納骨堂とは?お墓との違いや納骨堂を選択するメリットについて詳しく解説
公開日:2024.4.3
納骨堂とは、故人の遺骨を安置する建物や施設のことです。
近年では、土地の利用効率や維持管理の容易さから、お墓に代わる新しい供養先として選ばれるようになりました。
この記事では、納骨堂とは一体どんなものなのか、お墓との違いや利用するメリット、費用について分かりやすく解説します。
納骨堂とは、故人の遺骨を安置する建物や施設のことです。
近年では、土地の利用効率や維持管理の容易さから、お墓に代わる新しい供養先として選ばれるようになりました。
この記事では、納骨堂とは一体どんなものなのか、お墓との違いや利用するメリット、費用について分かりやすく解説します。
納骨堂とは、個人や夫婦といった単位ごとにご遺骨を収蔵できる「遺骨スペース」のことです。
納骨堂は室内に設けられていることが一般的であり、ご遺骨を土に還すこともなく、骨壺ごと収蔵してあります。
ひとつの建物の中に多くの納骨スペースを備えており、従来のお墓の様に広いスペースを必要とすることもありません。
住宅で例えるのであれば、お墓は一戸建てであり、納骨堂はマンションとのようなものと考えると想像しやすいでしょう。
納骨堂がマンションのようなものというと、近代的なイメージがありますが、実は昭和初期からあるものです。
かねては、お墓を建てるまでに時間を有することから、お寺の境内で一時的に遺骨を預かってもらうことがありました。
そのときの印象が強い方にとっては、納骨堂は一時的なご遺骨の預かり所というイメージと捉えている方もいることでしょう。
しかし、近年では多様なニーズに合わせてお墓の代わりとしての施設として利用されるようになっています。
安置期間が決められていることが多く、期間終了後は永代供養墓に合祀するケースが一般的です。納骨堂の多くは承継者不足に悩まされているため、安置期間を決めているようです。
納骨堂の種類は大きく分けると5種類あります。
⑤①自動搬送型
ビル型、マンション型と呼ばれることの多いタイプで、遺骨を機械に納めているので、必要なときに呼び出す形式です。
ICカードをかざすと、参拝ブースまで自動的にご遺骨が搬送されます。
清掃や管理をすることもなく、セキュリティ面もコンピューター制御で万全です。
②ロッカー型
コインロッカーのように扉の付いた同じ大きさのお壇が並んでいるタイプ。他のタイプの納骨堂よりも低価格であり、個人のスペースにお花や写真を置けるところもあります。
③仏壇型
契約単位ごとで仏壇が用意されているタイプです。上段に仏壇、下段に遺骨を納め、お花や写真を置くことも可能です。
④位牌型
戒名や没年月日などが書かれている位牌を個人スペースのシンボルとするタイプ。
施設によって形式が異なり、位牌とご遺骨を一緒に置くタイプ、もしくは位牌とご遺骨を別のスペースに置くタイプに分かれます。
⑤墓石型
一般のお墓と同じ様に墓石を用意するタイプです。雨風の影響を受けにくく、お花やお線香をお供えできるものもあります。
納骨堂と一般墓(伝統的なお墓)は、故人の遺骨を供養する場所として共通していますが、その形態や特徴にはいくつかの違いがあります。
1. 形態と構造
・納骨堂
主に建物内部に納骨スペースがあります。屋内にあるため、天候に左右されずに訪問することができます。
また、納骨スタイルはさまざまで、それぞれの納骨堂によります。
・一般墓
土地に設けられた墓石や墓地のことで、屋外にあります。遺骨は地中に埋葬されるか、墓石の下に設けられた納骨スペースに置かれます。
2. 土地との関係
・納骨堂
土地を必要としない、または必要とする面積が非常に小さいため、土地の限られた都市部でも設置しやすいです。
・一般墓
土地を必要とし、一定のスペースが必要です。そのため、広い土地が必要とされ、郊外や特定の墓地に設置されることが多いです。
3. 維持管理
・納骨堂
建物内にあり、清掃や安全の確保が施設側によって行われるため、維持管理が比較的容易です。
・一般墓
遺族が定期的にお墓参りをして清掃や花を供えるなどの維持管理が必要です。自然環境に左右されるため、管理がより複雑になることがあります。
4. コスト
・納骨堂
初期費用や年間の管理費用が比較的低価格で設定されていることが多いですが、施設によって異なります。
・一般墓
土地の購入や墓石の建立に高額な費用がかかります。また、年間の維持管理費も必要です。
5. 供養形態
・納骨堂
個別に納骨壇が用意される場合もあれば、共同で遺骨を安置するタイプのものもあります。また、宗教に依存しない施設も存在します。
・一般墓
家族単位で使用されることが多く、家系を通じて代々引き継がれる伝統があります。宗教的な意味合いが強いことが一般的です。
