1.まずはアンテナの種類をチェック
自宅のテレビアンテナの向きを調整する前に、設置されているアンテナの種類を確認しておくことが大切です。代表的なテレビアンテナには、八木式アンテナ、デザインアンテナ、パラボラアンテナ、室内アンテナがあります。種類によって受信する電波や設置場所、調整方法が異なるため、まずは自宅のアンテナがどれに該当するか確認しましょう。
八木式アンテナ
八木式アンテナは、主に屋根の上などに設置される地デジ用アンテナです。複数の素子が並んだ形状をしており、電波塔の方向へ向けて設置します。
屋根の上など高い位置に設置されることが多いため、強風や積雪などの影響で向きがズレることがあります。屋根上に設置された八木式アンテナの向きを調整するには高所作業が必要になるため、自分で無理に作業するのは避けたほうが安全です。受信状態を確認しながら細かく方向を調整する必要があるため、専門事業者への依頼を検討するとよいでしょう。
デザインアンテナ
デザインアンテナは、住宅の外壁などに設置される箱型の地デジ用アンテナです。外観になじみやすく、屋根上に設置する八木式アンテナと比べて風の影響を受けにくい特徴があります。
ただし、設置場所や周囲の建物、電波塔との位置関係によって受信状態が変わります。外壁の高い位置に取り付けられている場合は、自分で調整しようとすると転落の危険があるため、安全に手が届く場所かどうかを確認することが重要です。
パラボラアンテナ
パラボラアンテナは、BSやCSなどの衛星放送を受信するためのアンテナです。お椀型の形状をしており、ベランダや屋根などに設置されます。
衛星から届く電波を受信するため、方角だけでなく上下の角度も合わせる必要があります。わずかなズレでも受信レベルが低下することがあるため、テレビ画面のアンテナレベルなどを確認しながら少しずつ調整します。ベランダなど安全に作業できる場所に設置されている場合は自分で調整できることもありますが、屋根上など高所にある場合は専門事業者へ任せたほうが安全です。
室内アンテナ
室内アンテナは、地デジ電波を受信するために室内へ設置する小型のアンテナです。屋根や外壁での工事が不要なため、4種類のなかでは自分で位置や向きを調整しやすいタイプといえます。
受信状況は、部屋の位置や窓の向き、周囲の建物などによって変わります。テレビのアンテナレベルを確認しながら、窓際など電波を受信しやすい場所へ移動させ、向きを少しずつ変えて調整するとよいでしょう。ただし、電波そのものが弱い地域では、位置を変えても十分な受信レベルを確保できないことがあります。
2.テレビアンテナの向きを調整する方法
テレビアンテナの種類によって、向きを調整する方法や難易度は異なります。特に屋外アンテナは設置場所によって高所作業が必要になるため、自分で安全に作業できる範囲かを確認したうえで判断することが大切です。
八木式アンテナの向き調整
八木式アンテナの向き調整では、受信する放送局の送信所がある方向へアンテナを向けるのが基本です。周辺住宅のアンテナは参考になりますが、受信している送信所が同じとは限らないため、地図やアンテナ方向を確認できるサービスなどで位置を調べると判断しやすくなります。
調整する際は、テレビに表示されるアンテナレベルを確認しながら、アンテナの向きを少しずつ変えて受信状態の良い位置を探します。2人で作業できれば、1人がアンテナを動かし、もう1人がテレビ画面を確認できるため調整しやすくなります。
ただし、屋根上に設置された八木式アンテナでは、固定金具を緩める作業そのものに転落の危険があります。屋根に上る必要がある場合は、自分で向きを調整せずアンテナ工事の専門事業者へ依頼したほうが安全です。
デザインアンテナの向き調整
デザインアンテナの向き調整も、受信する送信所の方向に合わせて行います。一般的には電波を受信する面を送信所側へ向け、テレビのアンテナレベルを確認しながら受信状態の良い位置を探します。
外壁に設置されているデザインアンテナは、取り付け位置によっては脚立やはしごが必要です。安全に手が届く場所でなければ、自分で調整するのは避けたほうがよいでしょう。また、向きを変えても改善しない場合は、周辺環境による電波の遮蔽やブースター、配線など別の原因も考えられます。
