛並みをきれいに整えてあげてください。
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3.愛犬をきれいな姿で見送るための安置方法
適切に安置すれば夏場で1~2日、冬場で2~3日きれいな姿を保てる
エンゼルケア(遺体の処置)ができたら、お見送りまでに遺体が傷まないように適切に安置しましょう。
ここでは、愛犬の遺体を安置するための準備物や手順と注意点を解説します。
安置のために準備する物
まずは、安置に必要な物を用意してください。
・バスタオル、毛布、タオル
・棺(段ボール箱やペット用棺など)
・ペットシーツや新聞紙など
・保冷剤、ドライアイス
・お供え物(ペットフード、おやつ、生花、ロウソク、線香など)
棺を整える
棺(段ボール箱やペット用棺)の底に新聞紙やペットシーツを敷き、その上にバスタオルや毛布を敷いて愛犬の遺体を寝かせます。
この時、愛犬が気に入って使っていたマットやバスタオルなどを敷いてあげるのも良いでしょう。
※注意点
窮屈にならないように、棺は愛犬の遺体よりも一回り大きなものを用意してください。
遺体を冷やす
遺体の腐敗が進行しないように、保冷剤やドライアイスを用いて冷やします。
保冷剤やドライアイスは愛犬の遺体に直接触れないように、タオルなどで包んで遺体の周りに置きます。お腹や頭は傷みやすい部位なので、とくに重点的に冷やしましょう。
この時、遺体を保冷剤やドライアイスごと包み込むようにバスタオルなどで包んであげると保冷効果が高まります。
※注意点
・保冷剤は解け切る前に小まめに取り替えましょう
・ドライアイスに触れる際は、必ず軍手や手袋を着用してください
・ドライアイスを使用する場合は、棺は密封せず、部屋の換気にも注意してください
冷暗所に安置する
棺は直射日光が当たらない涼しい部屋に安置してください。
夏場なら室温を20度以下に調整し、クーラーの風が棺に当たらないようにします。冬場ならヒーターをつけていない部屋を選びましょう。
棺には愛犬が好きだったフードやおやつ、生花などを供えてあげるのもおすすめです。
※注意点
この方法で、夏場で1~2日、冬場で2~3日ほどはきれいな姿を保てますが、それでも徐々に腐敗は進行していきます。
遺体の安置ができたら、できるだけ早く火葬の手配をしてあげましょう。
4.愛犬の供養方法は自治体、ペット火葬業者、ペット霊園、自宅埋葬の4つ
メリット・デメリットを比較して納得の供養方法を選ぼう
愛犬の見送り方には次の4つがあります。
・自治体で引き取ってもらう
・ペット火葬業者に火葬を依頼する
・ペット霊園で火葬する
・私有地に埋葬する
それぞれの特徴とメリット・デメリットをご紹介しますので、ご自分に合った方法を選んでください。
自治体で引き取ってもらう
ほとんどの自治体では、ペットちゃんの遺体を引き取って火葬してもらうことができます。
動物専用火葬炉を備える自治体がある一方で、未だにペットちゃんの遺体を一般廃棄物として扱い、ゴミと一緒に焼却する自治体もあります。
火葬の費用は千円前後から数千円ほどのところが多く安価で済みますが、遺骨が返却されないなど、飼い主様が思っているような供養ができないこともあるので注意しましょう。
お住まいの地域の自治体でペットちゃんの火葬がどのように行われているのかを、まずは調べてみることが重要です。
*メリット
・火葬費用が安く済む
*デメリット
・引き取りに伴うルールが自治体ごとに異なるため事前確認が必要
・遺骨の返却ができないことがある
・遺骨や遺灰がゴミと一緒に埋め立てられることがある
ペット火葬業者に火葬を依頼する
