1.そもそも「コウモリ忌避スプレー」は何を目的に作られているのか
コウモリ忌避スプレーは、コウモリを殺して完全に駆除するための製品ではありません。まずは、どのような目的で使うものなのかを理解しておくことが大切です。
目的は追い出し・侵入防止であって“完全駆除”ではない
コウモリは、一度住みついた屋根裏や換気口などへ戻ろうとする習性があります。そのため、いったん姿が見えなくなっても、侵入口が残っていれば再び入り込むことがあります。
自宅でコウモリを発見した際の対策として使われるのが、コウモリ用の忌避スプレーです。製品によって成分や使用方法は異なりますが、ハッカなどのハーブに含まれるメントールをはじめ、コウモリが嫌がる刺激の強いにおいを利用して、その場所から遠ざける仕組みの製品があります。
コウモリ忌避スプレーの主な目的は、住みついたコウモリを屋外へ追い出すことです。殺虫剤のようにコウモリを死滅させるものではないため、スプレーを使っただけで被害そのものが解決するわけではありません。スプレーを使って一時的にコウモリがいなくなっても、侵入口を塞がなければ再侵入される可能性があります。
また、忌避スプレーの効果が続く時間は製品や使用環境によって異なり、においが薄れると忌避効果も弱くなります。そのため、長期間の侵入防止をスプレーだけに頼るのは適していません。「スプレーが効かない」と感じる場合は、製品そのものに問題があるとは限らず、追い出し後の侵入口対策までできていないことが原因になっている可能性もあります。
2.「コウモリにスプレーが効かない」と感じる原因は?
コウモリ用の忌避スプレーを使っても変化がない場合は、噴射する場所やタイミング、追い出したあとの対策に問題がある可能性があります。効果を得るためには、製品の使用方法を守るだけでなく、コウモリの行動に合わせて使うことが大切です。
コウモリがいる場所を狙って使用する
忌避スプレーは、コウモリが潜んでいる場所へ届くように使用する必要があります。シャッターの戸袋や換気口、外壁のすき間など、実際に出入りしている場所を確認せず周辺へ噴射するだけでは、においが十分に届かず効果を感じにくくなります。
フンが落ちている場所や、夕方にコウモリが出てくる場所を確認すると、潜んでいる位置を絞り込みやすくなります。スプレーを使っても反応がない場合は、コウモリがいない場所へ噴射していないかを確認することが重要です。
ただし、屋根裏の奥など目視できない場所まで無理に入り込むのは危険です。高所や狭い場所での作業が必要になる場合は、自分で追い出そうとせず専門事業者への相談を検討したほうが安全です。
夕方から夜にかけて追い出す
コウモリ対策では、スプレーを使用するタイミングも重要です。コウモリは夕方から夜にかけて餌を探すために外へ出るため、この時間帯は住処から追い出しやすくなります。
一方、昼間は屋根裏や換気口などで休んでいることが多く、奥に入り込んでいる個体までスプレーが届かないことがあります。夕方以降に出入りを確認し、住処に残っている個体を追い出す目的で使用するとよいでしょう。
ただし、時期によっては飛べない幼獣が住処に残っていることがあります。親だけを追い出して侵入口を塞ぐと幼獣を閉じ込めるおそれがあるため、内部の状況を確認できない場合は自己判断で封鎖しないことが大切です。
スプレーを吸い込まないように使用する
忌避スプレーを使用する際の安全対策も欠かせません。狭い屋根裏や換気口付近では噴射した成分がこもりやすく、風向きによっては自分にかかることもあります。
使用方法や必要な保護具は製品によって異なるため、必ず製品表示を確認します。マスクや保護メガネなどの使用が指定されている場合は指示に従い、顔を近づけた状態で噴射するのは避けたほうが安全です。
また、屋根の上や脚立が必要な場所からスプレーを噴射すると、転落事故につながるおそれがあります。手が届かない位置にコウモリがいる場合は、無理に作業範囲を広げないことが重要です。
追い出したあとは侵入口を塞ぐ
コウモリ対策で特に重要なのが、追い出したあとの侵入口の封鎖です。忌避スプレーで一時的に外へ出ても、コウモリが出入りしていたすき間が残っていれば再び戻ってくる可能性があります。
