趣味で集めた古銭や海外の珍しい硬貨などは、きれいに洗浄してとっておきたくなりますね。でも、やみくもに漂白剤を使ったりするのは、ちょっと心配なもの。そこで、硬貨の価値を傷つけず、きれいによみがえらせる方法をご紹介します。
1. 硬貨は洗浄しても大丈夫?
素材に合わせて洗浄すればOKです。
硬貨はもともと、不特定多数の人に長く使われることを前提に作られるものですから、身近なせっけん類で洗浄しても、ほぼ問題はありません。地面に落としたり、食べ物をこぼしたりという程度の汚れであれば、台所洗剤を薄めた液で軽く洗って水分を拭き取るだけでOKでしょう。 ただし、表面をきれいにするためにやすりを使うとか、金属でこすったりするのはNGです。「貨幣は、これを損傷し又は鋳つぶしてはならない」と、法律(貨幣損傷等取締法)で定められています。形状を変えるのは、法律違反になるのですね。 硬貨の汚れは、指の皮脂の付着や酸化による変色、サビ付き、経年劣化などが原因になります。つまり硬貨を洗浄するという意味は二つあります。 ・硬貨の表面に付いた汚れを落とす
・化学反応で変色した硬貨を、化学反応でもとに戻す
ということになります。 古銭の保存状態によっては、カビが生えていたり、硬貨同士がくっついていたりする場合もあります。価値を損なわないよう洗浄するためには、付着している汚れの種類や硬貨の素材に合わせて、方法を考える必要がありそうです。
2. 硬貨を洗浄する際の注意点
素材に合わせた洗剤を使う
日本に限らず、古来、硬貨の素材は金、銀、銅などの金属が主流でした。技術が進むにつれて、強度や耐久性、コストなどの問題をクリアするため、亜鉛やニッケルなどを混ぜて完成するようになります。硬貨を洗浄する際は、素材の特性に合わせた洗剤(薬剤)を使う必要があります。 素材は、一般的には硬貨の色から創造しますが、日本の100円玉のように、昭和30年代までは銀メインだったのが40年代以降は白銅に変わったものなど、一見すると分からない場合もあるので、注意が必要です。 ものを洗浄するときは、洗剤に含まれる酸性、アルカリ性の特徴を使い分けます。中和させて汚れを分解させるのが基本なので、酸性の油汚れにはアルカリ性洗剤を、アルカリ性の水垢汚れには酸性洗剤を、という風に考えます。 硬貨の表面に付いたカビなどの汚れは、お湯で強めにこするとほとんど落ちます。塩を使うとさらに磨かれますが、このとき塩分はきれいに洗い流さないと、サビの原因にもなるので注意が必要です。洗浄後は布などできれいに水気を拭き取り、空気にさらして完全に乾燥させることが大切です。
3. 銀貨を洗浄する方法
硬貨の中でも銀貨は、特に黒ずみやすい性質があります。
シルバーアクセサリーも、放っておくと黒くなりますね。これを洗浄するには、主に次の3つの方法があります。 ①化学反応を利用して、酸化銀を銀に還元する
ボウルにアルミホイルを敷いて、銀貨を入れます。そこに重曹を、銀貨2、3枚に大さじ1くらいの割合でふりかけ、銀貨が浸るくらいの熱湯を注ぎます。すると泡が立ち、みるみるきれいになります。後は水洗いし、布で水気を取ります。酸化して黒くなった酸化銀(AgO)を、重曹とアルミニウムを合わせることで発生した水素(H2)が還元し、銀(Ag)と水(H2O)になるのを利用したものです。 ②貴金属磨きクロスで磨く
貴金属用の磨きクロスには、細かな研磨材が付いています。磨くことで表面を薄く削り取り、輝きを取り戻します。細かな凸凹には対応しにくいですが、100円ショップでも手に入るため、簡単に試すことができます。 ③超音波洗浄機を使う
超音波で、水中の極微小な泡を揺らせたり、破裂させたりして、銀貨を洗浄します。 このほか、消しゴムでこすったり、歯磨き粉で磨いたりすると少し色が明るくなることもありますが、効果が大きいおすすめは上記の3つです。なお、現在流通している日本の硬貨に銀製のものはありませんので、洗浄の際はご注意ください。
4. 銅貨を洗浄する方法
銅製の硬貨は、比較的身近な家庭用品で洗浄できます。
白銅も黄銅も、銀貨と同様、酸化によりくすんだり、変色したりするので、化学反応を利用して還元させるのが、一番手っ取り早い方法と考えられます。 ①酸性の調味料に浸す
酢やレモン汁、ソース、ケチャップなど、酸性を含む調味料に浸して数分おき、表面を軽くこすります。塩を足してこすると研磨作用も加わって、きれいになります。後は水洗いして、水気を十分に拭き取ります。 ②クエン酸ペーストを使う
クエン酸液に浸す方法もありますが、ペースト状の方が効果が早く見られます。少量の水で溶いたクエン酸ペーストを、硬貨全体に付けて数分待ち、指先でこすった後、水洗いして水気を拭き取ります。 ③家庭用洗剤を使う
酸性のトイレ用洗剤やおふろ用洗剤に浸しても、同様の効果が期待できます。こちらも数分待ったら、後は水で洗って、布で水気を十分に拭き取ります。 現在日本で流通している円硬貨は、アルミニウム製の1円玉以外、すべて白銅、青銅、黄銅などの銅メインです。銅のほか、亜鉛やニッケル、スズの配合を変えてできています。特に10円玉は青銅性なので、洗浄により、発行時の輝きがはっきり実感できるのが、特徴といえそうです。
5. 硬貨を良い状態で保存する方法
空気にさらされないよう、コイン専用ケースへ
硬貨の汚れは、指先の皮脂や水分などが原因ですから、それらに触れない環境で保存するのが一番です。きれいに洗浄して乾かした後は、直接硬貨に触らないよう、指サックやピンセットを使って、コイン専用ケースに保管しましょう。空気にさらされないので、長期保存が可能になります。 しかし、場合によっては古銭の汚れ具合が好まれる、ということもあります。変色や付着物には、時間の経過や生活の歴史が感じられるため、そのまま保存していた方が価値がある、という考え方です。ここは好みが分かれるところですが、将来的に人に譲ることもあるのであれば、一考の余地がありそうです。 経年変化で硬貨の表面の文字がうまく判読できないものは、時代を追って素材を特定することが困難なため、薬剤の使用を避けた方が良いとも考えられます。また、硬貨同士がくっついたりしている場合など、無理にばらそうとすると、原形をとどめないことにもなりかねません。 そんなときは表面を、柔らかい布でやさしく拭くくらいで保管しておき、機会があれば専門家に洗浄の方法を相談してみるという手もあります。コイン専用ケースがない場合は、代わりの容器に布を敷くなどして、なるべく似た環境を作ると良いでしょう。硬貨の価値を損ねないよう、大切に保存したいですね。
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