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宗教別の葬儀について紹介しますvol.1

公開日:2023.7.19 更新日:2024.4.12
宗教別の葬儀について紹介しますvol.1

現在国内の仏教には13宗派があり、それぞれに悟りに対する考え方や御仏の教えについて説いています。その考え方の違いから葬儀の進め方や作法などにも違いがあり、事前に知っておかないとトラブルになることもあります。

そこで今回は、「真言宗」「日蓮宗」「曹洞宗」「浄土宗」について、分かりやすく解説していきます。ぜひ参考にしていただければ幸いです。

日蓮宗について紹介します

日蓮宗は西暦1253年日蓮上人によって立教された宗派のひとつです

ピンク色の蓮の花の写真

この宗派を立教し、布教したのが日蓮上人です。

法華宗とも呼ばれており、葬儀では「南無妙法蓮華経」と繰り返し唱えます。お釈迦さまが残したと言われる1,000以上の経典の中から、妙法蓮華経を大綱(メイン)にしています。

分かりやすく説明すると、ほかの教え(宗派)を信じているから国が荒れ天変地異も頻繁に起こる、妙法蓮華経が唯一の救いの道だから、みんなで南無妙法蓮華経と唱えようという事です。

今の時代にそのような話を聞くとかなり強引な気がしますが、当時の仏教は権力との結びつきも強く、人心掌握のためのひとつの方法として用いられていましたから、このような発想は日蓮宗に限った事ではありませんでした。

日蓮が拠点にしていたのは山梨県。したがってその地域は今でも日蓮宗の信者が多いと言われています。

逆に禅ばかりしている天台宗や真言宗では世の中を良くできないと考えていたようです。仏教は大きく分類して小乗仏教、大乗仏教、密教とあります。日蓮宗は大乗仏教ですので、細かいことを気にせず、すべてのものに気を配ることが大切という事を説いています。

特に荒れた時代でしたから、日蓮宗のような新しい教えに皆迎合したのではないかと考えられます。

曹洞宗について紹介します

曹洞宗は道元禅師によって鎌倉時代に立教された禅宗の宗派のひとつです

仏具と仏花の写真

日本における仏教を大きく分類すると、南都六宗・平安二宗・禅宗となっています。つまり、13宗派全てがそのいずれかの流れという事です。

今回紹介する曹洞宗は禅宗における宗派のひとつ。坐禅に打ち込むことで心が洗われ、日々の生活も穏やかに過ごすことができるという考え方です。

曹洞宗の葬儀は他宗派の元になったとも言われており、儀式のひとつひとつがしっかりしています。その代わりと言っては何ですが葬儀時間が非常に長いです。他宗派の告別式が30分から1時間程度で終了するのに対し、曹洞宗では1.5時間以上になることも珍しくはありません。

葬儀の際の祭壇や仏壇には、釈迦牟尼仏と道元禅師、常済大師を一対として飾るのが一般的です。国内では東北地方に門徒が多い傾向がありますが、理由については諸説あります。

この宗派で葬儀を行う際に知っておいていただきたいのが、他宗派と比較してお布施の金額が若干高いことです。もちろんお布施は心づけですから決まりはありません。ですが地域や宗派ごとに相場はあります。具体的な金額については関連記事にて解説させて頂きますが、浄土宗や浄土真宗の約2倍となっています。その理由としては、しっかりとした葬儀を行うため、読経も長く僧侶の数が多いからだと推察します。

真言宗について紹介します

真言宗は9世紀の初め、空海によって布教された密教のひとつです

仏花の写真

国内で知らない人はいないであろう空海。この空海によって開かれたのが真言宗です。

真言宗は大乗仏教をメインとして考えられた宗派と言われています。大乗仏教とは誰でも悟りを開くことができる、仮に悟りの境地に達していなくても救われる、という考え方です。

大乗仏教を基にした宗派は、小乗仏教が主流だった当時としては非常に画期的な発想でした。ここまでたどり着くのに空海が要した時間は留学含めて10年ちょっと。まさに天才です。

真言宗の葬儀ではさまざまな経が読まれますが、その中でも大切にされているのが般若心経です。仏教に馴染みがなくても「色即是空」という言葉を聞いたことがある方は大勢いらっしゃるかと思います。この言葉が書いてあるのが般若心経です。

具体的な葬儀の流れについては関連記事にて解説していますので、初めて真言宗で行われる葬儀に参列される方はぜひ参考にして下さい。この宗派を信仰している方は非常に多く、浄土真宗(真宗大谷派含む)、浄土宗に次ぐ第三位となっています。現在でも修業を目的として、高野山に入山される方や滝行をされている方も大勢いらっしゃいます。旅行会社で販売されている密教体験ツアーなども人気となっているようです。

話を元に戻しますが、真言宗の葬儀に参列される際は決まり事や作法を事前に把握し、マナーを守るよう心がけて下さい。

浄土宗について紹介します

浄土宗とは1175年に法然によって立教された宗派で専修念仏が特徴です

お寺に飾られた仏花の写真

国内の信者数第二位の浄土宗は鎌倉時代の初期に法然によって立教されました。法然はまず比叡山に入り天台宗を学びます。いろいろな高僧から教えを受け、智慧第一の法然房と称えられるほどに成長しました。

教えを広めるべく比叡山を下山した法然は、現在の教えでは民衆を救えないことに悩みます。その後は奈良の法相宗や華厳宗の僧らと議論を重ねながら、民衆を救う方法を模索していきます。

当時、他宗派の僧と論戦を繰り広げることはあっても、共に議論を交わすことは異例中の異例。それだけ法然は柔軟な考え方の持ち主であったという事でしょう。それらを経て、「南無阿弥陀仏」と唱えれば誰でも仏に帰依することができて救われるという教えにたどり着きます。これが専修念仏の教えです。

仏教は朝廷を含む権力者とのつながりが深かったのですが、浄土宗には権力志向がなく身分の差に関係なく広まっていきました。 この宗派で執り行われる葬儀で重視されるのが、やはり「南無阿弥陀仏」という言葉です。少なくとも十回以上は唱えます。

浄土宗での葬儀で特徴的なのがお布施の料金です。具体的な金額は関連記事にて解説していますが、前述したように浄土宗の信仰に身分の差はありませんから、そう言った意味でも他宗派と比較して安価に設定されています。

宗教別の葬儀情報まとめvol.1

宗派別葬儀に関連するさまざまな情報のまとめとポイントのおさらい

花が飾られた祭壇の写真

今回は日蓮宗、曹洞宗、真言宗、曹洞宗の宗派別葬儀の特徴と立教までのいきさつ、基本的な教えなどを紹介してきましたが、最後におさらいも兼ねてポイントをまとめます。>

考え方の違いにより宗派が分かれていますが、最終的な目標はどの宗派も同じく、仏に帰依する、苦しみから解脱するという事です。同じ宗派内でも枝分かれしており、それにより葬儀の方法も違うことがありますから、執り行う際は菩提寺に確認することをおすすめします。

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