雹で屋根に被害が出たらどうする?火災保険の対応や修理のポイントについて解説
公開日:2025.3.12
雹が降ると屋根に大きな被害をもたらすことがあります。屋根が損傷すると雨漏りだけでなく、建物の耐久性が低下する恐れがあります。
この記事では、雹による屋根の損傷を予防し、リフォームや保険の対応についても詳しく解説します。
雹が降ると屋根に大きな被害をもたらすことがあります。屋根が損傷すると雨漏りだけでなく、建物の耐久性が低下する恐れがあります。
この記事では、雹による屋根の損傷を予防し、リフォームや保険の対応についても詳しく解説します。
雹が原因で生じた屋根の被害で多いのが屋根材のへこみと破損です。
雹は直径5ミリメートルからゴルフボールまでの大きさのものまであり、大きくなるほど落下速度も速くなります。強度が高い屋根でも、スレート屋根のひび割れや破損、金属や棟板の屋根材がへこむ可能性があり注意が必要です。
雹による屋根の損傷が激しいと、気密性や防水性を高めるために入れているシーリング材まで突き破ってしまうケースもあります。
屋根材のへこみと破損があると、屋根材の強度が低下し、雨風や雪、紫外線などから家を守る機能が損なわれるでしょう。破損で生じた隙間から雨水が侵入し、壁や天井をつたい、建物の内部に雨漏りの被害が出てしまうケースも多いです。
また、雹がぶつかった際に、屋根の塗膜が剥がれるケースもあります。雹痕(ひょうこん)と呼ばれる痕があると塗膜が薄くなっており、錆びが発生する可能性が高くなります。
被害が少なければ屋根材の差し替えや塗装など部分的な修理で済み、かかる日数も短いため、費用も抑えられるでしょう。
一方で被害が生じた箇所が多い場合や広範囲の場合は、屋根の葺き替えや塗装など大規模な修理が必要になり、費用もその分高額になります。被害が生じた箇所が見つかったら、早めに修理をしてもらうのが大切です。
火災保険は、自然災害や突発的な事故で発生した被害を補償する保険で、火災に限らず雹災や雪災で建物が被害に遭った場合も補償の対象となります。
雹による被害は単独ではなく、風災と雹災、雪災の3つの災害による補償をまとめて付帯しているケースが多いです。風災は台風と暴風による建物の損害、雪災は雪崩や豪雪の被害の補償が受けられます。
ただし、住宅ローンを組む際に加入する保険は特約の付帯が手薄であり、雹災補償が含まれていないケースもあります。その場合は、雹災で建物が損傷しても補償が受けられないため、あらかじめ火災保険の契約内容をきちんと確認しましょう。
雹災による火災保険の補償範囲内になるのは、雹が降ってきて屋根の瓦が割れた場合や、傷が付いてしまった場合です。屋根以外にカーポートや雨樋、天窓が損傷した際も工事費用に対して保険金がおりるでしょう。
また、雹で建物が破損し、室内の家具や家電製品などの家財が損害を受けた場合も保険の対象となります。
注意点として、火災保険は突発的な事故で建物や家財が損傷したときにのみ補償が受けられます。例えば、窓を閉め忘れて出かけている間に雹が室内に入って家財が損傷したときは、不注意による事故であり補償の対象外とみなされるでしょう。
雹被害による屋根のへこみや破損が見つかった場合、保険を利用して修理代を安く済ませたいと考える方は多いでしょう。
しかし火災保険は、加入者が申請すれば条件なしで保険金がもらえるのではなく、保険会社の鑑定人が建物の状態をチェックして判断します。雹が原因で屋根が損傷した場合でも、火災保険の適用にならないケースがあるため注意しましょう。
まず補償の対象外になる理由で多いのが、経年劣化による屋根の損傷です。
雹は築年数に関係なく建物の屋根に損傷を与えますが、降る前から屋根が経年劣化していた場合は保険金がおりない可能性があります。雹が降っていなくても近いうちに修理が必要であったとみなされると、補償の対象から外されるため注意が必要です。
次に多いのが、火災保険を契約する免責金額の設定に達しておらず、補償が受けられないケースです。
