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おひとりさまの終活は必要?安心して最後を迎えるためやるべきことを解説

公開日:2024.4.4
おひとりさまの終活は必要?安心して最後を迎えるためやるべきことを解説

最近では、エンディングノートの作成や身の回りの整理などを行う「終活」に取り組む人が増加しています。このような準備が特に必要とされるのは、家族がいる人だけではありません。一人暮らしといった、万一のときに頼れる人のいない「おひとりさま」にとっても、終活は非常に重要です。

とくに高齢のおひとりさまは、残りの人生や自身の死後について様々な不安や悩みを抱えています。
「孤独死の不安」、「死後の手続きや迷惑を誰にもかけたくない」という思い、「親族との関係が希薄で頼ることができない」、「自分の葬儀を誰が執り行ってくれるのか分からない」など…。

この記事では、これらの不安を払拭するためにすべきおひとりさまの終活について詳しく解説します。注意点なども紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

1.「おひとりさま」は終活をやったほうがいい?

「孤独死を避けたい」、「葬儀や遺品を自分の希望に沿って処理してほしい」方は終活をやっておこう!

一人で家の中でお弁当を食べている高齢男性の写真

すべてのおひとりさまが終活をやらなければいけないということはありません。

ただ、おひとりさまが終活をしておかないと以下のようなリスクが発生する可能性があります。

・孤独死をしても誰にも気がついてもらえない
・財産のある場合に相続が自分の希望と異なったものとなってしまう
・自分が亡くなること、もしくは認知機能が低下することによって親族や家主といった周囲の人に迷惑をかけてしまう
・希望していない形で葬儀もしくは埋葬が行われることがある
・身元引受人を用意できない可能性がある


これまでは終活というのは、家族や子どもに迷惑をかけないためのものと思われてきましたが、現在では身寄りのあるなしに関わらずに必要なものだという認識となりつつあります。

「孤独死を避けたい」、「葬儀や遺品を自分の希望に沿って処理してほしい」と考える方にとって終活は非常に有益な取り組みと言えるでしょう。

■孤独死とおひとりさまの現状について
昨今日本では、未婚率の上昇もあり、一人暮らしの割合が年々増加傾向にあります。
東京23区内では若い年齢層から高齢者まで一人暮らしが最も多いため、孤独死と思われる65歳以上の死亡者数も増加しています。
内閣府の「令和3年版高齢社会白書」によれば、令和元年には東京都の23区内で約4,000人の一人暮らしの高齢者が孤独死していることが分かります。

孤独死というのは自分に関係ないことではなく、とても身近な問題になりつつあります。そのため、「おひとりさま」が終活をするのは非常に重要です。

2.「おひとりさま」終活でやるべきこと①エンディングノートの作成

自分に何かあったときに第三者に分かりやすく自分の希望を伝えられる

エンディングノートと書かれたノートとボールペンの写真

エンディングノートとは、自分の人生の終わりに関する希望や指示をまとめたもののことです。
遺言書とは異なり、法的な効力を持たないことが多いですが、残された家族や友人が故人の意志に従って行動できるようにするためのガイドラインとして機能します。

おひとりさまの場合、以下の点でエンディングノートの作成が特に重要になります。

・自分の意志を明確化できる
身近な家族がいない、または疎遠である場合のあるおひとりさまは、エンディングノートによって、葬儀の方法、資産の分配、自分の遺品の扱い方などについての希望を明確にすることができます。
これにより、自分の人生に関する最後の決定を自分で行うことができます。

・死後の手続きを簡素化できる
死後の手続きは複雑で残された人々にとって負担となることがあります。
エンディングノートには、保険証券や資産リスト、パスワードなど、重要な情報を記載できます。これにより、必要な手続きを迅速かつスムーズに行うことができるでしょう。

・意志の不一致や争いを予防できる
親族や友人間で故人の遺志について異なる解釈が生じることがあります。エンディングノートは、故人の意向が明確に記されているため、可能な限り争いを避けることができます。

・精神的な安心感を持てる
自分の人生の終わりについて事前に計画することで、精神的な平和を得ることができます。自分の意志が尊重され、事後の手続きがスムーズに行われるという確信は生きている間の不安を軽減するでしょう。

おひとりさまの終活において、エンディングノートの作成は、自己決定権の尊重、未来への準備、そして精神的な安心感を提供する重要なステップです。
自分の意志を明確に伝え、自分の人生の終わりを自分らしく迎えるために、この終活は極めて重要です。

