1.空き家を放置することで生じる7つのリスク
建物の劣化や不法侵入、固定資産税の増加など
空き家を長期間放置すると、建物の劣化だけでなく、防犯・衛生面の問題や税負担の増加など、さまざまなリスクが生じます。見た目には大きな変化がなくても、内部では雨漏りや腐食などが進んでいることもあるため注意が必要です。空き家は問題が表面化してから対処すると修繕や管理の負担が大きくなりやすいため、放置せず定期的に状態を確認することが重要です。
ここでは、空き家を放置することで生じやすい代表的な7つのリスクについて解説します。
①外壁や屋根の破損、建物の倒壊リスク
人が住まなくなった住宅は、換気や点検の機会が減ることで湿気がこもりやすくなり、木材の腐食やカビなどが発生することがあります。また、雨漏りや外壁・屋根の破損が起きても発見が遅れやすく、修繕されないまま劣化が進むことも少なくありません。
外壁や屋根の破損、建物の倒壊につながるほど老朽化すると、台風や地震などをきっかけに屋根材や外壁が落下する危険もあります。建物だけでなく周囲へ被害を及ぼすおそれがあるため、定期的な点検が必要です。
②景観が悪化するリスク
空き家は管理する機会が減るため、庭の雑草や樹木が伸びたり、外壁の汚れや破損が目立ったりすることがあります。ゴミなどが放置されれば、さらに景観の悪化につながります。
庭木が隣家や道路まではみ出す、落ち葉や雑草が周囲へ広がるといった状態になると、近隣住民とのトラブルに発展することもあります。建物内部だけでなく、敷地全体を定期的に管理することが大切です。
③害虫や害獣による衛生被害が発生するリスク
人の出入りが少ない空き家は、ネズミやハクビシンなどの害獣、ゴキブリやハチなどの害虫が住みつくことがあります。雨漏りや湿気がある住宅では、シロアリが発生するリスクにも注意が必要です。
害虫や害獣による衛生被害が広がると、悪臭やフン、騒音などが発生し、近隣住宅にも影響を及ぼすことがあります。長期間訪れていない空き家では、屋根裏や床下など普段見えない場所も含めて状態を確認する必要があります。
④放火の対象になるリスク
人が住んでいないことが分かる空き家は、人目が少ない時間帯も多く、放火の対象になる危険があります。特に敷地内に枯れ草や段ボール、ゴミなどの燃えやすい物が放置されていると、火が燃え広がる原因になりかねません。
火災が発生すれば空き家だけでなく、隣接する住宅へ延焼するおそれもあります。敷地内に不要な物を残さず、雑草や庭木を定期的に手入れすることが防火対策につながります。
⑤不法侵入によって治安が悪化するリスク
郵便物がたまっている、雑草が伸びているなど、長期間人が出入りしていないことが外から分かる空き家は、不法侵入の対象になることがあります。無断で住みつかれたり、犯罪の拠点やたまり場として利用されたりするおそれもあります。
不法侵入を防ぐには、玄関や窓の施錠状態を確認するだけでなく、郵便物をためない、庭を管理するなど、人が定期的に出入りしていることが分かる状態を保つことも大切です。
⑥特定空家等や管理不全空家に該当するリスク
空き家の管理状態が著しく悪化すると、自治体から特定空家等や管理不全空家として指導や勧告の対象になることがあります。倒壊のおそれがある状態や衛生・景観面で周囲に悪影響を与えている状態などは、改善を求められる可能性があります。
改善されない場合は、特定空家等に対して命令や行政代執行へ進むこともあります。行政代執行によって建物の解体などが行われた場合、その費用を所有者が負担することがあるため、状態が悪化する前に適切な管理を行うことが重要です。
⑦固定資産税の負担が増えるリスク
住宅が建っている土地には、一定の条件を満たすことで固定資産税などの負担を軽減する住宅用地の特例が適用されます。しかし、管理状態が悪化し、自治体から特定空家等や管理不全空家として勧告を受けると、この特例の対象から外れることがあります。
その場合、土地にかかる固定資産税などの負担がこれまでより重くなる可能性があります。空き家を所有しているだけで直ちに特例が外れるわけではないため、管理を続け、自治体から指導や勧告を受ける状態まで放置しないことが大切です。
2.空き家を所有することによるリスクを避けるには?
