すが漏れとは?発生原因や具体的な予防方法について
公開日:2022.12.19 更新日:2024.4.18
建物内に水が侵入してくる現象の一つに「すが漏れ」があります。
聞きなれない方も多いと思いますが、放置しておくと建物にダメージを与えることにつながります。
そこで今回は、すが漏れと雨漏りの違いや発生原因、具体的な予防方法について解説していきます。
建物内に水が侵入してくる現象の一つに「すが漏れ」があります。
聞きなれない方も多いと思いますが、放置しておくと建物にダメージを与えることにつながります。
そこで今回は、すが漏れと雨漏りの違いや発生原因、具体的な予防方法について解説していきます。
雨漏りについては知っていても「すが漏れ」という言葉は知らないという方も少なくないと思います。
すが漏れとは、簡単にいうと屋根の積雪による水漏れのことを表しています。
「すが」とは宮城県をはじめ東北地方の方言で「氷」という意味で、屋根や軒先に積もった雪が屋内からの熱や日射で溶かされ水になり、屋根材の隙間から室内へ水が漏れる現象のことを「すがもり(すが漏り)」と言います。
この現象および用語があまり浸透しなかった理由としては、雪の多い地方にしかすが漏れは起こらなかったからです。
雨漏りと似ているように見えますが、2つの現象は大きく異なります。
雨漏りは屋根に穴があいていたり、屋根材が経年劣化していたりすることで隙間が生じ、そこから雨が侵入してしまうことです。
それに対して、すが漏れは屋根に穴があくことが原因で発生するのではなく、これといった欠陥が見当たらない屋根でも水が漏れてしまう現象です。
すが漏れは、屋根の構造による問題で発生しやすいです。
多くの屋根は、フックのようなものでつなぎ合わせて作られています。
屋根はつなぎ目があることから、屋内からの熱や太陽光で溶かされた雪がそこを通じて流れ、水漏れが発生してしまいます。
すが漏れが発生する主な原因は、以下のような仕組みになっています。
1.雪が降ることで、屋根の上の積雪量が増える
2.紫外線や屋内から発せられる暖かい空気により、屋根の上に積もった雪が溶かされる
3.溶かされた雪が水となり、屋根の上から軒へと落ちる
4.落ちた水の一部がつららに変わる
5.つららによって軒付近の水の通り道が塞がれる
6.行き場のなくなった水が屋根の上に滞留するようになる
7.滞留する水の量が増えると、屋根のつなぎ目から水が漏れていく
また、次のような条件により、すが漏れが発生しやすくなります。
・積雪量の多い地域である
前述したように、東北地方などで多く見られる現象であることから、積雪量が多い地域では要注意です。
また、南関東など年間の積雪量が少ない地域であっても、大雪の日は屋根の上に雪が積もるため、注意しなければなりません。
・雪が滑りにくい屋根である
緩勾配のように傾度が低く、雪が滑りにくい構造をしている屋根の場合、雪が落ちずに屋根の上にとどまり、溶けだして氷へと変わっていきます。
屋根の上に氷ができると、すが漏れが発生しやすくなります。
また、屋根塗装の劣化により、雪が滑り落ちず、とどまりやすくなることもあるでしょう。
屋根のすが漏れ被害に遭わないためには、日頃からきちんと予防しておく必要があります。
主なすが漏れの予防方法は次の通り。
・雪下ろしをする
すが漏れを防止する手っ取り早い方法は、きちんと屋根の雪下ろしをしておくこと。
つららを作らないように、雪が溶ける前に屋根の上の雪を除去しておくことで、すが漏れの発生を未然に防ぐことが可能です。
ただし屋根に登らなければならないので、作業にある程度慣れていることが求められます。環境によっては滑りやすくなっているため、作業中に誤って転倒してしまうリスクもあるでしょう。
・屋根を防水加工しておく
屋根の防水加工をしておくことで、屋内への水の侵入を防ぐことができます。
一度屋根がすが漏れで腐食してしまうと、最悪の場合は屋根全体の修繕が必要になることがあります。
そのため、屋根や屋上に防水加工を施しておくようにしましょう。
・天井の断熱リフォームをする
すが漏れは、屋根に積もった雪が氷になり、それが屋内からの熱で溶けることで発生します。
つまり、屋内からの暖かい空気が伝わらないようにすることで、すが漏れを防ぐことが可能です。
リフォームをして天井の断熱性能を高めることで、屋根に熱が伝わりにくくなります。
雪かきのような個人でできるすが漏れ対策もありますが、防水加工などリフォームにかかわる作業は屋根修理の専門業者に依頼することをおすすめします。
専門業者に依頼するメリットは次の通り。
・経験豊富なスタッフが揃っている
専門業者には屋根のトラブルに関して経験豊富なスタッフが揃っています。
すが漏れ対策は屋外での作業であることから、転落事故などの危険があり、個人で行うことが難しいです。
また、素人による作業ですと仕上がりにムラが生じやすく、根本的な改善につながりにくいですが、専門業者であればきちんと対応してもらえます。
・綿密な事前調査をしてくれる
屋根の専門業者は作業前に事前調査を行うことで、具体的にどのようにしてすが漏れ対策をすべきか判断します。
こうした調査は個人ではやりづらいので、まずは業者に依頼して屋根周りのどの辺りに問題があるのか調べてもらいましょう。
・アフターメンテナンスも受け付けてくれる
場合によっては作業完了後にリフォーム箇所に不具合が発覚することがあります。
不具合があると、せっかく対応してもらってもすぐにすが漏れが再発する恐れがあります。
こうした場合に備えて、多くの屋根の専門業者では無料のアフターメンテナンスを受け付けています。
ただし保証期間があり、業者によって設定されている期間が異なります。保証期間については、契約前に確認しておきましょう。
屋根の専門業者にすが漏れ対策をしてもらうには、ある程度お金がかかります。
具体的な対策費用の相場は以下の通りです。
・屋根の防水加工:150,000~400,000円
・天井の断熱リフォーム:2,000~3,000円/平方メートル
・屋根の断熱塗装:3,000~8,000円/平方メートル
このように専門業者に作業してもらうとある程度の費用がかかりますが、少しでも安くできる方法があります。
一つは、複数の業者の見積もりを比較すること。
最近では、多くの専門業者が無料見積もりに対応しています。最低でも3社以上から見積もりを取っておくと、費用相場を把握しやすくなります。
また、見積もりを取っておけば、他社に価格交渉する際の材料に利用できるでしょう。
もう一つは、お得な割引キャンペーンをやっている業者を検索してみること。
期間限定割引やインターネット申し込み限定料金などが適用できる業者もあります。
ただし、こうしたキャンペーンには適用期間がありますので、注意が必要です。
この他、国や自治体が実施している補助金・助成金制度を活用する方法もあります。
住宅の性能を高める目的で行うリフォームに関しては、その費用の一部が制度によって補助される場合があります。
適用される条件や支給される金額など、利用する際はきちんとチェックしておきましょう。