エンディングノートの作成方法については以下の記事を参考にしてください。
関連記事: エンディングノートの書き方を解説!必要な項目や作成時の注意点などを詳しくご紹介します

3.「おひとりさま」終活でやるべきこと②死後の手続きをスムーズに進めるための契約を検討する

自分の判断能力がはっきりしているうちに大切な契約をしておくことをおすすめします

「死後事務委任契約」と書かれたプレートと家や車や年金手帳やハンコが並ぶ写真

終活をスムーズに進めるために、いくつかの契約を利用する方法があります。

・死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、自分が亡くなった後に発生する事務手続きを生前に依頼しておく制度のことです。いわゆる、死後事務と呼ばれる手続きを第三者に委任することができます。

死後事務とは、通夜や葬儀、埋葬、入院している場合は病院や施設の費用の支払い、公共料金やカード会社などの解約、自宅や施設の片付けなどです。
これらの死後事務は多くの場合は親族が行っていますが、迷惑をかけたくない場合や頼れる親族がいないといったおひとりさまの場合に検討する価値があるでしょう。

司法書士などの専門家に依頼するので、一定の費用が必要です。

・任意後見契約
任意後見契約とは、判断能力がはっきりしているうちに財産管理や介護療養等の手続きを代行してくれる後見人を選んで契約しておく制度です。
認知症になり、判断能力が低下した際に資産や年金関係の手続きを代行してもらえますし、施設や病院に入院する際にも身元引受人になってもらえます。

成年後見制度の一つであり、この他に法定後見制度があります。この制度は本人の判断能力が低下した際に周囲の人が裁判所に申し立てを行い、後見人を選ぶ制度のことです。

・財産管理等委任契約
財産管理等委任契約とは、老化や体調不良といった理由で財産を自己管理できない場合に財産の管理を第三者に代行してもらう制度です。
利用するための要件は特にないので、判断能力が低下する前から財産管理を委任したい場合に活用できます。
成年後見制度に認められている取消権がない、公正証書の作成、後見登記の手続きを行わないことから社会的信用が低いというデメリットがあります。

4.「おひとりさま」終活でやるべきこと③遺言状を残しておく

遺産を相続する人を自分が選ぶ

遺言書を作成する手元の写真

遺言書を作成する最大のメリットは、自分の財産を相続する人を自分自身で決められる点にあります。
亡くなった場合は民法で定められた法定相続人が相続することになり、具体的には、配偶者、子ども、兄弟姉妹やその子どもなどです。

法定相続人がいない場合、財産は国庫に入ってしまいます。法定相続人に財産を相続したいのであれば特別な遺言書は必要ありませんが、他に相続したい人(団体)がいるという場合は遺言書を残しておくことが望ましいでしょう。
NPO法人や特定の地方公共団体などに寄付する場合は相続税が発生しません。特にNPO法人はかなりの数存在しており、自分が心を傾けることができる活動に相続できるため、検討する方も増えています。
家族や親族ではなく特定の相続先を指定したい、自分の財産が国のものになるのは抵抗があるなどの方に注目されています。
このような場合は、遺言書による寄付を行うことで指定した先に財産の相続ができます。

遺言書の作成方法については以下の記事を参考にしてください。
関連記事: 遺言書の書き方とは?注意点などをわかりやすくご紹介します

5.「おひとりさま」終活でやるべきこと④お墓や納骨堂など、埋葬先を決めておく

遺体の引き取り手がいないといった問題を解消できる

納骨堂のなかで合唱する男性和尚の写真

おひとりさまが亡くなったときの大きな問題のひとつとして挙げられるのが、「遺体の引き取り手がいない」問題です。

身よりのない人が亡くなった場合、自治体は公的記録をもとに親族を捜索し、遺体の処理や葬式、埋葬を要請します。
もし身内が見つからない時は、「行旅病人及び行旅死亡者の取扱いに関する法律」に基づき、地方自治体が責任を持って火葬を行います。引き取り手が現れない遺骨は、ある期間保管された後、「無縁仏」として集団で埋葬されることが一般的です。

このような事態を避けるためにも、生前に埋葬先を決定しておくことは重要です。これにより、亡くなった際に遺体の引き取り手がいなくても、事前の契約や計画に基づいて迅速に遺体の処理が行われます。
また、行政側の手続きもスムーズに進み、遺体の保管期間が長引くことを防げます。