スプレーを使うたびに一度はいなくなるものの、数日すると戻ってくる場合は、侵入口が残っている可能性を疑う必要があります。換気口や屋根のすき間、外壁の継ぎ目など、出入りしている場所を特定したうえで封鎖することが再侵入防止につながります。
ただし、コウモリが内部に残った状態で穴を塞ぐと、建物内に閉じ込めてしまうおそれがあります。すべての個体が外へ出たことを確認してから施工する必要があるため、侵入口の特定や確認が難しい場合は専門事業者へ依頼すると安心です。
同じ忌避剤だけに頼り続けない
同じ場所へ何度もスプレーしているのに変化がない場合は、忌避剤だけで対策を続ける方法そのものを見直す必要があります。スプレーのにおいは時間の経過とともに弱まり、屋外や換気の多い場所では効果が長く続かないことがあります。
また、コウモリがその場所を安全な住処として利用し続けている場合、においによる一時的な追い出しだけでは再発を防げません。スプレーを繰り返し使うよりも、侵入口の特定や封鎖、フンの清掃などを含めた対策へ切り替えることが重要です。
何度使用しても戻ってくる、侵入口が分からない、屋根裏の奥に住みついているといった場合は、自分での対策には限界があります。状況が改善しないままスプレーを使い続けるより、専門事業者に現地を確認してもらうほうが根本的な対策につながります。
3.スプレー以外に自宅でできるコウモリ対策
忌避スプレー以外にも、自宅で取り入れられるコウモリ対策はあります。ただし、音や光だけで住みつきを完全に防ぐのは難しいため、追い出し後の侵入口封鎖まで含めて考えることが重要です。
超音波機器は補助的な対策として使う
超音波機器を設置し、コウモリが嫌がる環境を作る方法があります。コウモリは超音波を使って周囲の状況を把握するため、超音波を利用した対策製品も市販されています。
ただし、超音波機器を設置すれば必ずコウモリを追い出せるわけではありません。建物の構造や機器の設置位置によって音が届きにくいこともあり、長期間同じ刺激を与えても十分な変化が見られないケースがあります。超音波だけで対策を完結させず、出入りしている場所の確認や侵入口の封鎖と組み合わせることが大切です。
設置する場合は製品の対応範囲や使用場所を確認し、コウモリが出入りしている付近へ適切に配置します。屋根の上など危険な場所への設置が必要になる場合は、自分で無理に作業しないほうが安全です。
センサーライトで住みつきにくい環境を作る
センサーライトを設置し、コウモリが出入りする場所を明るくする方法も補助的な対策になります。コウモリは夜間に活動するため、出入口付近で突然明るくなる環境を嫌がり、その場所を利用しにくくなる可能性があります。
玄関まわりや軒下など、人や動物の動きを検知して点灯するタイプであれば、常時点灯する必要がありません。ただし、光だけで屋根裏などから完全に追い出せるとは限らず、ライトが届かない場所に移動することも考えられます。
そのため、ライトは単独の駆除方法ではなく、コウモリが出入りする場所を確認したり、侵入しにくい環境を作ったりするための補助策として考えるとよいでしょう。
追い出したあとは侵入口を封鎖する
再侵入を防ぐうえで特に重要なのが、侵入口の封鎖です。コウモリはわずかなすき間から建物内部へ入り込むため、換気口や軒下、外壁と屋根の接合部などを細かく確認する必要があります。
封鎖には、侵入口の形状や場所に応じて次のような資材が使われます。
侵入口を塞ぐ前には、内部にコウモリが残っていないことを確認することが重要です。コウモリがいる状態で封鎖すると、建物内に閉じ込めたり、別の場所から室内側へ入り込んだりするおそれがあります。
また、高所にあるすき間や屋根裏の奥など、自分では出入りを確認できない場所もあります。侵入口を特定できない、複数のすき間がある、追い出しても再び戻ってくるといった場合は、専門事業者へ調査を依頼したほうが確実です。
4.コウモリを自力で追い出すには限界がある
忌避スプレーやライトなどを使って自宅で追い出すことはできますが、コウモリは法律で保護されており、捕獲や殺傷を自由に行えるわけではありません。さらに、フンやダニなどによる衛生面のリスクもあるため、自力で対応できる範囲には限界があります。
コウモリは鳥獣保護管理法で保護されている