ペット火葬業者には、ペット火葬車で自宅や希望する場所まで訪問してくれる「出張ペット火葬」と、専用の葬場に遺体を持ち込む「ペット葬儀場」があります。近年では、とくに「出張ペット火葬」の利用者が増えています。
自治体と比べると費用は高額になりがちですが、飼い主様の希望に沿ったお見送りができる点が人気の理由のようです。
*メリット
・飼い主様の希望通りの葬儀ができる
・人と同じように丁寧な供養ができる
・時間の融通が利く
・希望する場所で火葬ができる(出張ペット火葬の場合)
・外出が難しい家族も一緒にお見送りができる(出張ペット火葬の場合)
・遺骨の拾骨や返骨、分骨が可能
・霊園への埋葬の手配が一緒にできる
*デメリット
・費用が高額になりやすい
ペット霊園で火葬する
火葬炉を備えているペット霊園であれば、火葬後にそのまま納骨することができます。中には、遺体のお迎えに来てくれるペット霊園もあり、大型犬のように搬送が困難な場合でも安心です。
*メリット
・火葬から納骨までを一貫して依頼できる
・人と同じように丁寧な供養ができる
・遺骨の拾骨や返骨、分骨が可能
*デメリット
・費用が高額になりやすい
・遺体の搬送手段がないと利用しにくい
・外出が難しい家族はお見送りに立ち会えない
私有地に埋葬する
私有地であれば、愛犬の遺体を埋葬することは法律上、問題ありません。
しかし、遺体が土に還る過程で発生する異臭や、野生動物に掘り起こされてしまうリスクなど、管理面での問題が何年にも渡り伴うことになります。
こうしたリスクを減らすためには、火葬してから遺骨を埋葬するのが賢明です。
*メリット
・費用がほとんどかからない
・身近に愛犬の存在を感じられる
・いつでもお墓参りができる
*デメリット
・深い穴を掘るなどの労力がかかる(中型犬、大型犬の場合は現実的ではない)
・十数年に及ぶ管理が必要
・野生動物に掘り返される恐れがある
・悪臭や害虫が発生する恐れがある
・悪臭・害虫の発生に伴い、近隣住人とのトラブルに発展するリスクがある
・容易に引越しや土地の売却ができなくなる
5.まとめ
愛犬の安らかな旅立ちのために…
愛犬の遺体は、死後1~2時間で死後硬直が始まってしまいます。
硬直してしまうと体勢を整えたり、目や口を閉じてあげたりすることもできなくなりますので、死後硬直が始まる前に速やかにエンゼルケア(遺体の処置)をして適切に安置してあげましょう。
愛犬を亡くした直後は、悲しみで冷静な判断が難しくなることも少なくありません。しかし、思いを込めて遺体のお世話をしてあげれば、きれいな姿で見送ってあげることもできますし、愛犬も安心して旅立てるのではないでしょうか。
飼い主様にとって後悔のないお別れをしていただくためにも、この記事をお役立ていただければ幸いです。
監修
ペット火葬ハピネス 株式会社プログレス
ペットの訪問火葬サービスを全国へ拡大中。独自開発の高性能火葬車を使用し、小動物の遺骨までキレイに残す高い技術力を誇る。これまでに累計5万件以上のペットの旅立ちをサポートしてきた実績があり、朝日新聞や毎日放送など、メディア掲載も多数。ペット葬儀士、1級動物葬祭ディレクターが在籍し、専門知識と豊富な経験を生かし、ご家族の想いに寄り添いながら、火葬から返骨、納骨、永代供養、さらには海洋散骨に至るまで、一貫したサポートを提供。また一方では、ペット葬儀協会ハピネスを設立・運営し、ペット葬儀業界全体の発展とサービスの向上、健全化を目指した活動にも尽力している。
<資格・著書・受賞歴など>
ペット葬儀協会ハピネス創立
ペット葬儀協会ハピネス認定 ペット葬儀士
一般社団法人日本動物葬儀霊園協会 動物葬祭ディレクター1級
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