強化ガラスでも割れることはあるの?その原因や割らないための対策などを解説
公開日:2022.2.3 更新日:2024.4.3
学校や公共施設などでは、安全性に配慮して作られている「強化ガラス」が一般的に使われています。
しかし、安全と言われているこのガラスでも状況によっては割れてしまうことも・・・。
この記事では、強化ガラスの特徴や構造、弱み、割れる要因、割らないためにできる対策を順番にご紹介していきます。
学校や公共施設などでは、安全性に配慮して作られている「強化ガラス」が一般的に使われています。
しかし、安全と言われているこのガラスでも状況によっては割れてしまうことも・・・。
この記事では、強化ガラスの特徴や構造、弱み、割れる要因、割らないためにできる対策を順番にご紹介していきます。
強化ガラスは、製造の過程で特別な加工を施しており、ガラスの強度が通常のものと比べて高くなっています。
見た目は通常のガラスと変わらないため違いはほとんどありませんが、その強度は通常のものと同じ厚みであれば3.5倍、他の条件の場合であっても3倍から5倍とされています。
耐熱性も高く、耐熱温度は一般的に150度から200度となっています
また、仮に割れてしまったとしても破片が粉々に砕け散るので、破片でケガをするといったリスクが少ないといった特徴があります。
これらの特徴から、別名「安全ガラス」と呼ばれています。
このような安全面に優れた性質により、学校などの公共施設や車両など、ガラスが割れる可能性の高い場所で安全性を求めて使用されることが多いです。
また、最近ではガラスのテーブルや本棚などの家具に使用されるなど、使用範囲は以前よりも広がっています。
どのような種類のガラスにも、小口と呼ばれる端の部分があるのですが、この小口が強化ガラスの弱点と言われています。強化ガラスの構造としては、「圧縮応力層」と呼ばれる層が「引張応力層」という層を挟む3層構造になっています。
圧縮応力層が引張応力層をサンドイッチ状に挟み、3層構造となっており、これらのバランスが保たれることでガラスの強度が高くなっています。ただし、外部からの衝撃などで釣り合いが取れなくなると、一気にその強度は低くなり、割れやすくなってしまいます。
特に小口と呼ばれる部分からは衝撃が伝わりやすく、層の均衡を保つためにも注意が必要です。
では、どれくらいの傷で強化ガラスは割れてしまうのでしょうか?具体的に言うと、厚さの6分の1以上の傷が入ってしまうと割れやすくなります。また、強化ガラスの衝撃への耐性はあくまで面に対してであって、点に対する衝撃には弱くなっているので要注意です。たとえ小さな物がぶつかっただけであったとしても、点としての衝撃が大きければ強化ガラスは割れてしまうでしょう。
強化ガラスという名前で呼ばれているだけあって、軽く物がぶつかる程度では割れることがないように、衝撃に対する耐久性は高く作られています。
ただし、表面の「圧縮応力層」への衝撃には耐えられたとしても、その際に内部の「引張応力層」まで届くような深い傷ができてしまうと、層の均衡が崩れてその耐久性はもろくなり、一気に粉々に割れてしまいます。
そのため、ぱっと見てすぐに気づかないレベルの小さな傷でも油断はできません。ガラス表面の傷のままなら問題はありませんが、そのひび割れがだんだんと内部の層にまで侵食してしまうと、外力が加わっていない状態であっても突然ガラスが割れてしまうという結果に・・・。
ガラスに傷ができた瞬間ではなく、一定の時間が経過した後に割れてしまうため、何の理由もなく破損してしまったかのようにも見えてしまうのです。
また、先ほどご説明したとおり、小口と呼ばれる部分への衝撃は内部に伝わりやすいため割れやすく、強化ガラスの弱点となっています。
「強化ガラス=絶対割れない」というわけではないといったことを念頭に置いておいてください。
こちらのガラスが割れる原因として製造の過程でガラスの内部に不純物が混入することにより、外部からの衝撃などがなくても割れてしまう「自然破損」といった現象があります。
製造をしている中では、このような不純物も含めた上でガラスの表面と内部の均衡を保っているため特に問題にはなりませんが、製造後は温度の変化や管理状態によって不純物が膨張してしまうことがあります。
この「自然破損」は、強化ガラスが割れる内的要因の代表的なものとしてあげられます。
現在の技術では製造の過程での不純物の混入を防ぐことは難しいというのが現状ですが、できる限り自然破損を防ぐための取り組みとして、国内メーカーでは「ヒートソーク処理」を行っています。こちらの処理は、不純物の入ったガラスを強制的に破壊するもので、そうすることで自然破損の恐れのあるガラスを流通しにくくしています。
ただし、国内で生産されるすべての強化ガラスに処理がおこなわれているわけではありません。
ヒートソーク処理で自然破損のリスクがゼロになるわけではありませんが、高確率で防ぐことができるようになっています。
まずはお手入れ方法。強化ガラスだからといって、雑なお手入れをしていては破損の原因になります。ガラスを拭く際には、傷がつく恐れのあるクレンザーは使用せずに、やわらかい布を使用するようにしてください。
また、最近はスマートフォンの液晶画面にも強化ガラスが使われるようになってきました。通常のガラスよりも割れにくいとはいえ、スマートフォンを落としてしまうとガラスにひびが入ってしまうことも。ひび割れを防止するため、市販の液晶保護フィルムやシートを液晶画面に貼っておきましょう。たった1枚のフィルムとはいえ、貼っておくことでガラスが割れにくくなります。
また、強化ガラスは安全ガラスとも呼ばれていますが、絶対に危険がないというわけではありません。特に学校や電車の車両の窓、公共施設などの人の出入りが多い場所でガラスが割れてしまうと大変です。
より安全性を高めるため、強化ガラスを単独で使わずに合わせガラスにしたり、飛散防止フィルムを貼ったりなどの対策をとったほうがいいでしょう。
強化ガラスだからといってその安全性を過信することなく、できるだけ割れないようにするための対策は欠かせません。ガラスでケガをしないよう、お手入れ方法や対策はしっかりと理解したうえで実践していきましょう。