ゴミ屋敷に行政は動いてくれる?条例や行政代執行の流れを解説
公開日:2026.2.5
近隣や家族のゴミ屋敷問題に直面すると、「行政に何とかしてほしい」と考えるのは自然なことです。生活環境への影響や安全面の不安が重なると、個人だけでは対応しきれないと感じやすく、公的な関与を期待する場面も少なくありません。
一方で、住居内の物を全国一律で直ちに強制撤去できる仕組みはありません。自治体の条例や行政代執行法などの個別法令に基づき、状況確認や指導といった段階を踏んで進むため、対応には手順と時間がかかり、行政がどこまで関与できるのか分かりにくいケースもあります。
本記事では、ゴミ屋敷に関係する法律・条例の考え方、行政が動くときの基本的な流れ、自治体条例の事例を整理したうえで、トラブルを避けながら状況を動かすための相談先や、民間業者を含めた現実的な選択肢を確認できるようにまとめています。
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1.近隣・家族のゴミ屋敷問題、「行政に頼りたい」あなたへ
ゴミ屋敷に関連する法律と条例
ゴミ屋敷問題の対応は、ひとつの法律で一気に解決するというより、複数の枠組みを組み合わせて進みます。中心になりやすいのは自治体の条例で、状況に応じて衛生・防災・建物安全といった観点(関係法令の考え方)が重なります。
具体的には、生活環境の保全(悪臭や害虫などの環境衛生)、火災予防(可燃物の大量堆積による延焼リスク)、建物や敷地の安全(倒壊や通行妨害、危険物の疑い)といった観点で、関係部署が連携して判断します。担当が環境部門だけでなく、福祉、保健、消防、場合によっては建築部門にまたがるのはこのためです。
そして、強制的に片付けさせる局面では、行政代執行という手段が検討されます。ただし、行政代執行は「法令上の義務が履行されない」などの前提と、戒告・通知などの手続が必要な最終手段です。そのため、条例や要綱の整備状況、事案の危険性の高さによって、対応のスピードや選択肢に差が出ます。「条例がない=何もできない」ではないものの、取れる措置の幅は自治体ごとに異なります。
法律が直接ゴミ屋敷を規制しない理由
ゴミ屋敷が社会問題である一方、全国一律で「住居内の物を強制撤去できる」法律を作りにくい背景があります。住居内の物品処分は財産権の制約になり得るため、行政が介入するには慎重な手続設計が求められるからです。
さらに、ゴミ屋敷の原因は、単なる怠慢ではなく、疾病や障害、認知機能の低下、孤立、経済的困窮などの福祉課題と重なることが多い点も見逃せません。
強制的に片付けても生活の仕組みが変わらなければ再発しやすく、結果として地域の安全も守れません。加えて「どこからがゴミ屋敷か」という定義自体も難しく、物量だけでなく悪臭や害虫、火災リスク、敷地外へのはみ出しなど周辺被害の程度で判断されるため、国の一律ルールより地域の実情に合わせた条例運用になりやすい構造があります。
行政のゴミ屋敷対策には限界がある
行政の基本姿勢は、本人の生活再建も含めた「段階的な改善」に寄せられています。そのため、指導や助言、支援提案が中心となり、即日で片付くような即効性は期待しにくいのが実情です。
対策が長期化しやすい理由には、本人の同意形成に時間がかかること、支援につなげる調整が必要なこと、関係部署が多く調整事項が増えることがあります。
さらに、条例がない自治体や、罰則・代執行の規定が弱い自治体では、強い措置に進める条件が限られます。そのため、行政への相談を軸にしつつ、火災リスクが高ければ消防、集合住宅であれば管理会社など、複数の手段を並行して検討する判断が重要になります。
条例に基づく勧告・命令・罰則の仕組み
ゴミ屋敷条例がある自治体では、実態把握の調査から始まり、助言や指導で自主的な改善を促し、それでも改善が見られない場合に勧告、命令へと進む段階的な手続きが設計されています。
自治体によっては、命令に従わない場合の氏名公表や過料・罰則を設けていることもありますが、罰則は即時解決のためではなく、正当な手続きを積み上げて強い措置へ進むための道筋として位置づけられています。
また、多くの自治体では福祉支援とセットで運用され、再発防止を含めた生活支援や見守りが重視されます。
2.ゴミ屋敷に対する行政の対応
行政代執行によるゴミ撤去の流れ
