エアコンの取り付けは自分でできる?正しい手順や失敗しない注意点を解説!
公開日:2025.11.6
エアコンを新しく購入したり引っ越したりする際に、「取り付け工事費用が高い」と感じたことはありませんか。費用を抑えるために、自分でエアコンを取り付けたいと考えるかたもいるでしょう。DIYの知識があれば挑戦できそうに思えるかもしれませんが、エアコンの取付作業は専門的な知識と工具を要する複雑な工程です。
この記事では、自分でエアコンを取り付けるための具体的な手順と必要な道具を詳しく解説します。あわせて、作業に伴うリスクや注意点も分かりやすく紹介し、安全に作業を進めるための判断材料を提供します。
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1. エアコンの取り付けは自分でできる?
DIYの可否とメリット・デメリット
エアコンの取り付けを自分で行うことは、果たして可能なのでしょうか。
費用を抑えたい気持ちから「自分でエアコンを取り付けたい」と考えるかたも多いですが、実際には専門知識や工具が必要となるため、簡単にできる作業ではありません。
ここでは、DIYによるエアコン取付の現実的な可否と、そのメリット・デメリットを詳しく解説します。
結論として可能だが、推奨はしない
エアコンの取付作業は、電気工事士の資格が必要な工程を除けば、自分で行うことも技術的には可能です。 しかし、そのためには多くの専門工具を揃え、正しい手順と知識を身につける必要があります。
取り付け作業には、ガス漏れや水漏れ、感電といった重大な事故につながる危険が伴います。
経験や知識がないかたが行うのは非常にリスクが高いため、安全面を考慮すると基本的には専門事業者に依頼するのが安心です。
メリットは工費の節約
自分でエアコンを取り付ける最大のメリットは、事業者に支払う工事費用を節約できる点です。 一般的に、新品エアコンの標準的な取り付けには1万5千円〜2万円程度の費用がかかります。 この費用を抑えられるのは、特に引っ越しなどで複数のエアコンを設置する場合に大きな魅力となるでしょう。
また、DIYが好きなかたにとっては、自分の手で作業を完了させる達成感も得られます。
デメリットは失敗のリスクと保証の不在
一方でデメリットも大きく、慎重な判断が必要です。 最大の問題は、作業に失敗した場合のリスクです。
配管の接続不良によるガス漏れは、エアコンがまったく冷えなくなる原因となります。
また、室内機の固定が不十分だと水漏れが発生し、壁や床、家財を損傷させる恐れもあります。万が一、エアコン本体や家の構造物を破損させた場合は修理費をすべて自己負担しなければならず、結果的に業者へ依頼するよりも高額になるケースもあります。
さらに、自分で取り付けた場合はメーカー保証や工事保証の対象外となる点にも注意が必要です。
2. エアコン取り付けDIYの前に確認すべき重要事項
作業前に必須となる4つの確認点
作業を始めてから後悔しないために、必ず確認しておくべき点がいくつかあります。これらを怠ると、法律違反になったり、後で大きなトラブルに発展したりする可能性があるため、事前にしっかりとチェックしましょう。
電気工事士の資格が必要となるケース
エアコンの取り付け作業の中には、法律で電気工事士の資格がなければ行ってはならないと定められているものが含まれます。具体的には、エアコン専用のコンセントがない場所に新しく設置する工事や、コンセントの電圧を変更する工事などが該当します。
無資格でこれらの電気工事を行うと、法律違反で罰せられるだけでなく、火災や感電といった命に関わる事故を引き起こす原因となり危険です。
参考:家庭用エアコンの設置・修理の工事について(METI/経済産業省)
賃貸物件における許可取得の必要性
お住まいが賃貸物件の場合、壁に穴を開けたり、エアコンを設置したりする際には、必ず事前に大家さんや管理会社の許可を得る必要があります。
無断で工事を行うと契約違反となり、退去時に高額な原状回復費用を請求される可能性があります。物件によっては、建物の構造上の問題でエアコンの設置が禁止されている場合や、指定の事業者以外による工事を認めていないケースもあるため、契約書を確認し、書面で許可を得ておくことが重要です。
取り付け場所の壁の強度と構造
