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ヌートリアとはどんな外来種害獣?その生態や被害状況、対策方法を解説

公開日:2021.11.1 更新日:2024.4.4
ヌートリアとはどんな外来種害獣?その生態や被害状況、対策方法を解説

この害獣は畑や川の近くにお住まいの方なら見たことがあるかと思いますが、都市部にお住まいの方でしたら、聞いたことも無い方が大多数でしょう。
しかし、国内でのヌートリアが生息しているエリアは、年々拡大傾向にありますので、そのままにしておくといずれ都市部にも被害が及ぶことと考えられます。

今回この記事では、ヌートリアとは一体どんな害獣なのかについて解説していきます。
生態や被害状況などにつの情報を紹介しますので、対策の際に参考にして下さい。

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1. ヌートリアの本来の生息地とは?

この害獣の本来の生息地は南アメリカ。なぜ輸入されたのか紹介します

ヌートリアのコートの写真

この害獣の生息地は本来南アメリカでしたが、現在では寒冷地を除く世界各地に広がっています。もちろん日本も例外ではなく、北海道と九州、沖縄を除くほとんどのエリアでヌートリアによる被害が確認されています。
なぜ南米にいたものが世界各地に広がったかと言うと、毛皮の採取です。ヌートリアは体も大きく繁殖スピードも速かったので、世界中の軍隊のコートに使用されていました。第二次世界大戦中の旧日本軍においても、この害獣の毛皮を使うためにフランスから150頭輸入したのですが、終戦を迎えると需要が無くなり、野生化しました。

また、1950年代になると日本で毛皮ブームが起こり、ヌートリアやアライグマが大量に輸入され、飼育されていたのですが、ブームが下火になると飼いきれない業者が捨ててしまい、その子孫が現在に残っています。

この害獣は2005年に特定外来生物に指定され、各自治体で駆除しているのですが、その数は年を追うごとに増加しています。日本に入って来たのは人間が原因なので、駆除するにしても良心の呵責を覚えてしまいますが、イギリスでは10年間で100万頭駆除して根絶させた例もあります。農作物や溜め池への被害を減らす上でも、国や自治体には大規模な対策が求められています。

2. ヌートリアの生態について

この害獣の生態に関するさまざまな情報を分かりやすく紹介します

水辺に集まるヌートリアの写真

この害獣の生態で最初に紹介するのは、巣の作り方です。ヌートリアは川や溜め池の土手に巣を作ります。水面との境に横に伸びるように土を掘っていきそこをねぐらにしており、土手が無い場所では川に通じている下水溝の出口を巣にしていることもあります。

モグラのように縦横無尽に掘ることもあり、土手の中がこの害獣によって空けられた穴だらけになることも。日中はそこで過ごし、明け方と夕方に食事をするために巣から出てきます。

この害獣は基本的に水生植物の根や茎を食べるのですが、近くに水田や畑があると、葉物野菜や稲なども好んで食します。

ヌートリアの生態で次に紹介するのは、繁殖活動です。この害獣はつがいになると年に2~3回、約5匹程度の子供を出産します。妊娠期間は4ヵ月と他の害獣と比較して長いのですが、生まれた子供は次の日になると泳げるようになり、半年後には出産できるようになります。

この害獣のメスがすぐに出産した場合、10ヵ月後には5頭になり、14ヵ月後には10頭、18ヵ月後には15頭にもなってしまいます。
この害獣は縄張り意識が強いので、成長したオスは新たな場所に移ります。そのため、同じ場所で大量繁殖するのではなく、生存エリアが拡大していくことになります。

生態から見るヌートリアの寿命は5年から8年と言われていますので、一匹のメスが生涯で産む子供の数はおおよそ55頭から120頭ということになります。

3. ヌートリアが及ぼしている被害状況

この害獣が及ぼしている被害状況について分かりやすく紹介します

水の中で餌を食べるヌートリアの写真

この害獣の被害は多岐に渡りますので、順に紹介していきます。

ヌートリアによる被害として代表的なのが食害です。カボチャやスイカ、キャベツ、大麦などさまざまな作物が食害にあっています。
通常は地面から上に出ているものしか食べないのですが、それらがない場合は、ニンジンやサツマイモなど地中に埋まっている作物も被害にあうことがあります。
その他にも水辺にあるさまざまな貝も次々と食べてしまいます。

この害獣の被害として次に紹介するのは、漁に使う網などです。ヌートリアなどのげっ歯類は、食べることが出来ないものでもかじる習性があります。
普通のネズミでしたら、網を破ることは出来ないのですが、この害獣の歯は大きく噛む力も強いので、頑丈な網でも簡単に食い破ってしまいます。畑をネットで囲っていても、ヌートリアに対しては効果が期待できませんのでご注意下さい。

この害獣による被害として最後に紹介するのは、固有種の減少です。ヌートリアが生息している水辺や沼地では、トンボやカエルなどのさまざまな固有種が暮らしています。そのような場所に外来種害獣が住み着くことで環境が変化し、絶滅に瀕している生物や昆虫などがたくさんいます。
この害獣による被害額はイノシシやシカなどと比べると10%にも満たないものですが、年々拡大していますので早急に対処しましょう。

4. ヌートリア被害への対策方法

この害獣による被害への対策方法や必要道具の詳細を簡単に紹介します

柵が設置されている写真

この害獣による被害への対策として最初に紹介する方法は、防護柵の設置です。
被害が予想される水田や畑を取り囲むようにして、高さ40㎝以上の柵を設置しましょう。
ただし、ネットで囲う場合は食い破られることも考えてナイロン製ではなくステンレス製をお使い下さい。
ネットの内側にトタンを設置しておけば、さらに効果的です。

ヌートリアは地中を掘って、敷地に侵入してくることもありますので、柵の下側を30㎝程度地中に埋めておいて下さい。
電気柵も一定の効果があるのですが、電線が地面と接触してしまうと漏電したり電気が流れなくなることもありますので、取り付ける際は専門の業者に相談して下さい。

次に紹介する対策法は環境を変化させることです。
この害獣が住み着くということは、何らかの原因が存在しますので、それらを変えていきましょう。具体的に言えば、溜め池の周りの草を常に短く刈って隠れる場所を少なくすることや、土手の草を焼いておくことなどです。

この害獣への対策として最後に紹介するのは箱罠です。ただしこの方法は、無許可で行うと法律で罰せられる可能性がありますので、事前に自治体に申請しましょう。箱罠を設置するコツは、入り口を獣道側に向けて、旬の腐りにくいエサを置いておくことです。

5. 外来種害獣ヌートリアのまとめ

外来種害獣であるヌートリアに関する情報のまとめとポイントのおさらい

水辺で眠るヌートリアの写真

この害獣に関する様々な情報をお伝えしてきましたが、最後におさらいも兼ねてポイントをまとめます。

この害獣による被害は拡大していますので、早急な対策が必要です。ただし、無免許または無許可で罠を設置することは法律で禁止されていますので、発見し次第、地域の役所に相談して下さい。

田んぼをお持ちの方はときどき畦道や土手を点検して、ヌートリアの穴が無いか確認しておきましょう。

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