行政代執行は、本人が片付ける義務を果たさず、他の手段では改善が見込めないときに、自治体が代わって実施する強制措置です。ただし「危険や被害が著しい」「放置すると公益上の重大な支障が出る」などの条件が必要で、現実には慎重に判断されます。
一般的な流れは、通報・相談から調査、指導・勧告、命令などの段階を経て、それでも改善がない場合に執行へ進みます。代執行に進む場合、行政代執行法上は、原則として「戒告(履行期限を定めた文書)」を行い、不履行なら「代執行令書」で執行の時期・執行責任者・費用概算等を通知する手続が定められています。
時間がかかりやすいのは、強制撤去が権利制約の大きい行為であり、適法性と必要性の説明責任が行政側に強く求められるからです。結果として、早期に状況を軽くするには、代執行を待つよりも、本人や家族が自主的に片付ける支援策を先に組むほうが現実的な場面も少なくありません。
ゴミ屋敷の実態を調査
行政が最初に行うのは、現地の状況確認と周辺住民からの聞き取りです。どれくらい堆積しているかだけでなく、悪臭、害虫、火災リスク、通行妨害、敷地外へのはみ出しといった「外に出ている被害」を重視して評価します。
同時に、所有者や居住者の特定、親族の有無、支援につなげられるかといった背景確認も進みます。ゴミ屋敷は生活課題と結びつくことが多く、環境部門だけで完結せず、福祉、保健、消防などと連携して方針を作るのが典型です。
相談者が伝えるとよい情報は、住所や目印、被害内容と発生頻度、危険だと感じる具体的理由、可能であれば写真や撮影日時です。写真は敷地内へ立ち入らず、道路など公共の場所から撮れる範囲にとどめ、トラブルを避ける配慮も必要です。
ゴミ屋敷の改善を警告
調査後、行政は本人に対して助言や指導を行い、自主的な改善を促します。ここでは「片付けなさい」と一方的に迫るより、片付け手順の提案、福祉サービスの案内、家族や支援者との調整など、改善できる条件づくりが重視されます。
それでも改善が見られない、あるいは支援を拒否する場合、文書での戒告(警告)や勧告など、より正式な段階へ進むことがあります。この段階は、強制撤去そのものではなく、次の措置に進むための重要なプロセスです。
実務上は、ここで状況が動くかどうかが分かれ目になります。本人が「何をどこまでやればよいか」を理解し、実行できる状態にあるかがポイントで、理解や実行が難しい場合は、片付け支援と生活支援を同時に組み立てないと長期化しやすくなります。
行政代執行によるゴミの撤去
命令などに従わず、危険や被害が放置できない水準に達すると、行政代執行による撤去が検討されます。執行前には、通知や期限の設定など、手続き上の段取りを踏むのが一般的で、突然来てすべて撤去するというものではありません。
実施当日は、自治体職員の立会いのもと、委託された業者が搬出や処分を行うことが多いです。安全確保のため人員や車両が必要になり、害虫対策や消臭が必要なケースもあるため、作業は大がかりになりがちです。
行政代執行が稀だと言われるのは、要件が厳格で、権利制約が大きく、自治体側の負担も大きいからです。そのため、代執行の可能性が語られても、実際にそこまで到達する前に、支援や自主改善の段階で決着するよう運用されることが多い点は押さえておきましょう。
ゴミ撤去費用を住人から徴収
行政代執行の費用は、実務上いったん自治体が立て替える形になっても、原則として原因者である住人や所有者に請求されます。行政代執行法では、費用額と納期を定めて納付命令を行うことが規定されています。
費用は、ゴミの量、搬出の難易度、害虫や悪臭の対策、車両や人員の規模で大きく変動します。積み上がった状態が長いほど作業が大がかりになり、結果的に高額になりやすいのが現実です。
代執行費用は、法律上「国税滞納処分の例により徴収できる」旨も規定されています。だからこそ、代執行に至る前の段階で、早期に自主片付けや専門業者の利用を検討したほうが、総額を抑えられるケースが少なくありません。
3.自治体ごとのゴミ屋敷条例事例
全ての自治体にあるわけではない?条例の制定状況
ゴミ屋敷条例は、全ての自治体に必ずあるわけではありません。制定済みの自治体でも、対象となる状態の定義、手続きの段階、罰則の有無、片付け支援や費用負担の考え方が異なります。
確認方法としては、自治体の公式サイトで「ゴミ屋敷 条例」「生活環境 保全 条例」などのキーワードで検索するのが手早いです。例規集(条例の検索ページ)が用意されている自治体なら、そこで条文まで確認できます。
