雪下ろし不要の無落雪屋根とは?メリット・デメリットや費用相場などを詳しく紹介します
公開日:2023.12.25 更新日:2024.4.22
無落雪屋根とは、その名の通り、屋根から雪が落ちない画期的な構造をした屋根のことを言います。雪下ろしの必要もないので、大量の雪に毎年悩まされる豪雪地帯にお住まいの方にとっては、まさに救世主のような存在です。
この記事では、無落雪屋根のメリット・デメリットや費用相場について紹介します。
無落雪屋根とは、その名の通り、屋根から雪が落ちない画期的な構造をした屋根のことを言います。雪下ろしの必要もないので、大量の雪に毎年悩まされる豪雪地帯にお住まいの方にとっては、まさに救世主のような存在です。
この記事では、無落雪屋根のメリット・デメリットや費用相場について紹介します。
最近注目されている無落雪屋根は、屋根に積もった雪を独自の構造で自然に溶かして排水するため、雪下ろしの手間を省くことができる新しい形の屋根です。
仕組みとしては、無落雪屋根の上に積もった雪が層を形成し、この層が外気の冷気を遮断して下の雪層をゆっくりと溶かしていきます。
さらにその名の通り、落雪もないため、 雪が突然落下して危険を引き起こすのを防ぐこともできるんです。
特に豪雪地帯にお住まいの方々にとっては、毎年の雪下ろしの手間やそのためのコストを削減できる大きなメリットがあります。
そんな無落雪屋根には、主に3つの種類があります。
・フラットルーフ方式
フラットルーフ方式はその名の通り、見た目は平らな屋根に見えます。この形状は、雪が自然に滑り落ちないようにするための設計です。
一見完全に平坦に見えるかもしれませんが、実際には雪解け水や雨を効率よく排水するために非常にわずかな傾斜が設けられています。
ただし、雪の積もりやすい設計のため、定期的なメンテナンスと雪の除去が必要になることがあります。
・スノーダクト方式
スノーダクト方式の屋根は、M字の形状を採用しています。M字の中央のくぼみの部分には排水ダクトが配置されていて、そのダクトに溶けた雪が流れていく仕組みです。
ただ、スノーダクト内部に落ち葉や木の枝、ゴミなどが溜まると、雪解け水の流れが妨げられてしまうので、定期的にこれらの汚れを取り除く必要があります。
・勾配屋根方式
勾配屋根方式では、三角形の屋根に雪止めが設置されており、これにより積もった雪は滑落せず、雪止めで留まりながら自然に解けていきます。
この方式は、一般的な屋根のデザインを採用しているのが特徴で、外観の美しさを重視する場合に適しています。
注意すべき点は、雪止めがその容量を超えるほどの重さの雪を支えきれなくなった場合、屋根から雪が滑り落ちる可能性があることです。
それぞれの無落雪屋根の方式には、利点や適用する建物の条件など、様々な特性があります。これらの無落雪屋根の特性や種類をしっかりと理解し、自分の家に最適な方法を選択しましょう。
ここでは、無落雪屋根のメリットについて詳しく見ていきましょう。
・雪下ろしから解放される
無落雪屋根の最大の利点は、雪下ろしの必要がないことです。
毎年、降雪地では雪下ろし作業中の事故が多発しています。雪下ろし中の事故は、屋根からの転倒や、はしごからの落下といった悲惨なものが多いのです。
無落雪屋根を導入すると、雪下ろしに関する事故のリスクもなくなるでしょう。
・落雪事故を防げる
無落雪屋根にすると、屋根からの落雪による事故の心配がなくなります。大量の雪や巨大な氷の突然の落下は、歩行者や住居にとって大きな脅威となります。
このような事故のリスクがないことは、住む人たちにとっても安心です。
・スペースを活用できる
雪をためるスペースが不要になるため、敷地内を有効に利用できるようになるでしょう。庭や駐車スペースなど、雪のために使えなかったスペースを利用することが可能となります。
ほかにも、フラットルーフ方式の無落雪屋根は「陸屋根」とも呼ばれ、三角屋根よりも最上階のスペースを広く使うことができます。
