屋根の暑さ対策とは?夏の室内が暑くなる原因と対処法を解説
公開日:2024.7.9
夏になると外はもちろん、家のなかでも暑い日が続きますよね。実は、室内の温度が高いのは、外の気温だけでなく、屋根から伝わる熱も原因の一つであることをご存じでしょうか。
この記事では、屋根の暑さ対策をする方法や費用相場について解説します。
夏になると外はもちろん、家のなかでも暑い日が続きますよね。実は、室内の温度が高いのは、外の気温だけでなく、屋根から伝わる熱も原因の一つであることをご存じでしょうか。
この記事では、屋根の暑さ対策をする方法や費用相場について解説します。
室内が暑くなるのは、屋根の熱が原因となっているケースが多く、これは意外と知られていない事実です。
屋根は家のなかで最も太陽に近く、しかも長い時間日差しを受けているため、熱がこもりやすい箇所です。
もちろん外壁や窓も日光にさらされますが、一日を通して日光を浴びる箇所は屋根だけです。
さらに屋根には日差しを反射させる機能は付いていないため、日光をすべて受け止めてしまいます。
この反射されず受け止めた熱はどこへ向かうのかといえば、室内へ放射熱として伝わっていくのです。
放射熱は輻射熱とも呼ばれ、遠赤外線などの作用で熱が伝わる状態をいい、太陽光もこれにあたります。
輻射熱の特徴は、熱が電磁波として伝わるため外気の影響を受けにくい点にあり、冷たい風が吹いても屋根から直接室内に向かって熱が放射されます。
遠赤外線は冬場の電気ストーブやヒーターに利用されているものとして知られていますが、屋根の熱はそのヒーターの原理と同じと考えて良いでしょう。
つまり屋根から伝わってくる放射熱は、人体の奥までじっくりと温める性質があり、余計に暑く感じてしまうものです。
また、輻射熱の特徴としてもう1つあり、通常熱は下から上へと伝わりますが、輻射熱の場合は上から下へと移動します。
屋根を上とすれば、下は居室にあたり、この点からも屋根からの熱は室内に伝わりやすいのがわかります。
「知人の家にお邪魔したときに自分の家とは違って暑さをあまり感じなかった」そんな経験をした方は少なくないでしょう。
この違いはどこからくるのかといえば、屋根の素材や家の構造により、熱の伝わりやすさが異なるからです。
熱が伝わりやすい家の特徴としてまずは、屋根が金属製である点が挙げられ、たとえばトタンやガルバリウム鋼板、アルミがこれにあたります。
金属は調理器具に使われるように熱を通しやすい性質があり、屋根材のなかでは表面温度が高くなりやすい素材です。
金属製の屋根は薄く仕上げているため、表面の熱が裏に伝わりやすく、室内の温度も上がってしまう原理です。
次におしゃれな空間づくりとしてよく用いられる吹き抜け天井も、室内温度が高くなりやすい構造となっています。
天井が吹き抜けになっていると室内の容積が大きくなり、その分冷房が効きにくくなるのが、熱くなりやすい原因です。
天窓や2階部分にガラス窓があれば、そこから入る日光が直接室内を温めてしまうのも、原因の1つでしょう。
また、リビングが2階や3階など上層階にある家も熱くなりやすい特徴を持ち、その原因の大きなものが窓の多さです。
2階・3階は1階に比べ窓が多く設けられている間取りが多く、その分日差しが室内に入りやすく、結果的に室温も高くなってしまいます。
そのほか、スレート瓦の屋根の家も室内が暑くなりやすい家の1つで、屋根材の厚さが数ミリと薄いため、熱が直接屋根裏に伝わりそれが室内にこもって熱くなります。
家の最上階部分が暑くなるのは、屋根裏に熱がこもるのが主な原因で、この熱を逃がすのが暑さ対策として有効です。
その方法としてまずは換気棟の設置があり、これは屋根の棟に取り付けた換気孔で、軒先に設置した換気孔から吸気して換気棟から排気する仕組みです。
換気棟は自然対流を利用した換気方法をとっているため、コストがかからず、さらに熱だけでなく湿気も逃がしてくれ、一年をとおして結露防止に役立ちます。
夕方以降の暑さに悩んでいる方の熱対策としては遮熱塗料が効果的で、屋根塗装の際に遮熱塗装を使うだけで室内の温度を下げてくれるのがメリットです。
