永代供養とはなんなのか?メリットや費用相場などを詳しく解説
公開日:2024.4.2
「永代供養」という言葉を聞いたことがありませんか?ご遺族に代わり、お寺が責任をもって永代にわたってご供養と管理を行うことを永代供養といいます。
この記事では、そんな永代供養のメリットや費用について詳しく解説します。
「永代供養」という言葉を聞いたことがありませんか?ご遺族に代わり、お寺が責任をもって永代にわたってご供養と管理を行うことを永代供養といいます。
この記事では、そんな永代供養のメリットや費用について詳しく解説します。
永代供養(えいたいくよう)とは、亡くなった人のために、お墓や納骨堂などにおいて、その人の遺骨を永遠に供養し続けることを約束する仏教の慣習です。
具体的には、個人や家族が管理する墓地に代わって、寺院や霊園が遺骨を受け入れ、代々の管理や供養を行うサービスを指します。
これにより、「後継ぎがいない」「引っ越して遠方に住んでいる」、「お墓の維持管理が負担を感じる」などの理由から、自分たちでお墓の管理や供養ができない人々にとって、安心して遺骨を預けられる選択肢となっています。
■永代供養の主な形態
永代供養にはいくつかの形態がありますが、主に以下のような方法があります。
・永代供養墓
寺院や霊園が設ける墓地に、個人または家族の遺骨を埋葬し、寺院や霊園が代わりに永続的に供養を行うものです。
この場合、墓地の管理や年間の供養料などは、永代供養契約に基づき、事前に一定の料金を支払うことが一般的です。
・納骨堂
室内に設置された納骨施設で、遺骨を特定の区画に安置します。納骨堂には、一定期間後に遺骨を合祀(ごうし)するものや、個別に区画を確保し続けるものなど、さまざまなタイプがあります。
・合祀墓
複数の遺骨を一つの墓地に合葬し、共同で供養する方法です。個々の遺骨に対して個別の墓を設けるのではなく、一つの大きな墓で多くの人々を共に供養します。
永代供養の具体的な内容や料金、条件などは、提供する寺院や霊園によって異なります。そのため、永代供養を検討する際は、複数の施設を比較検討し、自分や家族の願いに最も合った形態を選ぶことが重要です。
■永代供養は永久に供養してくれるサービスではないので注意!
「永代」というと、もともとは長い年月を意味する言葉なので、遺骨を最初と同じ供養方法で永久に管理してもらえるものだと思ってしまいがちですが、実際には永久にという意味ではありません。
永代供養という名がついていますが、個別安置には期限があり、定められた期間を過ぎてしまう遺骨は合祀される場合がほとんどです。
実際には、10年忌まで、30年忌や50年忌までといった内規がある場合が多く、なかには檀家を辞めると永代供養の契約が破棄されると定められていることもあります。
また、霊園や寺院が廃寺となった場合には消滅する可能性もあるため、永代が保証されているわけではありません。
なかには、安置期限を設けていない寺院もありますが、そのようなケースは少数なので、永代供養を検討する場合は、安置期限についても確認するようにしておきましょう。
永代供養を検討する際は、あらかじめどれくらいの期間を希望しているのかを明確にしておくことが必要です。
最近では、永代供養を依頼する遺族が増えているといいます。その理由はいくつかありますが、やはりメリットが大きいからといえるでしょう。
お墓を引き継いでいくことは大変ですし、時間も労力も費用もかかります。
近年、家庭の子どもの人数も昔と比べて少なくなっていますし、子どものいない家庭や未婚というケースも増えています。
昔と比べて一人でお墓のことをすべて行わなければならない場合が多くなっており、メリットの多い永代供養に注目が集まっているというわけなのです。
永代供養の主なメリットは次のとおりです。
・後継ぎや継承者がいなくても安心
単身者や子どものいない家庭、または遠方に住む家族など、お墓の維持管理を引き継ぐ人がいない場合に、安心して遺骨を預けることができます。
・維持管理の手間と費用の軽減
お墓の清掃や草むしり、年間の管理費用など、お墓の維持にかかる手間と費用を節約できます。永代供養料を一括で支払うことで、将来にわたる費用の心配がなくなります。
また、土地を借りてお墓を建てることを考えると総費用面でも永代供養には大きなメリットがあります。
・遺族の負担を軽減できる
遺族が高齢でお墓参りが困難であったり、忙しくて頻繁にお墓参りができなかったりする場合でも、霊園や専門の施設が適切に供養を行ってくれるため、精神的な負担が軽減されます。
・移動や転居が多い現代のライフスタイルに対応
仕事や生活環境の変化で頻繁に転居する人々にとって、永代供養は地域に縛られずに遺骨を安置できるため、現代のモビリティの高いライフスタイルに適しています。