室内機は10kg以上の重量があるため、設置する壁には十分な強度が必要です。石膏ボードのみの壁に設置すると、重さに耐えきれず室内機が落下する危険があります。
壁の内部にある柱や間柱といった頑丈な下地に、据付板(背板)をしっかりと固定することが大切です。壁を叩いて音の違いで下地の位置を探るか、または専用の下地センサーを使って正確な位置を確認しましょう。
エアコン専用コンセントの有無
エアコンは消費電力が大きいため、他の家電と共用する延長コードではなく、専用のコンセントに接続する必要があります。
専用コンセントがない場合、ブレーカーが頻繁に落ちたり、最悪の場合は発熱して火災につながる危険性があります。取り付けたい場所の近くにエアコン専用のコンセントがあるかを必ず確認してください。
もし専用コンセントがなければ、前述の通り電気工事士による増設工事が必要です。
3. エアコン取り付けに必要な道具と部材一覧
揃えるべき工具と部材のリスト
エアコンの取り付けには、日常的なDIYで使う工具だけでは不十分です。
ここでは、購入すべき工具、レンタルがおすすめの専門工具、そして必要な部材に分けて紹介します。
購入を推奨する基本的な工具
以下の工具は、他のDIYでも使用できる汎用性の高いものです。持っていない場合は、この機会に揃えておくことをおすすめします。
必要な工具には、電動ドリルドライバー、ドライバーセット、モンキーレンチ、水平器、カッターナイフ、ニッパー、脚立などがあります。これらは壁への下穴あけやネジ止め、配管接続、室内機の水平設置、ケーブル加工、高所作業など、各工程で使用します。
レンタルを活用したい専門工具
以下の専門工具は高価で、使用頻度も低いため、購入するよりもレンタルサービスを利用するのが経済的です。
主な工具には、配管内を真空にする真空ポンプ、圧力を測定するゲージマニホールド、適切な力で締め付けるトルクレンチ、配管の先端を加工するフレアツール、配管を切断するパイプカッター、壁に穴を開けるコアドリルなどがあります。これらは専門性が高いため、レンタルでの利用が現実的です。
事前に揃えるべき配管などの部材
工具とは別に、エアコンの設置にはいくつかの部材が必要です。エアコン本体には付属していないため、別途購入する必要があります。
主な部材には、室内機と室外機を繋ぐ配管パイプ(ペアコイル)、電線であるVVFケーブル、結露水を排出するドレンホース、配管を保護する配管テープ、穴の隙間を埋めるエアコン配管用パテ、室外機の土台となるプラブロックなどがあります。これらを事前にすべて揃えておくことで、作業をスムーズに進められます。
4. エアコンを自分で取り付ける手順
室内機の設置から試運転まで
道具と部材が揃ったら、いよいよ取り付け作業に入ります。
室内機の設置から配管の準備、室外機の設置、配管の接続、真空引き、そして最終確認の試運転まで、順を追って解説します。
手順1:室内機の取り付け位置決定と背板の設置
まず、室内機の取り付け位置を決めます。壁の上部で、左右にスペースがあり、天井やカーテンレールと干渉しない場所を選びましょう。
位置が決まったら、水平器を使いながら据付板(背板)を壁に固定します。このとき、壁の内部にある柱や間柱などの下地に、ネジでしっかりと固定することが重要です。
手順2:壁の配管穴あけ(既存穴がない場合)
配管を通すための穴が壁にない場合は、コアドリルを使用して穴を開けます。穴は屋外側が少し低くなるように勾配をつけ、雨水の侵入やドレン水の逆流を防ぎます。
壁の内部には電気配線や柱があるため、図面で確認するか下地センサーを使って慎重に位置を決めてください。建物を傷つけるリスクが高い工程のため、作業は丁寧に行いましょう。
手順3:室内機の準備と壁への設置
室内機の裏側で、配管パイプ、VVFケーブル、ドレンホースを接続し、ビニールテープでひとまとめにします。
まとめた配管類を壁の穴に通しながら、室内機本体を据付板の上部のツメにしっかり引っ掛け、下部を押し込んで固定します。
手順4:配管のフレア加工
室外機に接続する側の配管パイプの長さを決め、パイプカッターで切断します。切断面のバリ(ささくれ)をリーマーで丁寧に取り除いたあと、フレアツールを使って配管の先端をラッパ状に加工します。
フレア加工が不十分だとガス漏れの原因になるため、慎重に作業しましょう。
手順5:室外機の設置と配管の接続
室外機をプラブロックの上に水平に設置します。 その後、フレア加工した配管パイプを室外機の接続口(バルブ)に接続します。