管理・売却・賃貸によるリスク回避
空き家にはさまざまなリスクがありますが、適切に管理したり、売却・賃貸など今後の活用方法を決めたりすることで、トラブルを防ぎやすくなります。空き家を長期間放置せず、今後も所有するのか、手放すのか、活用するのかを早めに検討することが大切です。
定期的に管理・点検を行う
空き家をすぐに活用できない場合でも、定期的な管理・点検は欠かせません。換気や通水を行うほか、建物に異常がないか確認することが重要です。湿気がこもるとカビや木材の腐食につながるため、定期的に窓を開けて空気を入れ替えます。
また、屋根や外壁の破損、雨漏りの有無などを確認しておけば、修繕が必要な箇所を早い段階で見つけやすくなります。遠方に住んでいて定期的に訪問するのが難しい場合は、空き家管理サービスを利用する方法もあります。
売却を検討する
今後使用する予定がない場合は、空き家の売却も選択肢の一つです。建物は時間の経過とともに劣化するため、管理を続けるほど修繕費や固定資産税などの負担が積み重なることがあります。
売却を検討する際は、不動産会社へ相談するほか、自治体が運営・支援している空き家バンクを利用できる場合もあります。建物の状態や立地によって売却条件は異なるため、複数の方法を比較しながら判断するとよいでしょう。
賃貸として活用する
賃貸として活用する方法もあります。一般的な住宅として貸し出すほか、建物の条件や地域の需要によっては、シェアハウスや事務所などとして活用できることもあります。家賃収入を得ながら建物を維持できる点はメリットです。
ただし、そのままでは貸し出せず、リフォームや設備の修繕が必要になることもあります。賃貸需要や必要な改修費用を確認したうえで、不動産会社などへ相談し、活用した場合の収支まで含めて検討することが大切です。
3.空き家を処分する際、家具や大きなゴミはどうする?
粗大ゴミとして出すか、リサイクルショップで引き取ってもらえることも
空き家を売却したり解体したりする場合、家具や家電などの不用品をどのように処分するかも考える必要があります。品目や状態によって適した処分方法が異なるため、処分費用や手間を比較しながら選ぶことが大切です。まだ使える物は売却や譲渡を検討し、処分が必要な物は自治体のルールに従って適切に手放しましょう。
粗大ゴミとして処分する
粗大ゴミとして処分する場合は、自治体のルールに従って申し込みます。大型の家具などは粗大ゴミとして回収してもらえることがありますが、対象となる品目や手数料、回収方法は自治体によって異なります。
また、テレビやエアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機などは家電リサイクル法の対象となるため、一般的な粗大ゴミとして処分できません。空き家に残っている家電を処分する際は、品目ごとの処分方法を事前に確認しておくことが重要です。
リサイクルショップや買取サービスを利用する
リサイクルショップや買取サービスは、まだ使用できる家具や家電を手放す方法の一つです。製造から年数があまり経っていない家電や、状態の良い家具などは買い取ってもらえる可能性があります。
買取が成立すれば処分費用を抑えられるだけでなく、売却代金を受け取れる点もメリットです。ただし、すべての家具や家電が買取対象になるわけではないため、製造年や状態、搬出費用の有無などを確認してから依頼するとよいでしょう。
寄付や譲渡を検討する
寄付や譲渡も、まだ使える家具や生活用品を処分せずに手放す方法です。知人へ譲るほか、地域のリユース活動や受け入れを行っている団体などへ提供できることがあります。
ただし、受け入れ可能な品目や状態には条件が設けられていることもあります。持ち込みや配送に費用がかかる場合もあるため、事前に受け入れ条件や引き渡し方法を確認しておくことが大切です。
