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ガラスは何度で割れる?温度の目安とガラス割れ対策について

公開日:2019.7.17 更新日:2024.7.9
ガラスは何度で割れる?温度の目安とガラス割れ対策について

ガラスのコップに高い温度のお茶やコーヒーを入れたら割れてしまった、あるいは夏の暑い日に家の窓ガラスにヒビが入ってしまったという経験はありませんか?
一体ガラスはどれくらいの温度で割れてしまうのでしょうか。また、割れないための対策はあるのでしょうか。

今回はガラスが割れる温度について徹底解説します。

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1. 一般的なガラスは60度で割れる

結論から言いますと、ガラスは60度以上の温度になると割れてしまいます。

ガラス製の温度計の写真

その原因はガラスを構成する組織が熱に耐えられなくなってしまうからです。ガラスは温度が上がると膨張するという性質を持っています。熱湯などを注ぐと、ガラスの一部分が急速に温められて膨張します。しかし、温度が低い部分は膨張しないか、してもわずかに膨張するのみ。一部分のみ温度が急激に上昇して膨張することで、ガラス全体のバランスが崩れて割れてしまうのです。

ちなみにお風呂の水は40度くらい。それよりも高い60度と言えばお湯を沸かして泡が出はじめてきたくらいの温度で、人が触れるか触れないかくらいのギリギリの熱さです。人が火傷をしてしまう温度、熱くて触れないような温度は、ガラスにとっても危険だと頭に入れておくと良いかもしれません。

2. ガラスの温度差に要注意!

前項で説明した60度というのはあくまで目安です。

水が注がれているガラスのコップの写真

実はもとのガラスの表面温度によって割れる温度というのは変動します。たとえば、ガラスの表面温度が20度と比較的高めだった場合、70度くらいのお湯を入れても割れないかもしれません。逆に冷蔵庫に入れておいてキンキンに冷えたガラスのコップの場合は、お湯の温度が60度以下でも割れる危険性があります。

60度というのは、あくまでその時のガラスの表面温度との温度差を指すのです。必ずしもお湯の温度が60度だからといってガラスのコップが割れるということはありません。しかし、安全性を考えれば、60度以上の熱いお湯をガラスのコップに入れるのは控えた方が賢明と言えます。

逆に、温度が高くなっているガラスを急激に冷やすのも危険です。ガラスは温度が低くなると収縮しようとする力が発生します。急激に冷やすと、一部分だけ収縮することで力が加わって割れてしまうという、お湯を注いだ時と逆のことが起こるのです。そのため、仮にお湯を注いだ時にガラスが割れるのを防ぐために冷水で冷やすというのは、かえって危険な行為だと言えます。

3. 熱割れしやすいガラスの種類

基本的に、耐熱ではないガラスは、温度が上昇するとすぐに割れると考えておいたほうが良いです。

日光が反射しているガラスの窓の写真

普通のガラスのコップはその代表例と言えます。実は窓ガラスも同じで、直射日光などでガラスの一部のみが熱くなると、日陰の部分や冷房が効いている室内に接している面との温度差が生じてしまい割れることがあります。特に近年の夏のシーズンは猛暑に見舞われています。真夏の日中はガラスの表面が50度近くに達することもあるのです。

また、網入りガラスも注意が必要です。網入りガラスは割れた時でも破片が飛び散らないようワイヤーが張り巡らされています。しかし、ワイヤーという別の素材がガラスの中に入ることで、熱の影響を受けやすくなってしまうのです。

ビルなどで使われる熱線吸収ガラスは、日光の熱を吸収して冷房効果を高め、室内環境を快適に保つとされています。いかにも熱に強そうですが、この熱線吸収ガラスも注意すべきです。

熱を吸収する性質があるが故に、直射日光が当たる部分はガラスの温度がぐんぐん上昇していきます。一方で影になっている部分はそれほど温度が上昇しないため、温度差が生じてヒビが入りやすくなるのです。特に窓ガラスは割れると怪我をする危険性が高いので、注意してください。

4. ガラスが割れやすい原因

温度差が生じるとどんな物質でも状態が変化します。

割れたガラスのコップの写真

鉄も温度が高くなると膨張するという性質がありますが、鉄を急激に熱したから割れるということはありません。

実はガラスという物質はそれほど耐久性が強いものではありません。プラスチックのコップを落としても割れませんが、ガラスのコップを落とすとすぐに割れてしまいます。ガラスはわずかでも力を入れると割れてしまう繊細な物質なので、熱膨張による力にも弱いのです。鉄は非常に強固な物質なので、少しぐらい膨張したとしても割れることはありません。

それに加えて、熱伝導率(熱の伝わる速度を示す割合)も大きく影響しています。鉄は伝導率が高い物質です。熱が伝わりやすいので、表面温度が上昇したとしても、すぐに熱が伝わって全体が膨張します。ガラスは熱伝導率が非常に低い、つまり熱を通しにくいため、先程も説明したとおり一部だけが熱によって膨張し、バランスを崩して割れるということが起こりやすいのです。

このように、耐久力が低いことと熱伝導率が低いことが、ガラスが温度差で割れやすい原因と言えます。

ちなみに、熱割れがしにくい耐熱ガラスは熱伝導率が高くてかつ目に見えない物質、具体的にはホウ酸などをガラスに配合して熱膨張率を低く抑えたガラスです。温度が上がっても膨張しにくい性質があるから、熱割れを防げます。近年では400度以上もの高温に耐えられるガラスもあるくらいです。

5. ガラス割れを防ぐための対処法

温度によるガラスの割れを防ぐためには、とにかく急激な温度差を与えないことが大切です。

割れた窓ガラスの写真

冷たいガラスコップに熱湯を入れない、温まったコップに冷水を入れないのは基本中の基本。お湯を入れた後に割れるかもしれないと急いでコップを冷やすのは逆効果です。

特にガラス製の食器は割れて怪我をする危険性が高いので、なるべくなら耐熱性の食器に交換することをおすすめします。「耐熱ガラス」と表示されているものを選ぶと安心です。

窓ガラスは食器と比べると割れにくいですが、万が一割れてしまうと大きな事故が起こる危険性が高いです。特に古いガラスは風雨にさらされることで細かい傷が表面にできて熱割れのリスクが高まります。

近年は記録的な猛暑になることも多いので、窓ガラスに関しても耐熱ガラスのものに交換するのがおすすめです。すでにひび割れてしまったガラスは、いつ割れるかわからないので、早急に交換してください。ガラスは温度が変化すると割れる。これを意識して、ガラスを取り扱いましょう。

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