1.玄関ドアの鍵を防犯性の高いものに交換するメリット
ピッキング対策や侵入抑止につながり防犯性能が高まる
侵入されにくい住まいにするには、玄関の鍵を防犯性の高いものへ交換する方法が有効です。鍵の種類によって不正解錠への耐性が異なるため、現在使用している鍵の防犯性能を確認することが重要になります。
財団法人都市防犯研究センターの調査では、侵入に5分かかると約7割、10分以上かかると約9割の侵入者が犯行を諦めるという結果が示されています。
(出典:警察庁「住まいる防犯110番」)
つまり、鍵による防犯対策では「絶対に開けられない状態」を目指すのではなく、不正解錠に時間がかかる状態を作ることが重要です。侵入に必要な時間を長引かせることが、犯行を諦めさせるための重要なポイントになります。
鍵の種類によっては、不正解錠への耐性が低いものもあります。例えば、古いディスクシリンダー錠はピッキングに弱いため、現在も玄関で使用している場合は、防犯性の高い鍵への交換を検討する必要があります。
一方、ディンプルキーやウェーブキーは鍵穴内部の構造が複雑で、ピッキングによる不正解錠への耐性を高めた製品があります。登録制の鍵であれば、メーカーなどが定めた方法で本人確認や登録情報を確認して合鍵を作る仕組みのため、第三者による不正な複製への対策にもつながります。
さらに、補助錠を追加してワンドア・ツーロックにすると、侵入者は2つの鍵を突破しなければならず、不正解錠にかかる時間を延ばせます。鍵穴のないキーレス錠なら、鍵穴を狙ったピッキングへの対策も可能です。
玄関の防犯性が気になる場合は、まず現在使用している鍵の種類や防犯性能を確認することが大切です。古い鍵を使い続けている、鍵が1つしか付いていないなど、防犯面に不安がある場合は、玄関ドアに適合する鍵への交換や補助錠の追加を検討するとよいでしょう。
2.玄関ドアに使われる防犯性の高い鍵の種類と特徴
ディンプルキーや電子錠など、主な鍵の仕組みと防犯性能の違い
ここからは、玄関ドアに使われる防犯性の高い鍵の種類と、それぞれの特徴を紹介します。自宅の玄関ドアや使い方に合った鍵を選ぶためにも、主な種類を確認しておきましょう。
ディンプルシリンダー錠
ディンプルシリンダー錠は、鍵の表面に複数のくぼみ(ディンプル)が刻まれているタイプです。鍵穴内部の構造が複雑で、一般的なディスクシリンダー錠などと比べてピッキングによる不正解錠に強い製品が多くあります。
製品によって鍵違い数や防犯性能は異なりますが、物理的な鍵を使いながら玄関の防犯性を高めたい場合に選択肢となります。ディンプルキーという名称だけで判断せず、耐ピッキング性能や耐破壊性能など、製品ごとの防犯性能を確認して選ぶことが大切です。
電子錠(指紋認証・暗証番号式)
電子錠は、あらかじめ登録した指紋や暗証番号、ICカード、スマートフォンなどを使って解錠するタイプです。鍵穴のない製品であれば、鍵穴を狙ったピッキングによる不正解錠を防げます。
一方、電池切れや停電時の解錠方法、認証エラーが起きた場合の対応は製品によって異なります。また、玄関ドアや錠前によっては取り付けられない製品もあるため、防犯性だけでなく既存のドアとの適合や非常時の解錠方法まで確認しておく必要があります。
CPマーク付きの鍵
CPマーク付きの鍵も、防犯性能を比較する際の判断材料になります。CPマークは、警察庁などで構成される官民合同会議が定めた試験に合格し、「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載された製品に表示できるマークです。
一定の侵入手口に対して5分以上耐えられることなどが基準となっているため、玄関の鍵を選ぶ際に客観的な防犯性能を確認しやすい点が特徴です。ただし、鍵だけをCPマーク付き製品へ交換すれば十分とは限らず、ドアや錠前、サムターンなど玄関全体の防犯性もあわせて確認することが重要です。
