防犯カメラはプライバシーの侵害になる?設置・運用の際のポイントを解説
公開日:2024.7.18
犯罪を防止する目的で設置される防犯カメラですが、防犯カメラで取得した情報がプライバシーを侵害している可能性もあります。
ここでは、プライバシーの侵害にあたるケースの紹介や、トラブルを避ける設置や運用の方法について解説します。
犯罪を防止する目的で設置される防犯カメラですが、防犯カメラで取得した情報がプライバシーを侵害している可能性もあります。
ここでは、プライバシーの侵害にあたるケースの紹介や、トラブルを避ける設置や運用の方法について解説します。
住宅や商業施設、公共の場などに防犯カメラを設置することは、犯罪を抑止したり犯行の証拠を撮影したりできるため、防犯対策として効果的です。
空き巣などの犯罪者は、基本的に人けのない住宅や深夜の商業施設を狙う傾向があります。
もし住宅に人の気配があれば、犯罪者は近づきにくくなります。しかし、住人が外出している時でも、防犯カメラが入り口や敷地内を映しているのが外から見えていれば、犯罪者は住人が在宅している時と同じように、その住宅に忍び込もうとは思わないはずです。
つまり、防犯カメラが設置されているということは常に人の目がある状態を作り出せるということで、住宅やお店を犯罪者から守るうえで高い防犯効果があると言えます。
また、日常的に繰り返し何らかの犯罪行為、迷惑行為などが行われている場合などは、防犯カメラを設置することで犯行現場を撮影し、犯人の姿を記録することもできます。
もし警察や裁判所などで第三者に判断をゆだねないとならない際も、こうした証拠映像があれば物事を有利に進められるでしょう。
このように、防犯カメラを住宅や店舗に設置することは、皆さんの平和な日常を犯罪者から守るために効果的な防犯対策と言えるでしょう。
防犯カメラは防犯対策として高い効果を発揮しますが、撮影する範囲や記録された映像の取り扱いについては充分に注意する必要があります。
以前の防犯カメラは解像度も低く、鮮明な映像を残すことができませんでした。また、夕方以降の暗い時間帯や雨風の強い日などは撮影能力が低下するため、画質の荒い映像になってしまっていました。
しかし、現代の防犯カメラは性能が向上しており、高い解像度で鮮明な映像を撮影することができます。
例えば人の顔ひとつとっても、目鼻立ちや服装などをはっきり見分けられるレベルで記録できるほどの解像度の高さです。
さらに、夜間や悪天候の中でも問題なく映像を残せるなど、カメラとしての性能が以前のものよりも非常に高くなっています。
ですが、これはメリットだけの話ではなく、同時にデメリットとなる事例も発生する恐れがあります。
防犯カメラの扱いを間違えることで、意図せずに誰かのプライバシーを侵害してしまうといった問題が発生するケースがあるのです。
防犯目的で設置したつもりでも、許可なく通行人を撮影しているとして迷惑行為で訴えられるリスクもあるため、設置する場所や撮影する範囲には充分な配慮が求められます。
防犯カメラの誤った設置や運用によってトラブルになってしまう事例をいくつか紹介します。
とある住宅で建物のひさし等に防犯カメラを4台設置していたところ、通行人のプライバシーを侵害していると訴えられ、裁判になってしまいました。
このケースでは設置した防犯カメラのうち、3台は防犯目的で適切な設置がなされていると判断されたものの、玄関に設置された1台のカメラが問題となり、損害賠償請求が認められています。
このカメラは玄関先の通行人が映るように設置されており、顔は判別できないものの人の通行や外出、帰宅といった日常生活を把握できる状態にあったと判断されました。これにより、カメラの撤去や多額の賠償請求が必要となってしまいました。
このように、防犯カメラの設置や取得した画像の取り扱いは慎重に行うことが大切です。
プライバシーを侵害しないためには、正しく防犯カメラを設置、運用する必要があります。
こうした防犯カメラの設置基準については、各自治体ごとにガイドラインが設けられているため、防犯カメラを設置する際にはこうした自治体のガイドラインを確認すると良いでしょう。
詳細は各地町村によって異なりますが、ガイドラインの一例としては以下のようになります。
■講じるべき措置
1.防犯カメラを設置する目的を明確にする
2.防犯カメラが撮影する対象・区域を明確にする
3.防犯カメラの撮影対象の区域内の見やすい場所に設置者および防犯カメラを設置している旨を表示する
4.防犯カメラの管理および運用に関する責任者を置く
■遵守する事項
1.防犯カメラの設置運用規約を遵守し、適切に運用及び管理を行う
2.防犯カメラの映像および映像データで知り得た情報を他者に漏らさない
3.画像データを加工しない
4.定められた保管期間を経過した後、画像データを消去し復元できないようにする
これらはガイドラインの一例であり、実際に防犯カメラを設置する際は各自治体のガイドラインに記載された必要な措置や遵守すべき事項を確認するようにしましょう。
防犯カメラは住宅や店舗の防犯対策として効果的ですが、設置・運用のやり方を誤るとトラブルになる恐れもあるため、注意すべきポイントについて以下にまとめました。
・個人情報保護委員会や各地町村のガイドラインを遵守する
防犯カメラによるプライバシーの侵害を避けるため、個人情報保護委員会が公表する「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」や、各市町村が設定した防犯カメラの設置基準のガイドラインを確認し、遵守しましょう。
・映像データの管理を徹底する
撮影した映像データは厳重に保管し、インターネットなどの外部に流出しないよう注意しましょう。
また、カメラやレコーダー、データベースといった場所へのログインID・パスワードなども初期設定のままにせず、簡単に突破されないセキュリティ性の高いものを設定しましょう。
データにアクセスできる身近な人間には情報に関するリテラシーの向上のために、積極的に啓蒙活動を行うことも必要です。
・防犯カメラで撮影中であることを掲示する
トラブルを避けるには、防犯カメラで撮影していることを掲示するのが望ましいでしょう。
これらのポイントを押さえ、大切な自宅やお店を犯罪者から守ると共に、意図せず他者のプライバシーを侵害してしまうといったトラブルが起きないよう配慮することが重要です。