免責金額とは、風や雨、雪などの自然災害があったときに被保険者が負担する金額です。免責金額を設定すると保険料を安く抑えられますが、万が一修理を必要とする箇所の被害金額が免責金額以下だった場合は、保険金が支払われないため注意しましょう。
最後に注意したいのが、火災保険の請求期限が過ぎているケースです。
一般的に請求期限は被害から3年以内となっており、過ぎていると申請できません。保険金に関するトラブルを避けるために、保険の請求期限をよく確認し、早めに申請しましょう。
火災保険を利用して雹災で破損した屋根を修理する際は、保険の手続きと屋根修理を同時進行するのがおすすめです。
① 保険証書の確認
火災保険を利用して屋根を修理する場合は、まずご自身が加入している保険の契約内容や手続き方法、連絡先を保険証書で確認しましょう。これにより、スムーズに申請が進められます。
② 保険会社への連絡
保険証書に記載された連絡先に電話し、雹による屋根の被害を報告します。この連絡後、保険会社から保険金申請書や事故状況報告書などの書類が送付されます。
③ 修理業者への依頼と書類準備
屋根修理業者に被害状況を確認してもらい、以下の書類を準備してもらいます。
・被害状況がわかる写真
・修理の見積書
また、保険会社への提出書類には事故の日付や被害状況を記載する項目があるため、事前に情報を整理しておきましょう。
④ 保険会社への書類提出
準備が整ったら、必要書類を保険会社へ提出します。
(例:申請書、事故報告書、写真、見積書 など)
⑤ 保険会社による審査・現地確認
保険会社は提出書類をもとに審査を行います。
場合によっては、鑑定人(調査員)が現地確認を行い、屋根の状況を直接確認することもあります。
⑥ 保険金確定通知の確認
審査完了後、電話や書面で保険金額の確定通知が届きます。
通知内容をよく確認し、納得できる内容であれば、修理業者と正式に修理契約を結びましょう。
⑦ 査定結果に納得できない場合の相談
もし保険金額や査定内容に納得できない場合は、保険会社のお客様センターに相談することが可能です。
お客様センターを通じて再査定を依頼すると、保険金が認められる可能性があります。
⑧ 工事完了と支払い・証明書の受け取り
工事が完了したら、修理業者への残金の支払いを行います。
支払い後、支払い完了証明書などの書類を必ず受け取り、後々のトラブル防止に備えましょう。
この流れに沿って進めることで、火災保険を活用した屋根修理がスムーズに行えます。
雹による屋根の被害に気付いたら、保険申請ができる期間内に早めに業者へ依頼しましょう。
ただし、火災保険を利用して屋根の修理ができるとうたう業者のなかには、悪質業者が紛れ込んでいる場合があります。保険申請の代行を依頼したら法外な手数料を要求された、多額の保険金が受け取れると信じて依頼したけれども保険金で賄えなかった、などの被害も少なくありません。
特に雹が降ると修繕依頼が混み合ったり、急な修理が必要になったりするケースが増えるため、悪質業者や詐欺の被害に遭う可能性が高いです。
屋根の修理を依頼する際は、悪質業者を選ばないよう十分注意しましょう。これまでに保険を利用して施工した事例があるのか、施工事例や口コミを参考にしながら、慎重に業者を選んでください。
火災保険の利用経験が多い業者であれば、保険申請のサポートやアドバイスがもらえるでしょう。
また、見積もり書に費用の内訳が具体的に明記されているのかどうかも重要なポイントです。もし見積もりに関して質問しても曖昧な返答が来るのであればその業者は避けたほうが賢明です。
火災保険の保険金が確定してから修理業者と契約を結ぶのも、被害に遭わないための有効手段となります。
保険会社から保険金がおりない場合、屋根の修理費用は全額自己負担になります。
修理業者から早く契約を締結するように急かされても、すぐに契約するのは避けるべきです。少しでも何かおかしいと感じたり、不安になったりしたときは、消費生活センターなどへ相談してください。