パラボラアンテナの向き調整
パラボラアンテナの向き調整では、受信する衛星に合わせて左右の方位角と上下の仰角を調整します。必要な角度は地域や受信する衛星によって異なるため、アンテナメーカーが公開している資料や対応アプリなどで確認する必要があります。
パラボラアンテナはわずかな角度の違いでも受信状態が大きく変わります。テレビのアンテナレベルを確認しながら少しずつ方向を変え、表示が安定するまで待ってから次の調整を行うことがポイントです。
ベランダなど安全な場所に設置されていれば自分で調整できることもありますが、屋根上や高い壁面にある場合は高所作業になるため、専門事業者へ依頼したほうが安全です。
室内アンテナの向き調整
室内アンテナの向き調整は、ほかのアンテナと比べて自分で行いやすい方法です。テレビのアンテナレベルを確認しながら、本体の向きや設置場所を変えて受信状態の良い位置を探します。
窓際など屋外からの電波を受信しやすい場所へ移動させると改善することがあります。ただし、周囲の建物や住宅の構造、地域の電波状況によっては、室内アンテナの位置を変えるだけでは十分な受信レベルを確保できません。何度調整しても安定しない場合は、屋外アンテナへの変更を含めて専門事業者へ相談するとよいでしょう。
3.テレビアンテナの向きを自分で調整するリスク
テレビアンテナの向きを自分で調整すると、転落などの事故につながるだけでなく、作業に時間や手間がかかることがあります。さらに、調整方法を誤るとアンテナや周辺部品を破損させ、修理範囲が広がるおそれもあります。ここでは、自分で向きを調整する際に考えられる主なリスクを解説します。
高所作業による転落や大けがの危険性
特に注意したいのが、高所作業による転落です。八木式アンテナは屋根の高い位置に設置されていることが多く、高所作業に慣れていない方が瓦屋根や傾斜のある場所へ上ると、足を滑らせて転落する危険があります。
屋根や高い壁面に設置されたアンテナは、向きを直すだけの作業でも転落事故につながるため、自分で調整しないほうが安全です。特に雨で屋根が濡れているときや風が強い日は危険性がさらに高まるため、高所での作業は避ける必要があります。
専門知識や機材がないと調整に時間がかかる
アンテナを適切な方向へ調整するには、電波の受信状況を確認するための知識や機材が必要です。アンテナ工事の専門事業者は測定器を使い、受信レベルや電波の品質を確認しながら適切な位置を探します。
自分で調整する場合、テレビに表示されるアンテナレベルを確認しながら少しずつ向きを変える必要があります。アンテナとテレビが離れていれば、屋外と室内を何度も行き来することになり、想定以上に時間や体力を使うこともあります。また、向きを変えても改善しない場合は、アンテナ以外に原因がある可能性も考えなければなりません。
機器の破損や落下による二次被害のリスクがある
自分で作業すると、アンテナ本体や固定金具、配線を破損するリスクもあります。経年劣化した部品へ無理に力を加えると、固定金具が折れたりケーブルを傷めたりして、本来は向きの調整だけで済んだ不具合が部品交換まで必要になることも考えられます。
また、高所から工具やアンテナの部品を落とせば、住宅や車を傷つけたり、下にいる人へけがを負わせたりする危険があります。自分で安全に作業できない場所に設置されている場合や、固定部分が劣化している場合は、専門事業者へ調整を依頼したほうが安心です。
4.テレビアンテナの向きの調整を専門事業者に依頼した際の費用相場
テレビアンテナの向き調整を専門事業者へ依頼する場合、費用は作業内容や設置場所によって異なります。向きの調整だけで済むケースもあれば、アンテナの立て直しや部品交換、配線工事まで必要になることもあります。見積もりでは、どの作業にいくらかかるのかを確認することが大切です。
向き調整や立て直しを依頼した場合の費用
アンテナの向き調整を依頼する場合の費用相場は、約5,000円〜12,000円です。強風などでアンテナが傾いたり倒れたりしており、立て直しまで必要な場合は、約10,000円〜22,000円が目安となります。