より確実なのは、環境・衛生担当や生活相談窓口に直接問い合わせ、条例の有無だけでなく、実務としてどの部署が窓口になるのか、どのような情報が必要かを聞くことです。制度を知ることが、無駄な待ち時間を減らす第一歩になります。
世田谷区の条例
世田谷区では「世田谷区住居等の適正な管理による良好な生活環境の保全に関する条例」により、「管理不全な状態」を定義し、予防・解消のための支援や措置等を定めています。特徴として、強制一辺倒ではなく、本人の事情に配慮しながら支援と調整を重視する姿勢が見えます。
ゴミ屋敷化の背景に精神的・身体的事情があるケースを想定し、単に罰を強めるよりも、実際に改善が起きるような関わり方を優先しやすい設計です。
また、片付けにかかる費用の取り扱いは、自治体が関与する以上、最終的な負担の整理が重要になります。支援を受けられる条件や費用の考え方は運用で変わり得るため、相談時に「どこまでが行政の支援で、どこからが自己負担か」を確認しておくとトラブルを防げます。
大阪市の条例
大阪市は「大阪市住居における物品等の堆積による不良な状態の適正化に関する条例」を整備し、調査や指導等の枠組みを定めています。特徴は、ただ撤去を目指すのではなく、福祉的支援とセットで寄り添う運用を明確にしている点です。
対象は戸建てに限らず、集合住宅や共用部も視野に入るため、都市部の実態に合わせた設計になっています。共用部分での堆積は避難経路や防災面に直結するため、管理主体との調整も含めて動きやすい構造です。
また、施行規則では、堆積物の処分・悪臭の除去・害虫の駆除等に係る役務の提供など、経済的支援の考え方が明記されています。支援を使える条件や手続きは事案ごとに異なるため、区役所の担当窓口に具体的に相談することが現実的です。
横浜市の条例
横浜市は「不良な生活環境の解消・発生防止」の枠組みとして、いわゆる「ごみ屋敷」対策の支援・措置を案内しています(条例PDFやリーフレット等を公開)。ポイントは、敷地内だけでなく、道路や隣地など敷地外に影響が及ぶ状態も視野に入れていることです。ゴミが外に出ているケースは近隣被害が明確になりやすく、行政も危険性を評価しやすくなります。
運用としては支援と是正措置のバランスを取り、本人の事情に配慮しつつも、生活環境の維持を図る設計です。強い措置の可能性がある一方で、一定の猶予期間を設けるなど、いきなり強制に振れないよう手続きを整えている点が現実的です。
このタイプの条例がある地域では、相談者は「敷地外へのはみ出し」「通行妨害」「悪臭・害虫」など、外部への影響を具体的に伝えると、調査や判断が進みやすくなります。行政を動かす情報は、感想よりも被害の具体性です。
4.トラブルを避けるための事前対処法と相談先
ゴミ屋敷の放置はトラブルの元
ゴミ屋敷を放置すると、悪臭や害虫・害獣だけでなく、火災や延焼、避難経路の阻害といった重大な危険につながることがあります。景観悪化や資産価値の低下、周辺の不法投棄の誘発など、問題が連鎖しやすいのも特徴です。
近隣トラブルが深刻化すると、感情が先行してしまい、解決が遠のきます。大切なのは、怒りをぶつけるのではなく、被害の事実を淡々と積み上げることです。発生日時、臭いの強さや範囲、虫の発生状況、通行の支障などをメモし、可能なら写真も残します。
ただし、撮影や記録は安全と合法性を優先してください。敷地内に入らない、住人を挑発しない、個人情報を拡散しない、といった基本を守るほど、後から行政や管理会社が動くときの材料として使いやすくなります。
近所のゴミ屋敷に困ったときは行政に相談
近隣のゴミ屋敷に困っている場合、まずは自治体の環境・衛生、生活相談などの窓口に相談するのが基本です。状況によっては保健所や消防などの関係機関と連携してくれることがあります。
相談時は、住所と状況、被害の内容、頻度、危険性を具体的に伝えます。悪臭や害虫だけでなく、可燃物の堆積による火災不安、通路や道路へのはみ出しなど、客観的な危険を添えると調査につながりやすくなります。写真があると説明が早いですが、公共の場所から撮影できる範囲にとどめましょう。
なお、行政の対応は段階的で、時間がかかる可能性があります。相談したらすぐ撤去してくれると期待しすぎると、失望や衝突が起きやすいので、担当部署に今後の見込みや手続きの段階を確認し、現実的なスケジュール感を持つことが大切です。
家族のゴミ屋敷はゴミ屋敷片付け業者に相談
