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台風被害で瓦が落ちた!賠償責任が生じるポイントを解説

公開日:2025.9.4
台風被害で瓦が落ちた!賠償責任が生じるポイントを解説

「台風の強風で隣家の瓦が飛んできて窓ガラスや庭が壊れた」「自宅の瓦が台風で落下し、通行人が怪我をした」――こうした台風による瓦の被害が発生した場合、賠償責任が生じるかどうかは屋根の点検や補修を怠っていたかどうか(=工作物責任)が重要な判断基準となります。逆に、所有者が日頃から定期的なメンテナンスを実施し、落下を防ぐための措置を講じていた場合には、法律上の賠償義務を問われないケースもあります。

本記事では、台風で瓦が落下した際に賠償責任が発生する具体的な条件や、所有者が押さえておくべき屋根の点検・補修のポイントについて、わかりやすく解説します。

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1.台風による瓦被害①隣家の瓦が落ちてきて自分が被害に遭った場合

隣家に過失があった場合は損害賠償を請求できる

台風で壊れた屋根瓦の写真

台風のあと自宅に戻ると、瓦が落下して壁が壊れていたという台風による瓦の被害は珍しくありません。
しかも落ちていたのが隣家の屋根の瓦だった場合でも、「自然災害だから仕方ない」とあきらめていませんか?隣家に過失があったと判断されれば、損害賠償を請求できる可能性があります。

例えば、瓦が以前から割れていたり浮いていたりしたのに修理せず放置していたケース、または周囲から「危ないから直した方がいい」と指摘されていたのに何も対策を取らなかったケースです。こうした場合は「注意を怠った=過失があった」と判断されやすくなります。

民法では「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は被害者に対して損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が必要な注意をしていた場合は、所有者が賠償責任を負う」と定めています。これを工作物責任と呼びます。つまり、自然災害であっても、備えておくべき危険に対して適切な対策を怠っていれば、損害賠償責任が発生する仕組みです。

ただし、すべてのケースで賠償が認められるわけではありません。例えば、非常に強い台風で、しっかり管理されていた建物の一部が想定外に壊れてしまった場合には過失がないとされ、賠償を求めるのは難しくなります。

実際には、個別の状況をもとに原因や管理状況を詳しく調査し、損害責任の有無を判断する必要があります。被害に遭った場合は、まず写真などで証拠を残し、専門家に相談することをおすすめします。

2.台風による瓦被害②自分の家の瓦が落ちて隣家や通行人に被害を与えた場合

過失がある場合は自動車保険や火災保険などとセットで加入している賠償責任保険を使う

割れた屋根瓦の写真

自分の家が台風の被害に遭って屋根の瓦が落ち、さらにその瓦が隣家の窓を割ったり、通行人にけがをさせてしまった場合、気になるのは自分にどこまで責任があるのかではないでしょうか。

民法717条では、「建物などの管理に不備(=瑕疵)があり、そのせいで他人に被害を与えた場合には、その持ち主や管理者が損害を賠償しなければならない」と定められています。つまり、自宅の屋根に明らかな不具合があり、それを放置していたことが原因で台風による瓦の被害が発生したのであれば、損害賠償の責任が生じます。

ただし、台風や地震といった自然災害が原因で、家自体に特段の問題がなかった場合は「予見や回避が難しい事故」と判断され、原則として個人に賠償責任は問われません。責任の有無は、屋根の状態や過去のメンテナンス状況なども踏まえ、ケースごとに判断されます。

そのため、いざというときに備えて確認しておきたいのが個人賠償責任保険です。これは火災保険や自動車保険などに付帯していることが多く、日常生活で他人にけがや物損を与えた場合に、保険金で補償できる仕組みです。

被害者に重度のけがや後遺症が残った場合、数百万円から数千万円の賠償が発生するケースもあります。そうした高額な請求に備えるためにも、個人賠償責任保険は大きな安心材料となります。