どのタイプが向いているかは、生活スタイルや予算、現在の玄関ドアの仕様によって変わります。まずは使用している鍵の種類や設置時期を確認し、防犯性能やドアとの適合を踏まえて交換する鍵を検討するとよいでしょう。
玄関ドアに防犯性の高い鍵を選ぶときのポイント
防犯性能や鍵の複製管理など確認しておきたいチェック項目
いざ鍵を選ぼうとすると、種類が多く、どれを選べばよいか迷う方も少なくないでしょう。玄関ドアの鍵は、防犯性だけでなく、使い勝手や既存のドア・錠前との適合も確認する必要があります。防犯性を重視する場合は、鍵の種類だけで判断せず、耐ピッキング性能や耐破壊性能、合鍵の管理方法まで確認することが大切です。
ここでは、鍵を選ぶときに押さえておきたいポイントを紹介します。
シリンダー錠を選ぶならディンプルシリンダー錠
物理的な鍵を使うシリンダー錠の中で防犯性を重視するなら、ディンプルシリンダー錠が選択肢になります。内部構造が複雑で、一般的なディスクシリンダー錠などと比べてピッキングに強い製品が多くあります。製品によっては、ドリルなどを使った破壊への対策が施されているものもあります。
また、合鍵を作る際に登録情報や専用カードなどが必要なタイプもあり、第三者による不正な複製を防ぎやすい点も特徴です。価格帯や防犯性能は製品によって異なるため、耐ピッキング性能や耐破壊性能、合鍵の複製方法まで確認して選ぶとよいでしょう。
キーレス錠は防犯性と利便性を両立しやすい
キーレス錠には、指紋認証や暗証番号、ICカード、スマートフォンなどで解錠するタイプがあります。鍵穴のない製品であれば、鍵穴を狙ったピッキングによる不正解錠を防げる点がメリットです。
スマートロックの中には、誰がいつ解錠したかを履歴で確認できる製品もあります。家族の帰宅状況やドアの開閉履歴を確認できる一方、電池切れや通信障害が起きた際の解錠方法は製品によって異なります。導入する際は、防犯性能だけでなく非常時の対応方法や玄関ドアへの適合も確認することが重要です。
CPマークは客観的な防犯性能の目安になる
CPマークは、防犯性能を比較するときの判断材料になります。警察庁、国土交通省、経済産業省と民間団体で構成される官民合同会議による試験を経て、「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載された製品に表示できるマークです。
一定の侵入手口に対して5分以上耐えられることなどが基準となっているため、複数の鍵から防犯性の高い製品を選ぶ際に役立ちます。ただし、CPマーク付きの鍵へ交換するだけで玄関全体の防犯性が決まるわけではありません。ドア本体やサムターン、補助錠なども含めて確認することが大切です。
4.玄関ドアの防犯力を高める対策
補助錠の追加や防犯センサーによる侵入防止対策
鍵の交換とあわせて検討したいのが、玄関まわりの防犯対策です。鍵そのものの防犯性を高めるだけでなく、補助錠やセンサー、防犯カメラなどを組み合わせることで、侵入にかかる時間を延ばしやすくなります。玄関の防犯性を高めるには、鍵だけでなく、ドアや窓を含めて複数の対策を組み合わせることが重要です。
補助錠でワンドア・ツーロックにする
補助錠でワンドア・ツーロックにすると、侵入者は2つの鍵を突破する必要があるため、不正解錠にかかる時間を延ばせます。外から見て鍵が2つあることが分かれば、「侵入に手間がかかる家」と認識させる効果も期待できます。
ただし、補助錠の取り付け位置は玄関ドアの構造や既存の錠前とのバランスを考えて決める必要があります。穴開けが必要な製品を自己判断で取り付けると、ドアを傷めたり正常に施錠できなくなったりするおそれがあるため、適合が分からない場合は鍵屋へ相談するのが安全です。
窓用防犯センサーで異常を知らせる
窓用防犯センサーは、窓の開閉や振動などを検知してアラームを鳴らす防犯グッズです。玄関近くに窓やガラス部分がある住宅では、鍵だけでなく窓からの侵入対策も検討する必要があります。
