毛皮の世界でかつて分かりにくかったのがラクーンです。たとえばラビットと言えばウサギの事だと分かりますし、キャットといえばネコ科であることがわかります。
ラクーンとは英語でアライグマの毛皮の事です。かつてはタヌキの毛皮もラクーンと呼ばれていましたが、現在では『タヌキ』と表記されています。
今回はラクーンの毛皮の特徴や歴史、買取相場を紹介していきますので、参考にして下さい。
この毛皮の特徴として最初に紹介するのは、ボリューム感と保温性です。ラクーンの毛は他のものと比べ長いので、中に多くの空気を含むことが出来ます。空気を含んだ毛皮は非常に暖かく、マイナス10℃以下の環境でも身を守ってくれます。
現在でもその特性を活かし、クロケット帽の素材として使用されています。クロケット帽とは1800年代初頭にアメリカで活躍していたデイヴィット・クロケットに由来しています。ちなみに形状としては帽子の後ろから尻尾が出ており、素材は違いますが、ロシアのコサック帽とよく似ています。
この毛皮の特徴として次に紹介するのが耐久性です。刺し毛が長いので少し乱雑に扱っても綿毛が抜けるという事がありません。だからこそ長い間使用することができます。
この毛皮の特徴として最後に紹介するのは吸収性です。ラクーンの毛皮が非常に長く空気を含みやすいのは先ほども説明した通りです。だからこそ空気と一緒に臭いも吸収してしまいます。匂いの強いヘアスプレーや香水をつけている時にクロケット帽を着用すると、後になって悪臭に変わることがあります。ラクーンの毛皮の製品を身に付けた後は、必ず陰干しなどをして臭いを取り除いておきましょう。
多くの毛皮の歴史がロシアやヨーロッパを中心として発展してきたのに対し、この毛皮の歴史は西部開拓史そのものです。当時アメリカとして独立はしたものの、移住してきた人々は非常に困難な生活を強いられていました。しかし、西暦1848年にカリフォルニアで金が発見されると、一気にゴールドラッシュへと突入。荒れ地や先住民族の土地が次々と開拓されていきました。
その中でも1860年代から1890年までを西部開拓時代と言い、寒冷地ではラクーンの毛皮を使った帽子が着用されていたようです。その後はさほど人気のなかったラクーンの毛皮ですが、1950年代にテレビ放映されたカウボーイブームで一気に需要が高まり、世界中で流通するように。それに合わるようにして全米でラクーンの乱獲が始まり、一時は絶滅も危ぶまれていました。
今回はアライグマであるアメリカンラクーンの歴史について紹介しましたが、ロシアンラクーン(ロシアタヌキ)やチャイニーズラクーン(中国タヌキ)の歴史については機会があればいずれ紹介します。セーブルやリンクスと比べると高級感はありませんし、ミンクやフォックスよりも評価が劣るので、あまり人気のないラクーンですが、お値段は手ごろですから、一度は毛皮を着てみたいという方にはおすすめです。
この毛皮の買取相場ですが、あくまで備品の状態での査定額を紹介しますので、劣化が激しい場合は大幅なマイナスになります。
ラクーンの毛皮は購入する時も売る時もリーズナブルです。たとえば、ノーブランドのセーブルコートやマフラーでしたら、1,000円が相場です。場合によっては査定を断られることも。他の商品も査定に出すことによって、少し査定額が上昇することがあります。
ラクーンの毛皮は安価だからこそブランド服のワンポイントにも多く使用されています。その場合の相場の一例を紹介します。まずラクーンファーレザージャケットの買取相場は55,000円です。ラクーンファー付きダウンコートは5,000円、PRADA製ラクーンコートは20,000円が相場価格です。ラクーンファー付きダウンジャケットが15,000円でファーコートが1,200円となっています。先ほど55,000円で紹介したラクーンジャケットの素材は牛の本革です。
このようにブランド製品やラクーン以外の素材が良ければ高値がつきますし、そうでない場合は冒頭で説明した通り、1,000円が相場となります。とはいえ、クローゼットの中に保管していても1円にもなりませんので、不要なラクーンの毛皮製品がある方はすぐに査定して頂きましょう。
この毛皮の豆知識として紹介するのは、お手入れ方法です。ラクーンだけでは無いですが、毛皮製品は放っておくとすぐに変な癖がついたり、毛がパサパサになってしまいます。
そこで大切なのが使用した後のお手入れです。帰宅した後に軽く手で掃ってホコリを落としましょう。もしも濡れているようであれば、乾いたタオルで毛並に沿って軽く拭くように。突然の雨や雪で中までしっかり濡れてしまった場合は、クリーニング店にお任せするのがおすすめです。
その際は必ずパウダークリーニングと指定して下さい。パウダークリーニングとは毛皮専用のクリーニング方法で、まず毛皮の種類に応じたパウダーをふりかけ、洗浄ドラムに入れます。毛皮全体にパウダーがいきわたるようにドラムを回転させ、取り出したあと裏地にのみアイロンをかけたら完了です。毛皮についていた汚れや水分をパウダーが吸着してきれいになる仕組みです。
毛も専用の機械で整えてくれますので、購入時のふわっとした感触が蘇ります。ただしコートの種類によっては対応してくれないクリーニング店もあります。その場合は急いで購入店に連絡して下さい。
最後になりますがラクーンの毛皮を購入されるときは、出来るだけ正規販売店で買う事をお勧めします。
この毛皮に関連する情報をいくつかお伝えしてきましたが、最後におさらいも兼ねてポイントをまとめます。
ラクーンにはアメリカンラクーンとカナディアンラクーンの2種類があります。ロシアンラクーンやチャイニーズラクーンはタヌキですので、購入時にはお気をつけ下さい。
2007年以前に購入されているラクーンはタヌキの可能性があります。査定の間違い被害に合わないためにも、専門鑑定士のいる業者に依頼しましょう。
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