フレアナットは、まず手で回せるところまで締め、最後にトルクレンチを使って規定のトルクで正確に締め付けます。締め付けが弱すぎても強すぎてもガス漏れの原因になります。
手順6:真空ポンプを使った真空引き
ゲージマニホールドとチャージホースを介して、室外機のサービスポートと真空ポンプを接続します。真空ポンプを15分ほど作動させ、室内機と室外機を繋ぐ配管内の空気や水分を完全に抜き取り、真空状態にします。
この作業を「真空引き」と呼び、エアコンの性能を最大限に発揮させるために欠かせない工程です。
手順7:ガス漏れの確認と冷媒ガスの解放
真空引きが終わったら、ポンプを止めてゲージマニホールドのバルブを閉じ、10分ほど放置して圧力計の針が動かないかを確認します。
針が動く場合はどこかでガス漏れが起きているため、配管の接続部を再度点検します。問題がなければ、六角レンチで室外機のバルブを開き、配管内に冷媒ガスを解放します。
手順8:配管穴のパテ埋めと試運転
屋外の配管に保護テープを巻き、壁の穴の隙間をエアコン配管用パテでしっかり埋めます。 最後に、エアコンの電源プラグをコンセントに差し込み、試運転を行います。
冷房が正常に効くか、室内機や室外機から異音がしないか、ドレンホースから水が排出されるかを確認し、問題がなければすべての作業は完了です。
5. エアコンを自分で取り付ける際によくある失敗例
特に多い3つの失敗例
手順通りに進めても、慣れない作業では思わぬ失敗が起こりがちです。ここでは、エアコンの取り付けを自分で行う際に多い3つの失敗例について解説します。
ガス漏れによる冷却能力の低下
フレア加工の不備や、トルクレンチを使わずにナットを締めたことが原因で、配管の接続部から冷媒ガスが漏れてしまうことがあります。
ガスが抜けてしまうとエアコンはまったく冷えなくなり、暖房能力も著しく低下します。ガスの再充填には専門事業者への依頼が必要で、数万円の追加費用が発生します。冷媒ガスの漏れは自力で修理できない重大トラブルです。
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室内機の水漏れによる家財への損害
室内機の設置が水平でなかったり、ドレンホースの勾配が適切でなかったりすると、結露水がうまく排出されず室内機から溢れ出してしまうことがあります。
この水漏れは、壁紙にシミを作ったり、床や家具を濡らして傷めたりする原因となり、大きな損害につながる可能性があります。設置時には水平器で確認し、ドレンホースは必ず屋外側が低くなるように勾配をつけましょう。
わずかな傾きや勾配の誤りが水漏れを引き起こす原因になります。
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感電や火災につながる電気配線のミス
VVFケーブルの接続を誤ったり、被覆の剥き方が不適切で銅線が露出していたりすると、ショートを起こしてエアコンが故障するだけでなく、漏電による感電や火災につながる恐れがあります。
電気配線の作業は、細心の注意を払って行ってください。少しでも不安がある場合は、絶対に無理をせず専門家に相談することが賢明です。
6. まとめ:安全第一!自分でのエアコンの取り付けが難しいと感じたら迷わずプロに相談を
安全を最優先した選択を
この記事では、自分でエアコンを取り付けるための手順や注意点を詳しく解説しました。
最終的にどのような判断を下すべきかは、安全性を最優先に考えることが重要です。
DIYで取り付けるリスク
DIYでの取り付けは費用を節約できる可能性がありますが、多くの専門工具と正確な知識が必要であり、ガス漏れや水漏れ、感電といった重大なリスクが伴います。
特に、電気工事や壁の穴あけ、真空引きといった工程は難易度が高く、少しでも作業に不安を感じた場合は、無理をせずに専門の事業者に依頼することを強くおすすめします。
プロに相談すべきタイミング
作業の途中で「難しい」「不安だ」と感じたら、それが専門家に相談するべきタイミングです。
無理に作業を続けると、取り返しのつかない事態を招く可能性があります。安全と確実性を最優先し、安心してエアコンを使える環境を整えましょう。
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