製品によって検知方法や音量は異なりますが、侵入者へ異常が発覚したことを知らせるほか、室内や周囲の人が異変に気づくきっかけにもなります。設置する際は、日常の開閉で誤作動しにくい位置を確認することが大切です。
スマートロックや防犯カメラで管理する
スマートロックや防犯カメラを取り入れると、玄関の施錠管理や周辺の状況確認がしやすくなります。スマートロックには解錠履歴を確認できる製品があり、オートロック機能を備えたタイプなら施錠忘れ対策にも役立ちます。
防犯カメラは玄関まわりの様子を記録でき、製品によってはスマートフォンから映像を確認できます。ただし、スマートロックには既存の鍵穴を残したまま取り付ける製品もあるため、「スマートロック=ピッキングできない」とは限りません。製品ごとの構造や非常時の解錠方法まで確認して選ぶことが重要です。
センサーライトやサムターン対策、防犯フィルムを組み合わせる
センサーライトやサムターン対策、防犯フィルムも、玄関まわりの防犯性を補う方法です。センサーライトは人の動きを検知して点灯するため、夜間に玄関へ近づく人物を目立たせやすくなります。サムターンカバーなどを取り付ければ、ドアのすき間や開口部から工具を差し込んで内側のつまみを回す「サムターン回し」への対策になります。
玄関付近にガラスがある場合は、防犯フィルムを貼る方法もあります。ただし、一般的な飛散防止フィルムと防犯フィルムでは性能が異なるため、防犯目的なら対応する製品を選ぶことが重要です。鍵だけに頼らず、玄関ドアや周辺のガラスまで含めて対策すると、侵入に時間がかかる環境を作りやすくなります。
玄関ドアの鍵交換を専門事業者に依頼するときのポイント
費用や作業内容を比較するために、複数社から見積もりを取る
鍵交換を依頼するときは、複数の鍵屋から相見積もりを取ることが大切です。1社だけでは提示された金額や作業内容が適切か判断しにくいため、比較する予定がなくても複数社へ見積もりを依頼しておくと判断材料が増えます。鍵屋を選ぶ際は、費用の安さだけでなく、作業内容や使用する部品、追加費用の条件まで確認することが重要です。
見積もりでは、費用の総額だけでなく、次の点も確認します。
- どのような作業が必要か
- 使用する部品は何か
- 追加費用が発生する条件はあるか
これらの内容は、できるだけ書面で確認できる形にしておくと安心です。金額だけで決めるのではなく、必要な作業や取り付ける鍵の特徴について分かりやすく説明してくれる鍵屋を選びます。製品保証や施工保証の有無、問い合わせ時の対応なども比較すると、依頼先を判断しやすくなります。
鍵のトラブルには、「家に入れない」「鍵が壊れて施錠できない」など緊急性が高いケースもあります。焦っていると料金や作業内容を十分に確認できないこともあるため、契約を急がせる鍵屋には注意が必要です。
電話で概算料金をほとんど案内してもらえない
電話で概算料金をほとんど案内してもらえない場合は、料金の確認方法に注意が必要です。鍵の種類や故障状況によって現地確認が必要になるため、電話だけで正確な料金を確定できないこと自体は不自然ではありません。
ただし、出張費や基本料金、想定される作業の価格帯などについても説明がなく、「現場を見ないと一切分からない」とだけ案内される場合は、作業前に総額を確認することが重要です。現地では作業内容と料金の説明を受け、納得してから正式に依頼すると費用トラブルを防ぎやすくなります。
ウェブサイトに極端に安い最低料金だけが掲載されている
極端に安い最低料金だけを強調している表示にも注意が必要です。「2,000円~」などの価格が掲載されていても、その金額だけで鍵交換まで完了するとは限りません。出張費や作業費、部品代などが別途加算され、最終的な請求額が大きく変わることもあります。
最低料金だけを見るのではなく、どの作業がその金額に含まれているのか、出張費や部品代はいくらか、追加料金が発生する条件は何かまで確認することが大切です。説明を受けても料金体系が分かりにくい場合や、契約を急かされる場合は、その場で決めず別の鍵屋とも比較すると安心です。