家を蝕むシロアリの寿命はどのくらい?長寿の理由や駆除する方法を解説
公開日:2024.6.7
住宅の天敵であるシロアリは長寿と繁殖力で知られています。
本記事では、シロアリの寿命と種類ごとの特性、および効果的な駆除方法について詳しく解説します。シロアリに悩んでいる方は参考にしてください。
住宅の天敵であるシロアリは長寿と繁殖力で知られています。
本記事では、シロアリの寿命と種類ごとの特性、および効果的な駆除方法について詳しく解説します。シロアリに悩んでいる方は参考にしてください。
シロアリはゴキブリ科の昆虫です。名前にアリとついていますが、よく見るクロアリとは別の虫であり、生物学的にはゴキブリに近いです。
そんなシロアリは階級によって異なる役割や寿命を持っています。
働きアリ・兵隊アリ・王アリ・女王アリといった階級に分かれており、それぞれ異なる役割を果たすだけでなく、寿命も異なります。
一般的に、働きアリや兵隊アリの寿命は約5年と言われています。
具体的な役割は、巣の建設や食料の調達、群れの生活を支えるなどが挙げられます。
巣のリーダーである王アリの寿命は数十年に及ぶ場合があり、最初に巣を作ったり、巣の安定を維持したりなど、群れ全体の指導者としての責任を果たします。
女王アリの寿命は、10年から20年ほどです。
女王アリは王アリよりも寿命は短いですが、副女王と呼ばれる自分の代わりを無数に作って、自身が死んだあとは役割を引き継がせますので、巣が存在する限り女王アリの寿命は実質的に存在し続けます。
昆虫の平均寿命は約2ヶ月であるため、シロアリの寿命は群を抜いて長いといえます。寿命の長いシロアリが家に侵入してしまうと、年単位でじわじわと被害が拡大するので注意しましょう。
人間や昆虫、動物の老化やがんの原因となるのが「活性酸素」という化合物です。そのため、活性酸素を抑制することで理論的には寿命の延長が可能になります。
活性酸素を抑制(無害化)するために必要なのが「抗酸化物質」と呼ばれる特別な成分です。
人間であれば、抗酸化酵素やビタミンC・Eなどの抗酸化物質を摂取して、活性酸素に対抗しながら健康を維持しますが、
なんとシロアリの体内には抗酸化物質が豊富に存在しています。これにより、シロアリは活性酸素によるダメージを防ぎ、健康を保ちながら長く生きることができるのです。
また、シロアリは、直接空気に触れず暗い環境で生息する生き物で、なかでも王・女王アリは巣の最深部で生活しています。酸素が薄い場所では活性酸素の生成が抑えられるため、体内に取り込まれる活性酸素の量も減少するので、こういった要素もシロアリの長寿性に関連しているでしょう。
さらに、暗い場所で生活することで捕食者から身を守りやすくなるため、生存率が高まり寿命が延びる可能性もあります。つまり、シロアリの生活環境がその寿命の長さに寄与していると言えます。
そのほか、シロアリの特殊な食性も長寿に関係していると考えられます。
シロアリは木材や植物の繊維を主な食物として栄養を摂取する生き物ですが、王・女王アリは木材を食べずに働きアリから唾液をもらって栄養を摂取しています。
この唾液に寿命を長くする鍵があるといわれており、研究が進められている段階です。
シロアリの体内の生化学的特性や生態学的適応、食性などの多岐にわたる要因が長寿性につながっています。
シロアリ被害に遭った家には、いくつかの兆候が現れます。そのため以下のサインが見られれば、迅速な対処が必要です。
まずは、蟻道の存在です。
アリは外気や光を嫌うため、地下を移動する際に「蟻道」と呼ばれるトンネルを作ります。床下の木材や基礎コンクリートに土のトンネルが見つかれば、シロアリの侵入が疑われます。
また、床の不安定さにも注目しましょう。
床を歩くときしんだり柔らかさを感じたりする場合、床下がシロアリによって侵食されている可能性があります。この状態を放置すると、被害は床だけでなく、家全体に広がる恐れがあります。
さらに湿気やカビの臭いが感じられる場合もあります。
シロアリは湿気と暗さを好むため、湿度の高い場所はカビ臭さが漂うだけでなく、シロアリの被害に遭っているかもしれません。通気性や日当たりの悪い地下室や押入れ、水回りなどはシロアリが好む環境です。
そのため湿度が高くカビ臭さのある家は、シロアリの発生を疑いましょう。
最後に、屋内に羽アリの姿がある場合、その住宅はすでにシロアリの被害が進行している可能性が高いです。
羽アリはシロアリの繁殖期に巣を離れて新しいコロニーを作るために飛び出す個体であり、これが屋内で見られるということは、すでにシロアリのコロニーが住宅内またはその近くに存在していることを示唆しています。
このような兆候が見られた場合は、専門家の助言を求め、迅速な対処が重要です。
シロアリの被害を放置すると、建物の構造や価値を大きく損なう可能性があるため、早急に対処しましょう。
シロアリを駆除するには、自分でやるか、シロアリ駆除のプロに依頼する方法があります。
自分で駆除する場合は市販の駆除剤などを使いますが、完全な駆除には至らない可能性があるため、専門の駆除事業者に依頼するのが確実です。
専門事業者が行う駆除方法は、主に2つあります。
1つ目はバリア工法です。
バリア工法とは、 薬剤や消毒液を直接散布してシロアリを駆除する工法であり、即効性が高いため被害を受けている家におすすめです。
薬剤の効果は法律で最長5年間と定められているため、定期的な施工が必要となります。費用は1平方メートルあたり1,000〜2,000円程度です。
2つ目の方法はベイト工法です。
ベイト工法とは、毒のエサが入っている専用容器を家の周囲に埋めて、シロアリの巣ごと駆除する工法です。効果が表れるまでに時間がかかりますが、人体や環境に配慮してシロアリを駆除できるのでリスクが少ないです。
費用は外周1メートルあたり6,500円程度です。
シロアリを駆除する際には、費用や効果などを考慮し最適な方法を選択する必要があります。また、専門業者に依頼する際には、信頼性や実績、安全性なども含めて検討してください。
シロアリの駆除を検討する際に気になるのが費用ですよね。
建物の状態や依頼先の事業者によって費用が異なるため、適切な判断をするためには相見積もりを取りましょう。複数の事業者の費用を比較すれば、安く駆除できるかもしれません。
シロアリ駆除の費用相場は一概にはいえませんが、一般的な目安としては、1,150〜3,000円/平方メートル (3,800〜10,000円/坪)程度になります。
30坪程度の住宅であれば、最低でも10万円前後を予算に考えておくと良いでしょう。
ただし、工事内容や規模によっては、30万円程度になるケースもあります。なぜなら、被害の程度や駆除の難易度によって費用が増えるためです。
また、点検口がない建物は、点検口を追加する工事が必要になる場合があります。シロアリの巣の場所や侵入経路を特定し、効果的な駆除を行うためには、点検口の設置が必要です。点検口の設置により、駆除作業の効率が向上し、より確実な駆除が可能になります。
床下点検口の設置費用は、1箇所あたり約2〜5万円とされています。
正確な料金を知るためには、必ず事業者に現地調査を依頼し、シロアリ被害の状況を確認してもらいましょう。