それ以外にも以下のようなメリットがあります。
・ 家族や友人の負担軽減
おひとりさまの場合、具体的な埋葬先を指定しておくことで、友人や遠い親族が死後の手続きを行う際の負担を軽減できます。
また、自分の意志が明確に記されていることで、遺された人々の間での意見の不一致や混乱を避けることができます。

・ 費用を準備できる
事前に埋葬先を決めることで、関連する費用をあらかじめ計画し、準備することができます。
また、価格の上昇や予期せぬ費用に対する心配を軽減できます。

・死後も個人の尊厳が守られる
自分の埋葬方法を選択することで、個人の社会的、文化的価値観を反映することができます。例えば、環境に配慮した埋葬方法を選ぶことや、特定の宗教的儀式に従って埋葬を行うことなど、自分の人生観や価値観を最後まで貫くことができます。

おひとりさまが終活で埋葬先を事前に決めることは、自分自身の意志を尊重し、残された人々への配慮、そして社会的・文化的価値観の実現において非常に重要です。この終活を通じて、自分らしい終末を迎える準備を整えることができるでしょう。

■おひとりさまの埋葬先の選択肢の例
1. 伝統的なお墓
・家族墓:既存の家族墓に埋葬される選択。家族や先祖と一緒に眠ることを選ぶ人がいます。
・個人墓:自身のためだけに設けられるお墓。自分の意志でデザインや場所を選ぶことが可能です。

2. 納骨堂
屋内に設けられた施設で、遺骨を収納するスペースを購入します。永代供養を選択することも可能で、将来的な管理や維持の心配を軽減できます。

3. 樹木葬
遺骨を自然に還す形式の一つで、特定の樹木の下に埋葬します。自然環境に優しく、自然と一体になることを望む人に適しています。

4. 散骨
海や山など、特定の場所に遺骨を散布します。自然への回帰を望む人や、特定の場所に特別な思い入れがある人に選ばれます。

5. 海洋葬
海に遺骨を撒く形式の散骨。海を愛した人や、海とともに永遠の安息を求める人に選ばれることがあります。

6. 永代供養墓
寺院や霊園が、個人の遺骨を代々供養してくれるサービス。家族がいない、または将来的にお墓の管理を継ぐ人がいない場合に適しています。

7. クリマトリウム(火葬場)での直接収納
火葬後、特に遺骨を引き取る人がいない場合に、火葬場や施設内で直接収納・供養してもらう方法。

8. 自然葬
自然葬には樹木葬や散骨以外にも、花葬(遺骨を花とともに土に還す)など、自然との調和を重んじる方法が含まれます。

9. 宇宙葬
一部の遺骨を宇宙空間へ送る、比較的新しい形式の埋葬方法。宇宙への憧れがある人に選ばれることがありますが、費用が高額になることが一般的です。

これらの選択肢は、おひとりさまの価値観やライフスタイル、最終的な意志に合わせて選ばれるべきものです。終活を行う際は、これらの選択肢を検討し、自分にとって最適な方法を選ぶことが大切です。

6.「おひとりさま」終活に必要な費用

費用には幅があるので比較することが重要

預金通帳と電卓と杖が並んだ写真

おひとりさまの終活には、想像以上の費用がかかってしまいます。

■遺言書の作成
■お墓や納骨堂などの費用
■葬儀の準備

などがありますが、遺言書については作成する方もいればしない方も当然いますし、なにを選択するかによって費用は大きく異なります。

一般的な終活の費用は平均で250万円程度です。
終活の費用を抑えたいという場合は、自分でできることは元気なうちに行ったり、専門家を利用する場合もいくつかに見積もりを出してもらったりするなどの工夫で費用を抑えることができます。

もしくは、終活についてできる限り専門家を利用して自分では行いたくない、もしくは身体の状況によっては自分で行えない場合もあるでしょう。
そのようなときは、事前にできる方法がいくつかあります。

・保険を見直す
必要のない保険の見直しを行うことで保険料を削減したり、保険を解約したりすることで終活費用に充てられます。
入ったままの保険などは見直しが必要であり、不要な保険をそのままにしている方も多いです。

・資産を売却する
空き家、土地、車、有価証券などの資産を売却することで現金を準備できます。相続手続きの手間も省けるため一石二鳥の方法です。
可能であれば、まだ元気なうちに資産を売却しておきましょう。

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