3.台風の影響で瓦が落ちても過失がなければ賠償責任はない

台風による瓦被害は、日頃からメンテナンスをしていた場合は「過失なし」

セメント瓦屋根の袖瓦をペン缶持って刷毛塗りする男性塗装職人の写真

台風の影響で瓦が落ちてしまった場合でも、過失がなければ賠償責任が問われないことがあります。ポイントになるのは、屋根が日常的に管理されていたかどうかです。

自然災害による事故は不可抗力とされ、通常は賠償責任が発生しません。天気予報でも注意喚起がされていたような強い台風で、普段から整備されていた屋根の瓦が飛んでしまった場合、それは予測不能な事故と判断されます。

つまり、日頃から屋根を適切にメンテナンスしていたのであれば、過失はないとみなされ、法律上の賠償義務は原則としてありません。逆に、瓦の劣化を放置したり、落下の危険を認識していながら修理を怠ったりした場合は「管理不足」とされ、損害賠償の責任を問われる可能性があります。

台風による瓦の被害は不可抗力であることが多い一方で、日頃の点検や補修を怠れば責任を免れないケースもあるのです。被害者からすると納得しづらい面もありますが、自然災害は人の力で完全に防ぐことはできません。だからこそ、普段から屋根の状態を確認し、備えておくことが最も大切です。

4.台風による瓦被害・加害を防ぐために普段からメンテナンスを

屋根修理業者による定期点検がおすすめ

瓦のメンテナンスを行う業者のイラスト

台風による瓦の落下は、自宅だけでなく隣家や通行人に被害を及ぼす危険があります。このようなリスクを避けるためにも、日頃から屋根の状態をチェックし、専門業者による定期点検を受けておくことが大切です。

瓦屋根でまず確認したいのが棟瓦(むねがわら)の状態です。屋根の頂上部分にあたり、風の影響を特に受けやすい場所です。棟が歪んだり傾いたりしている場合、瓦を固定している漆喰が劣化している可能性があります。見た目では判断しにくいため、専門業者に点検を依頼しましょう。

また、瓦そのものに割れや欠け、ズレがある場合も要注意です。強風や飛来物によって小さな破損が生じると、そこから雨水が浸入し雨漏りの原因になることがあります。わずかな損傷でも放置すれば、屋根全体に悪影響を及ぼしかねません。

さらに、漆喰の剥がれやひび割れも点検ポイントです。瓦と瓦のすき間を埋めて固定する漆喰は、経年劣化で少しずつ弱くなっていきます。ベランダや庭に白っぽいかけらが落ちていれば、それは剥がれた漆喰かもしれません。放置すると固定力が失われ、瓦のズレや落下を招く恐れがあります。

漆喰の耐用年数は一般的におよそ20年といわれます。新築から年数が経過している家や、これまで屋根の点検を行っていない家は、早めに専門業者に依頼して点検を受けておきましょう。

5.まとめ

台風による瓦被害に備えるためにできること

青空と屋根瓦の写真

台風による瓦の落下は、自宅だけでなく隣家や通行人に被害を及ぼし、損害賠償に発展する可能性もあります。賠償責任の有無は、屋根が日常的に適切に管理されていたかどうかで判断されるのが基本です。瓦や漆喰の劣化を放置していた場合は過失とみなされやすく、反対に定期的な点検や修繕を行っていれば、自然災害による不可抗力と判断されるケースもあります。

台風による瓦の被害を防ぐためには、普段からの点検とメンテナンスが欠かせません。棟瓦や漆喰の状態、瓦のズレや割れなどは見た目では判断が難しいことも多く、専門業者による定期点検を受けるのが安心です。また、万が一の被害に備え、個人賠償責任保険の内容を確認しておくことも重要です。

日常的な管理と備えをしておくことで、台風の被害を最小限に抑え、思わぬトラブルを防ぐことができます。

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