4.空き家の不用品は不用品回収事業者に引き取ってもらうのがおすすめ
1点からまるごとの廃棄まで任せられる
空き家の片付けでは、大量の家具や家電、生活用品を一度に処分しなければならないことがあります。そのような場合は、不用品回収に対応している専門事業者へ依頼する方法があります。依頼する際は、回収できる品目や料金だけでなく、家庭から出る不用品を適切に回収できる事業者かどうかも確認することが大切です。
大量の不用品をまとめて処分できる
大量の不用品をまとめて処分できる点は、専門事業者へ依頼するメリットの一つです。自治体の粗大ゴミ回収では、1回に申し込める数量や回収日が決められていることがあります。一方、専門事業者であれば、家具や家電、衣類、生活用品などをまとめて回収してもらえることがあり、短期間で空き家の片付けを進めやすくなります。
重い家具や大型家電の搬出も任せられる
空き家の片付けでは、重い家具や大型家電の搬出が大きな負担になります。タンスやベッド、冷蔵庫などを自分で運び出すのは難しく、階段や狭い通路では転倒やけがにつながるおそれもあります。
搬出作業まで対応している専門事業者へ依頼すれば、室内からの運び出しも任せられます。遠方に住んでいて片付けのために何度も空き家へ通うのが難しい方にとっても、負担を減らしやすい方法です。
遺品整理などに対応している専門事業者もある
相続によって空き家になった住宅では、遺品整理が必要になることもあります。不用品回収に加えて、遺品の仕分けや買取、処分などに対応している専門事業者もあります。
遺品の量が多い場合や、自分たちだけでは整理を進めにくい場合は、こうしたサービスを利用する方法も選択肢の一つです。ただし、対応範囲や料金は専門事業者によって異なるため、依頼前に作業内容や追加費用の有無を確認しておくことが大切です。
5.空き家管理で不用品回収事業者を選ぶ際のポイント
「古物商」「一般廃棄物」「遺品整理士」といった資格を提示している
不用品回収を専門事業者へ依頼する際は、信頼できる依頼先を選ぶことが重要です。サービス内容や料金体系、回収できる品目は事業者によって異なるため、事前に確認しておく必要があります。料金の安さだけで決めず、必要な許可や実績、見積もり内容まで確認したうえで依頼先を選ぶことが大切です。
必要な許可や資格を確認する
必要な許可や資格を確認することは、専門事業者選びの基本です。家庭から出る不用品を一般廃棄物として回収・運搬するには、原則として市区町村の「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要です。不用品の買取を行う場合は「古物商許可」が必要になります。
依頼先の事業者自身が一般廃棄物収集運搬業許可を持っていない場合でも、許可を持つ事業者と連携して適切に処理しているケースがあります。そのため、許可の有無だけでなく、回収した不用品をどのような方法で処理するのかまで確認すると安心です。
実績や口コミを確認する
実績や口コミも、依頼先を比較する際の参考になります。空き家の片付けや大量の不用品回収に対応した実績があるか、料金や作業内容について具体的な説明があるかなどを確認します。
口コミを見る場合は、評価の高さだけで判断せず、追加料金やスタッフの対応、搬出作業に関する具体的な内容まで確認することが大切です。また、遺品整理を依頼する場合は、遺品整理に関する知識や経験を持つスタッフが在籍しているかも判断材料になります。
空き家の片付けは、不用品の量が多いほど作業内容や費用も大きくなりやすいため、複数の専門事業者から見積もりを取る方法も有効です。回収品目や作業範囲、追加費用の条件まで比較しておけば、依頼後のトラブルを防ぎやすくなるのでおすすめです。