住宅に住みつくことが多いアブラコウモリは、鳥獣保護管理法の対象となる野生動物です。法律では、原則として許可なく野生鳥獣を捕獲したり殺傷したりすることは禁止されており、違反した場合は罰則の対象になることがあります
そのため、自宅に入り込んだコウモリを自己判断で捕まえたり殺したりせず、基本的には屋外へ追い出して侵入口を塞ぐ方法で対応する必要があります。追い出しで対応できない状況や、捕獲が必要になるケースでは、自治体への確認や許可が必要になることがあります。
また、屋根裏などに幼獣が残っている状態で親だけを追い出すと、内部に閉じ込めてしまうおそれがあります。生息状況を確認できない場合や、何度追い出しても戻ってくる場合は、無理に自分で対処せず、コウモリ対策に対応している専門事業者へ相談すると安心です。
フンやダニなどによる衛生面のリスクがある
コウモリが長期間住みついている場所では、フンや尿、ダニなどによる衛生面のリスクにも注意が必要です。屋根裏や換気口の内部にフンが蓄積すると、悪臭や汚れだけでなく、害虫が発生する原因になることもあります。
乾燥したフンをそのまま掃いたり、掃除機で勢いよく吸い込んだりすると、細かな粉じんが舞い上がるおそれがあります。清掃する場合は、マスクや手袋などを使用し、直接触れたり吸い込んだりしないようにすることが大切です。
また、高所や狭い屋根裏での清掃は転落やけがにつながる危険もあります。フンが広範囲にたまっている、侵入口が複数ある、自分では安全に作業できない場合は、追い出しから封鎖、清掃まで対応できる専門事業者へ依頼したほうが安全です。
5.コウモリにスプレーが効かないと感じたら専門事業者への相談も検討する
忌避スプレーを使ってもコウモリが戻ってくる場合や、侵入口を特定できない場合は、自力での対策だけでは解決が難しいことがあります。追い出しから侵入口の封鎖、フンの清掃まで必要になるケースでは、コウモリ対策に対応した専門事業者への相談を検討するとよいでしょう。
コウモリ対策の施工実績や口コミを確認する
依頼先を選ぶ際は、まずコウモリ対策の施工実績を確認します。害獣対策を扱っていても、得意とする動物や施工内容は専門事業者によって異なります。コウモリの追い出しだけでなく、侵入口の特定や封鎖、フンの清掃まで対応した実績があるかを確認すると判断しやすくなります。
口コミも参考になりますが、評価の高さだけで決めるのは避けたほうがよいでしょう。料金の説明や作業後の対応、再発した際のサポートなど、具体的な内容まで確認することが大切です。何度スプレーを使ってもコウモリが戻ってくる場合は、追い出しだけでなく再侵入防止まで対応できる専門事業者を選ぶことが重要です。
作業内容と料金の内訳が明確か確認する
見積もりでは、作業内容と料金の内訳が具体的に記載されているか確認します。コウモリ対策では、現地調査や追い出し、侵入口の封鎖、フンの清掃・消毒など、住宅の状態によって必要な作業が変わります。
「コウモリ対策一式」とだけ書かれている見積もりでは、どの作業にいくらかかるのか判断しにくくなります。追加料金が発生する条件や、封鎖する侵入口の範囲、再発時の保証内容なども契約前に確認しておくと安心です。
また、コウモリの状況を十分に確認せず、すぐに高額な工事を勧める場合は慎重に判断する必要があります。なぜその作業が必要なのかを写真などで説明し、質問に対して具体的に回答してくれる専門事業者かどうかも確認するとよいでしょう。
複数の専門事業者から相見積もりを取る
コウモリ対策を依頼する際は、複数の専門事業者から相見積もりを取ると、費用や施工内容を比較しやすくなります。住宅の構造や侵入口の数、フンの蓄積状況などによって費用が変わるため、単純に最も安い見積もりを選べばよいわけではありません。
相見積もりでは、できるだけ同じ条件で現地を確認してもらい、追い出し方法や封鎖する範囲、清掃の有無、保証内容まで比較します。極端に安い見積もりの場合は、侵入口の封鎖や清掃が含まれていないなど、作業範囲が異なることもあるため注意が必要です。
侵入口が分からない、何度追い出しても戻ってくる、屋根裏に大量のフンがあるといった場合は、まず現地調査と見積もりを依頼し、必要な作業内容を確認してから依頼先を決めるとよいでしょう。