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外来種害獣のキョンとは?被害状況やその対策も解説

公開日:2021.11.1 更新日:2024.4.4
外来種害獣のキョンとは?被害状況やその対策も解説

外来種害獣であるキョンに関するさまざまな情報を簡単に紹介します。
この害獣は一部の地域で大変問題となっており、駆除などの対策をしているものの、増加に歯止めがきかなくなっています。
キョンは一見すると可愛いのですが、食害や鳴き声による騒音がひどいので、非常に厄介な外来種害獣です。この害獣に対して、闇雲に対策しても効果が薄いので、まずは相手のことを知りましょう。

ここからはキョンの生態や生息地などの情報を分かりやすくお伝えしていきますので、対策の参考にして下さい。

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1. キョンの本来の生息地とは?

キョンの本来の生息地は上海や江蘇省、福建省などの中国東部と台湾です

野生のキョンの写真

この害獣の本来の生息地は、華東と呼ばれている地域です。華東とは上海市を中心としたエリアで江蘇省、福建省、浙江省、山東省、安徽省、台湾省、江西省のことです。これらの地域から観賞目的で、日本の動物園に輸入されてきました。
1980年代に千葉県の行川アイランドから数頭が逃げ出し、天敵もおらずエサである草も豊富にあったため、30年後の2014年には47,000頭にも急増しました。

これより少し前の1970年には伊豆大島に台風が直撃し、動物園の柵が壊れて数頭が逃げ出しました。こちらも千葉県と同様に急増して、2014年には11,000頭にもなっており、2017年には13,000頭に増えています。

取り合えずキョンの行動を全て把握しているわけではありませんので、GPSを使用して効率よく駆除するためのデータを収集しているところです。

この害獣の生息域は房総半島と伊豆大島に限定されています。その他の外来種害獣は生息エリアを徐々に広げていくのですが、キョンは基本的に群れでの行動をしませんし、縄張り意識も少ないので、狭いエリアでの増加が可能となっています。他の外来種と同様にキョンも人間が原因で害獣に指定されたようなものですので、駆除するのは心が痛みますが、年間3400頭駆除していけば計算上は頭数が減少していきますので、盛んな対策が必要となります。

2. キョンの生態について

キョンの生態に関するさまざまな情報を分かりやすく紹介していきます

キョンの子供の写真

この害獣の生態として最初に紹介するのは、見た目の特徴や寿命などです。

キョンはシカを一回り小さくした大きさで、体長70~100㎝、体重10~18㎏です。シカが群れで行動するのに対し、キョンは単独で行動します。鳴き声は犬とよく似ており、姿が見えない場合は野犬と勘違いする方もいらっしゃいます。平均寿命は10年から12年と言われており、メスのキョンはその間に産む子供の数は、16頭から20頭です。

繁殖期は特に決まっていないのですが、4月から6月にかけての時期が最も多いです。キョンのメスは生後半年が経過すると妊娠できるようになり、約210日で出産するとされていますので、瞬く間に数が増えていきます。

この害獣は草木を好みますので、基本的には森林で活動しているのですが、エサが無くなった場合は、人家の近くに降りてきて、畑の農作物などを食い荒らします。その場合は人が少ない早朝や夜間に現れることが多いです。

この害獣の肉は脂分が少なく、あっさりしているので、中華料理の食材としても使われており、わが国でも昨今のジビエブームで需要が高まりつつあります。オスのキョンにはシカほどではないですが、鋭い角が生えていますので、くれぐれも素手で捕獲しようと思わないで下さい。

3. キョンが及ぼしている被害状況

キョンが及ぼしている被害状況について分かりやすく紹介していきます

草を食べようとしているキョンの写真

この害獣による被害は年々増加傾向にありますので、個別に紹介します。

キョンによる被害として代表的なのが食害です。キョンは森にある新芽や草を好んで食べるのですが、数が圧倒的に多いので、全て食べつくし、森全体の生態系を破壊している状況にあります。

冬場などで森の草木が少ない時は、人里まで下りてきて、畑になっているトマトやスイカ、明日葉などの農作物を食い荒らしますし、家の庭に植えている芝生や道路端の花壇の花も被害にあいます。特にキョンが生息している房総半島には、滅多に人が来ない別荘も多くありますので、食べられ放題ということになります。

キョンによる被害で次に紹介するのは、山ヒル(ヤマビル)の媒介です。人の衣服に付着して血を吸ってくる山ヒルというのは、その名の通り普段は山の中にしかいません。ところが住宅地で噛まれる被害が続出したので調査してみると、キョンによって運ばれてくることが判明しました。

この害獣の一頭当たりの被害額は、シカやイノシシと比べると非常に少額です。しかし頭数が凄いので、これからも被害件数や被害額は増えていくでしょう。キョンの被害を食い止めるには、年に数千頭のペースで捕獲していかないといけないのですが、現在では年に数百頭が精いっぱいの状況です。

4. キョンによる被害への対策方法

キョンによる被害への対策方法や必要道具の詳細を簡単に紹介します

罠のイメージ絵

この害獣への対策として最初に紹介するのは忌避剤です。キョンの天敵は大型の肉食獣なのですが、日本ではオオカミが絶滅していますので、クマしかいないことにあります。しかしキョンの数に比べクマの頭数は少ないので、効果が期待できないのが現状です。

そこで役に立つのがオオカミの尿と同じ成分で作られた忌避剤です。ペットボトルを半分に切った中に忌避剤を入れ、畑や水田の周りにぶら下げておくことで、キョンが近づきにくい環境を整えることが出来ます。ただしこの忌避剤は人間にとっても強烈な臭いですので、少しの忍耐が必要となります。

キョンへの対策として次に紹介するのは、罠の設置です。囲い罠やくくり罠などの種類があるのですが、最も多く用いられているのが箱罠です。夜間の赤外線カメラやセンサーによって、キョンの動きを把握したうえで、最も効果が高い場所に設置しましょう。ただし、箱罠を使ってキョンを捕獲するには、自治体に申請して許可をもらう必要があります。万が一、無許可で罠を設置したり、キョンを捕獲した場合は法律で罰せられ危険がありますので、まずは自治体に連絡して下さい。

その他の対策としては狩猟があります。現在では高齢化により、ハンターの数も少なくなっていますが、自治体によっては駆除集団を結成しているところもあります。いずれにしても狩猟の場合は免許が必要になりますので、勝手に駆除しないようご注意下さい。

5. 外来種害獣キョンのまとめ

外来種害獣であるキョンに関する情報のまとめとポイントのおさらい

草原に座り込むキョンの写真

この害獣に関する様々な情報をお伝えしてしてきましたが、最後におさらいも兼ねてポイントをまとめます。

キョンは外来種害獣の中でも抜群の繁殖力ですので、一匹でも発見すると注意が必要です。

農作物への被害はもちろんのこと、花などの植物への食害は深刻で、森の生態系が激変してしまう事も。千葉県では一年間に3,000頭のキョンを駆除しても増加しています。

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