永代供養は、これらのメリットにより、現代社会の多くの人にとって魅力的な選択肢となっています。ただし、施設やサービスによって条件が異なるため、契約前には内容をよく確認し、自分や家族のニーズに最も合ったサービスを選択することが大切です。
永代供養にはデメリットもあります。実際に永代供養のメリットばかりに目がいき、デメリットを考えなかったことで後悔している家族もいます。
供養方法を選ぶ際には、メリットもデメリットも考えた上で選ぶようにしましょう。
永代供養のデメリットとして挙げられるのは次のとおりです。
・合祀された遺骨を元に戻すことはできない
ほとんどの場合、永代供養は期限が決められており、事前に定められた期限を過ぎた遺骨は骨壺から取り出して、他の方の遺骨と一緒に埋葬されます。
基本的に別のお墓に納骨・分骨はできないので注意が必要です。
・親族の理解が得られないことも
近年よく聞かれるようになった永代供養ですが、実は古くから行われている供養方法です。しかし、親族のなかには供養へのこだわりがある場合や、古くからの風習を重んじる方にとっては理解しづらいこともあります。
親族から反対されないためにも、事前によく相談することが必要です。
・お墓参りのようなプライベートな時間は難しい
個別の墓石がない永代供養を選ぶと、合同の供養塔に参ることになるので、家族の健在を報告するようなプライベートな時間は持ちにくいといえます。
・想像以上に費用が高くなる場合もある
永代供養の初期費用は、一見すると経済的な選択のように思えますが、契約内容によっては予想以上に高額になることもあります。また、長期にわたるサービスの質を維持するための追加費用が発生する場合もあります。
永代供養を選択する際は、これらのデメリットを十分に理解し、施設との契約内容を慎重に検討することが重要です。また、家族や親族と十分に相談し、みんなが納得のいく形で故人を供養できる方法を選ぶことが望ましいでしょう。
永代供養の費用は、一般的には約10万円から150万円の範囲に収まることが多いです。
預け先の施設によってはこれを超えることもあり得ますが、平均的には50万円から70万円くらいを見積もっておくとよいでしょう。
また、一括で支払う永代供養料のほかに、年間の管理費や追加サービスに関する費用が発生する場合もあります。
ここでは、一般的なケースの費用相場について述べますが、具体的な金額を知りたい場合は、複数の施設に直接問い合わせることをおすすめします。
・永代供養墓
お墓のタイプ別の費用相場は以下になります。
個別墓タイプ:約50万円から150万円
集合墓タイプ:約20万円から60万円
合祀墓タイプ:約5万円から30万円
永代供養墓の費用は、場所によっても大きく異なります。都市部では土地の価格が高いため、費用も高めになりがちです。また、納骨する遺骨の数によっても費用は変わります。
・納骨堂
納骨タイプ別の費用相場は以下になります。
ロッカー型:約20万円から80万円
仏壇型:約30万円から150万円
自動搬送型のビル型:約50万円から150万円
位牌型:約10万円から50万円
さらに、利用期間、納骨される遺骨の数、納骨スペースの大きさによっても、納骨堂の総費用は変わってきます。
そのほか、納骨堂の場合、個別の納骨スペースを確保する形式と、後に合祀される形式とでは費用が異なります。樹木葬など、自然環境を活かした形式も人気がありますが、こちらも施設によって価格は異なります。
■注意点
これらの費用には、納骨料、永代供養料、管理費などが含まれますが、施設によっては追加で法要料や記念碑への名前刻印料などが必要になることがあります。
永代供養の費用は一括払いの場合が多いですが、分割払いを受け入れている施設もあります。
施設によっては、将来的に追加料金が発生する可能性や、特定の条件下での解約時の返金ポリシーについて、詳細な規定がある場合もあるので、契約前にはこれらの詳細を確認することが重要です。
永代供養を選択する際には、費用だけでなく、サービス内容、施設の維持管理状況、契約条件など、総合的に検討する必要があります。
永代供養とよく一緒にされがちなのが、永代使用です。
永代供養は多くの霊園や寺院で期間が定められているのですが、永代使用というのはこれとは少し違います。
永代供養というのはお寺が責任をもって永代にわたってご供養と管理を行うことを指し、永代使用というのはお墓の土地について後継者がいる限りは永代にわたって使用できる権利のことを指します。
祭祀財産には相続税がかからないため、お墓の相続に税金の支払いは必要ないことから、永代使用は相続できるものとなっています。
しかし、他の財産のように他人に譲渡したり、貸与したり、転売したりすることはできないようになっています。
あくまでも、墓地の管理者が所有している土地を一部借りるという形になっており、墓じまいなどで必要がなくなったり、なにか問題が発生したり時には、所有者に返還しなければなりません。