これらの違いにより、納骨堂は都市部に住む人々や土地の確保が難しい場合、または比較的手軽に供養をしたい人々に選ばれやすく、一方で一般墓は伝統的な供養を重んじる人々や家族単位での長期的な供養を望む人々に選ばれる傾向にあります。
納骨堂はその多くが墓石を必要としないため、一般的なお墓と比べて初期費用が安く済みます。
一般のお墓を購入する場合に必要な費用は、墓石代と墓地の永代使用料と合わせて総額で100〜350万程度となっています。
一方、納骨堂であれば個人用ですと50万円程度で済みますし、家族用であっても100〜200万円程度の費用で済むのです。
近年は納骨堂の種類も増えており、高級なタイプも登場していますが、それらの場合でも一般墓よりも安く済むでしょう。
さらに、一般墓にはないメリットも納骨堂にはあります。
・管理の手間がほとんど掛からない
一般墓のように汚れることもなく雑草が生えることもないので、掃除や草むしりが不要です。
・屋内で快適にお墓参りができる
屋内施設であるため、暑い日や寒い日、悪天候の際にもゆっくりお墓参りができます。
・承継者や無縁仏といった心配がいらない
初期費用に永代供養料が含まれており、承継者がいなくても契約が可能です。
・アクセスのよい場所にある
ほとんどが都市部に建てられているので、利便性が高いといえます。
費用面もさることながら、これらのメリットを考えて納骨堂を選ぶ方も増えています。
契約の際には、メリットだけではなくデメリットもチェックしておくことが必要です。
・お線香をあげられない
ほとんどの場合、納骨堂は室内や建物内に設置されているため、安全面などから火の使用が禁止されているところが多くなっています。
多くの方は火を付けずにお線香をお供えしたり、電子線香を活用したりしています。
また、中には共有の参拝スペースに限定してお線香を焚いていい施設もあるので事前に調べておきましょう。
・納骨スペースに制限あり
納骨堂のスペースは狭いため、大人数のご遺骨の収蔵には不向きといえます。墓じまいをし、ご遺骨を納骨堂へ移動したい場合はスペースの確認が必要です。
・お参りする場所が共用であることも
お盆などのお墓参りをする方が多い時期は参拝スペースが混雑し、順番待ちが発生している場合もあります。
・個別供養期間がある
ほとんどの場合、個別供養期間が過ぎると最終的には合祀墓へ移されるため、個別のお参りや分骨はできません。
・建物の老朽化
納骨堂は室内にあるため雨風にさらされることはありませんが、経年による建物の老朽化が見られるケースが多くなっています。
地震などの災害で倒壊する可能性もあるため、建物の修繕計画がどうなっているかを確認しておきましょう。
費用の目安は、1人用ですと50万円程度、家族用ですと100〜200万円程度です。年間管理費は、1万円前後であるケースがほとんどです。
費用に含まれているのは、永代供養料や永代使用料、開眼法要料、納骨費用などが含まれていますが、戒名や位牌などが組み込まれているかは納骨堂によって違います。
予算を抑えたい場合、東京都であれば多磨霊園や雑司ヶ谷霊園など都が運営している納骨堂があります。
その他、それぞれの自治体が運営している納骨堂がありますが、募集の数には限りがあるため、入れるかどうかは自治体に問い合わせるようにしてください。
納骨堂はさまざまなタイプがあり、供養方法の違いや規模により、費用も大きく変わってきます。
いくら基本料金は安くなっていても、ほとんどのサービスがオプション料金となっていることもあり、想像以上に高額になってしまうケースも考えられます。
自分達の希望を叶えるにはどのくらいの費用がかかるかを事前に確認するようにしましょう。
もちろん、その逆で価格を抑えながらも、サービスが充実しているケースもありますので、まずは複数の納骨堂を調べてみることをおすすめします。
このように納骨堂は現代の多様なライフスタイルや価値観、都市化が進む社会において、選択されやすい供養の形態の一つと言えます。
納骨堂は、以下のような条件やニーズを持つ人に特におすすめです。
・都市部に住んでいる人
土地が高価で限られている都市部では、納骨堂がスペースを有効に活用できる選択肢です。
・維持管理を自分で行いたくない人
納骨堂では施設が管理を行うため、個人の時間や手間がかかりません。
・初期投資や維持費用を抑えたい人
一般的に納骨堂は一般墓に比べて初期費用や維持費が低く設定されています。
・宗教に依存しない供養を求める人
宗教的な制約が少なく、多様な信仰や無宗教の人でも利用しやすい施設が多いです。
・将来的にお墓の管理が難しいと考える人
単身者や遺族がいない場合、納骨堂は永代供養のオプションを提供しており、将来にわたって故人を供養してくれます。
・環境に配慮したい人
土地を使用しない、または使用する土地が少ないため、環境への負担が少ないと考える人に適しています。
・手軽に訪問したい人
屋内にあるため、天候に左右されずにいつでも訪れやすいという利点があります。