家族のゴミ屋敷は、近隣案件よりも早期改善できる余地があります。本人の同意や意思確認を丁寧に行い、片付けの実行は専門業者の手を借りることで、短期間で生活環境を立て直せることが多いからです。
重要なのは、片付けて終わりにしないことです。再発防止には、分別ルールを簡単にする、定期回収の導線を作る、買い物の量を調整する、見守りや福祉支援につなぐなど、生活の仕組みを変える必要があります。背景に疾病や困窮がある場合は、自治体の福祉窓口と連携したほうが安定します。
悪臭や害虫、火災リスクが高いなど緊急性がある場合は、安全確保を優先してください。まず危険を下げる範囲から着手し、全撤去や清掃は業者の見積もりを取り、無理のない計画に落とし込むことが、家族関係の悪化を防ぎながら進めるコツです。
5.ゴミ屋敷の片付けを専門業者に依頼するときの注意点
業者選びのコツとチェックポイント
業者選びでは、まず適正な許可や適法な処分ルートを確認することが前提です。不法投棄は依頼者側にも火の粉が飛ぶ可能性があるため、処分方法を質問して答えが曖昧な業者は避けたほうが安全です。
見積もりは、作業範囲、処分費、人員、車両、作業時間の見立て、追加料金が発生する条件まで、できるだけ具体的に書面で出してもらいます。貴重品探索や仕分け、簡易清掃、消臭・除菌、害虫対策まで対応範囲が違うため、同じ金額でも中身が異なります。
口コミは参考になりますが、極端に良い評価だけの業者は注意が必要です。複数社で相見積もりを取り、説明の透明性、現地確認の丁寧さ、質問への回答の具体性で比較すると、悪質業者を避けやすくなります。
【重要】ゴミ屋敷の相場料金を知っておく
ゴミ屋敷の費用は、間取りよりも実際の物量と搬出難易度で大きく変わります。階段作業の有無、エレベーターの有無、車両の停車位置、分別の手間、危険物の混在、害虫や悪臭の程度などで総額が上下します。
費用が上がりやすい典型は、長年堆積して床が見えない、湿気で腐敗している、害虫が発生している、可燃物が密集している、搬出経路が狭いといったケースです。ここを理解しておくと、見積もりの根拠を冷静に判断できます。
見積もり時は、総額表示か、追加が出るとしたらどの条件か、処分方法は何かを必ず確認してください。納得できない点が残ったまま契約すると、金額面だけでなく、作業品質や処分の適法性でも後悔につながりやすいです。
■合わせて読みたい
ゴミ屋敷はどこに相談する?自分・実家・近所の家|状況別に解説
6.まとめ
行政を活用しながら根本的解決を目指そう
ゴミ屋敷問題は、条例と手続きに基づき行政が動ける場合もありますが、強制措置(行政代執行など)は要件と手続が必要な最終手段で、時間がかかることが多いです。状況に応じて行政相談と民間支援を併用し、片付け後の再発防止まで含めた解決を目指しましょう。
ゴミ屋敷に行政が動くことはありますが、基本は調査と指導、支援の積み重ねで進み、いきなり強制撤去にはなりにくいのが現実です。条例の有無や内容で対応の幅が変わるため、地域の制度を確認し、手続きの見通しを持って動くことが重要です。
近隣のケースでは、被害と危険を具体的に記録し、適切な窓口に相談することで、調査や是正措置につながりやすくなります。家族のケースでは、本人の同意形成と再発防止を前提に、専門業者や福祉支援を組み合わせることで、短期改善が狙えます。
片付けはゴールではなくスタートです。再発の背景にある孤立や困窮、健康課題に目を向け、行政の支援制度と民間サービスをうまく使い分けることで、周囲の安心と本人の生活の安定を両立した解決に近づけます。
監修
ゴミ屋敷片付け・汚部屋清掃 ゴミ屋敷バスター七福神
創業14年、ゴミ屋敷片付け・汚部屋清掃の専門業者。年間実績20,000件以上を誇る。長年の経験で培われた独自のノウハウと、専門教育を受けた熟練スタッフによる丁寧かつ迅速な作業が強み。
手が付けられないほどのゴミ屋敷も、豊富なスタッフ数と車両数を駆使し、最短1日でのスピード解決を実現。プライバシーに配慮した秘密厳守の対応で、ご近所に知られる心配もない。
単にゴミを片付けるだけでなく、不用品の買取・処分、プロによる徹底的なハウスクリーニング、遺品整理まで、幅広いサービスをワンストップで提供。お客様一人ひとりに最適なプランを提案し、快適な生活空間を取り戻すまで、心を込めてサポートする。
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