遮熱塗料は日差しを反射させる特徴があり、屋根材の蓄熱も防ぐため、とくに日が暮れてからの涼しさは、エアコンなしでも過ごせるといわれる方もいるほどです。
この遮熱塗料を選ぶときは、明るい色がおすすめで、暗めの色のものよりも反射率が高く遮熱効果も大きくなります。
屋根全体のリフォームを検討している方や、雨漏りに困っていて屋根全体の補修が必要な方は、暑さ対策を視野に入れて、断熱材一体型の屋根を選ぶと良いでしょう。
スレートや瓦屋根でのリフォームであれば、屋根の下に断熱シートを設置する方法もあります。
屋根の暑さ対策としていくつかの方法をご紹介しましたが、それぞれどれくらいの費用が必要になるかを解説します。
・屋根に換気棟を取り付ける
換気棟を屋根に取り付ける場合、1ヵ所あたりの費用は約2万5,000円です。
換気棟は、屋根の棟部に設置される換気部材で、小屋裏と呼ばれる屋根と天井の間の空間にこもる暑く湿った空気を外部に排出します。
暖かい空気は自然に上昇する性質があるため、換気棟を使用することで、電動換気扇のような機器を導入せずに空気を効率よく換気することができます。
・屋根に遮熱塗料を塗る
屋根に遮熱塗料を施す方法では、費用が約70~100万円かかります。
遮熱塗料を使用すると、屋根の表面温度を最大で約20℃下げることが可能です。外壁にも使える遮熱塗料もあり、外壁塗装と併せて施工することで、さらに大きな遮熱効果を得られます。
ただし、屋根の劣化が進んでいる場合、塗料の施工が難しいこともあるため、業者に確認することをおすすめします。
・遮熱機能付き屋根材を重ね張りする
遮熱機能付き屋根材を重ね張りする方法では、費用が約100~140万円かかります。既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねるため、劣化が進んでいる屋根にも施工が可能です。
施工費用は遮熱塗料より高めですが、耐久性が高いため、長期的には維持費を抑えられます。
・断熱材一体型の屋根にリフォームする
戸建て住宅では、ガルバリウム鋼板の裏側に断熱材を一体化させた製品がよく使用されます。断熱材が組み込まれているため、製品の価格は比較的高めです。
断熱材一体型の屋根材の価格は1平方メートルあたり約3,000円が相場で、これに加えて施工費用や足場設置費用、廃材処理費用、諸経費などがかかります。
断熱材一体型の屋根にリフォームする場合の費用相場は、約100万円~150万円程度と考えておくとよいでしょう。
屋根の暑さ対策を依頼する業者を選ぶときは、いきなり1社には絞らず、まずは複数の業者から見積もりを出してもらい、そのなかから信頼できる業者を選ぶと良いでしょう。
相見積もりのメリットは、施工の相場がわかる点で、この相場とかけ離れた見積もりを出してくる業者は優良業者でない可能性があり注意が必要です。
また、業者同士での競争心理が生まれるのもメリットで、たとえ金額が同じでも工事内容がよくなるなど、顧客に有利に働きます。
見積もりの際は業者のスタッフが現地で調査や点検を行いますが、ここで業者がどのような調査をするのか観察してください。
屋根にのぼってカメラ撮影しながら、じっくりと調べる業者もあれば、屋根に上らず下から見てすぐに帰っていく業者もあります。
相見積もりを取る際の注意点としては、依頼する業者が多すぎると、選びにくくなるため、3社程度が理想です。
そして業者によって見積もりの記載方法や内容が違うケースも多く、とくに屋根の面積の数値は若干異なるのが普通です。これは図面で計測する業者、メジャーなどで測って計測する業者、手で測る業者など計測方法の違いによりますが、大きな差がなければ問題はありません。
こうして業者が決まれば、他の業者に断りをいれなければいけませんが、引け目に感じる必要はありません。
最近では相見積もりをとるのが一般的になってきており、依頼の際に相見積もりを勧めてくる業者も少なくありません。
相見積もりは費用やサービス内容を比較して最適な選択をするための賢明な方法とされているので、どんんどん活用していきましょう。