2階や最上階を居住スペースとして有効に使いたい人には、非常に魅力的な選択肢となるでしょう。
・デザイン性の高い住宅にできる
フラットな屋根は、モダンでスタイリッシュな外観を持っています。すっきりとしたデザインは、住まいに都会的な印象をもたらし、多くの人々の目を引くことでしょう。
このように無落雪屋根は、機能性とデザイン性を兼ね備えています。豪雪地帯の方にとって、大変便利で安全な選択肢と言えるでしょう。
無落雪屋根にはデメリットも存在します。デメリットも正確に理解して適切な対策をとることで、リスクを最小限に抑えることができるでしょう。
・雨漏りの危険性
雪解け水の排水が不十分な場合、屋根や建物の他の部分に水漏れや損傷を引き起こす可能性があります。
特にスノーダクト方式の無落雪屋根では、ダクトの排水口がゴミで詰まると、雨漏りの原因となることがあります。
この問題を予防するためには、年に1回の定期的なメンテナンスを実施することが大切です。確実に雨漏りを防ぐため、専門業者によるチェックを受けるようにしましょう。
・雪の重さによるトラブル
雪の重みによる影響を避けるためには、屋根の強度を十分に考慮することが必須です。
時には、雪の重さでドアや窓が固定され、動かなくなる場合も考えられます。さらに、最悪の場合、屋根がその重さに耐えられず陥没する可能性も考慮しなければなりません。
このようなリスクを回避するためには、十分な強度を持った屋根を選択し、経験豊富な業者に施工を依頼することが重要です。
・雪庇のリスク対策
豪雪地帯に住む方にとって、屋根の雪庇(せっぴ)は大きなリスクとなり得ます。
雪庇は風下側に形成される雪の塊で、屋根から大きくせり出しているのが特徴です。これが屋根から突如落下すると、大変危険です。
そのため、雪庇の発生を最小限に抑えるための工夫や装置、ヒーターの併設などの対策が必要となります。
無落雪屋根は、豪雪地帯の人にとっては非常に有効な選択肢となるでしょう。ただし、このようなデメリットをしっかりと理解し、適切な対策をとる必要があります。
無落雪屋根はその特性から多くの人々に選ばれていますが、実際の費用はどれくらいなのでしょうか。
無落雪屋根の設置にかかる費用は、選択する方式や施工範囲により大きく変動します。
例えば、スノーダクト方式やフラットルーフ方式は、100万円から300万円ほどの間での価格が一般的です。
一方、勾配屋根方式の場合、価格は30万円から60万円程度となります。
使用する材料の種類や品質、特にガリバリウム鋼板の種類によっても、価格は異なるでしょう。亜鉛の含有量や鉄板の厚さ、さらには塗装のタイプによっても、コストが変動します。
さらに、依頼する工務店や施工会社によっても費用は異なります。最終的な費用を知るためには、専門事業者に見積もりを依頼することをおすすめします。
適切な予算計画を立て、最適な無落雪屋根を選びましょう。
無落雪屋根は、雪の多い地域で住まいの安全性や利便性を高めるための最適な選択肢となります。
設置を検討する際は、専門知識と経験が豊富な業者の選択が肝心です。屋根専門の事業者に依頼すれば、信頼性や技術力が高まります。
しかし、すべての事業者が実際の施工経験を持つわけではありません。
施工実績の確認は、安心してお任せできる業者選びのポイントとなります。
また、屋根関連の資格を持つ職人が多数所属していることも、信頼できる業者選びのポイントのひとつです。有資格者の知識と技術は、高い安全性と信頼性を保証してくれるでしょう。
ご自宅の条件や地域の気候に応じた最適な工法の選択には、専門事業者のアドバイスが欠かせません。
プロの意見を取り入れることで、長持ちする屋根を手に入れることができます。経験豊富な業者からのアドバイスは、賢明な選択の手助けとなるでしょう。
このように、無落雪屋根の設置は専門的な知識と経験を持つ事業者に任せることが重要です。最適な専門事業者の選択により、安心して長く快適に暮らすことができるでしょう。