ただし、アンテナの種類や設置場所、建物の高さなどによって作業の難易度は変わります。向き調整だけで済むのか、立て直しや部品交換まで必要なのかによって総額が変わるため、作業前に見積もりと内訳を確認することが重要です。
部品交換や配線修理が必要になった場合の追加費用
テレビが映らない原因は、アンテナの向きのズレだけとは限りません。ブースターやアンテナケーブルなどの不具合が見つかれば、追加の修理費用が必要になります。
ブースターの交換・設置は約15,000円〜30,000円、分配や配線工事は約10,000円〜25,000円が目安です。向きを調整しても受信状態が改善しない場合は、こうした周辺設備に原因がないか確認してもらう必要があります。
なお、追加工事を勧められた際は、なぜその作業が必要なのか説明を受け、見積もりへ反映された金額を確認してから依頼すると安心です。
アンテナ本体の交換や撤去が必要になった場合の費用
長期間使用しているアンテナにサビや破損、固定部分の劣化などが見られる場合は、向きの調整や立て直しではなく、アンテナ本体の交換が必要になることがあります。
アンテナ本体の交換工事は、種類によって異なりますが約33,000円〜60,000円が目安です。古いアンテナの撤去や処分が別料金となる場合は、約10,000円〜20,000円が加算されることもあります。
アンテナの寿命は設置環境や製品によって異なるため、使用年数だけで交換を判断する必要はありません。受信状態だけでなく、サビや固定金具の劣化なども確認してもらい、調整で済むのか交換が必要なのかを判断してもらうとよいでしょう。
5.テレビアンテナの調整は専門事業者に依頼するのがおすすめ
テレビアンテナの向きを調整する場合は、高所からの転落や機器の破損だけでなく、受信状況を正確に測定する難しさもあります。安全に視聴環境を復旧させたい場合は、経験や専用機材を持つ専門事業者へ依頼する方法があります。
依頼先を選ぶ際は、料金の安さだけで決めず、見積もりの内容や保証、対応の丁寧さまで比較することが大切です。特に確認したいポイントは次のとおりです。
複数社の見積もりから費用相場を確認する
複数社から相見積もりを取ると、テレビアンテナの向き調整にかかる費用を比較しやすくなります。1社だけでは提示された金額が妥当か判断しにくいため、できれば2〜3社程度へ相談するとよいでしょう。
極端に高い見積もりだけでなく、最初に安い料金を提示し、作業後に高額な追加費用を請求するケースを避けるためにも、作業前に総額を確認することが重要です。金額だけではなく、どこまでの作業が含まれているのかもあわせて比較します。
見積もりの内訳が明確か確認する
見積もりの内訳では、作業費や部品代、出張費、高所作業費などが具体的に記載されているか確認します。「アンテナ工事一式」などの表記だけでは、何にいくらかかるのか分からず、他社との比較も難しくなります。
また、現在の受信状況や必要な作業について分かりやすく説明してもらえるかも重要です。追加料金が発生する可能性がある場合は、どのような条件でいくら加算されるのかまで確認しておくと、費用トラブルを防ぎやすくなります。
保証やアフターフォローの内容を確認する
依頼先を比較する際は、施工後の保証やアフターフォローも確認しておきたいポイントです。アンテナの向きを調整した直後は問題がなくても、その後の天候などによって受信状態が不安定になることがあります。
保証がある場合は、期間だけでなく、どのような不具合が対象になるのかまで確認します。自然災害によるアンテナのズレなどは保証対象外となることもあるため、「長期保証」という表記だけで判断せず、適用条件まで把握しておくと安心です。
問い合わせへの対応も比較する
問い合わせ時の対応も、依頼先を選ぶ際の判断材料になります。質問に対して具体的に回答してもらえるか、料金や作業内容について曖昧な説明がないかを確認するとよいでしょう。
ただし、返信が早いことだけで施工品質まで判断できるわけではありません。費用や作業内容、保証について丁寧に説明し、疑問点にも納得できる回答をしてもらえるかを確認することが大切です。料金だけでなく、施工内容や保証、対応を総合的に比較すると、自分に合った専門事業者を選びやすくなります。