上布とはどんな種類の着物なの?
公開日:2021.11.1 更新日:2024.4.4着物における上布に関するさまざまな情報を分かりやすく紹介します。この本来の意味は苧麻(ちょま)を使って編まれた上等の布ということだったのですが、現在では高級な麻布と言う意味で使用されています。有名な上布としては縮の箇所でも紹介した子千谷縮があります。上布は振袖や留袖に使われることはなく、紗や縮で用いられています。今回は上布の着物を着た時のコーディネートや役割、相場なども紹介しますので参考にして下さい。
着物における上布に関するさまざまな情報を分かりやすく紹介します。この本来の意味は苧麻(ちょま)を使って編まれた上等の布ということだったのですが、現在では高級な麻布と言う意味で使用されています。有名な上布としては縮の箇所でも紹介した子千谷縮があります。上布は振袖や留袖に使われることはなく、紗や縮で用いられています。今回は上布の着物を着た時のコーディネートや役割、相場なども紹介しますので参考にして下さい。
この布を用いた着物はある程度高級なものですので、帯はもちろん小物にも気を配りましょう。品のある古千谷縮を着ているのに安価な帯を締めていたり、ポリエステルで出来ている巾着袋などを持っていると、せっかくの上布が台無しです。
上布にはいろいろな産地があるのですが、初心者の方でしたら、なるべく同じ産地のもので揃えましょう。慣れている方でしたら、近江上布の着物に能登上布の帯を合わせるなど、他の方が真似できないコーディネートを楽しむことが出来ます。
一反数百万円する宮古上布でしたら、帯も力強い琉球帯を合わせて帯締めや帯揚げにもこだわりましょう。
明石上布などの絹上布の着物を着られる場合は、しっかりした帯がよく合います。夏物だからと軽い帯を締めてしまうと絹上布だけが浮いて見えますので、ご注意下さい。上布に合わせる帯留めはトンボ玉ではなく、珊瑚やべっ甲など高級感のあるものがぴったりです。
この布を使用した着物に合うコーディネートを紹介してきましたが、最初は人のまねをしてもいいでしょう。雑誌や街中で素敵に上布を着こなしている方がいらっしゃったら同じニュアンスでセレクトして下さい。上布のコーディネートのポイントは自分が着たいものと他人からどう見られるかのバランスを取ることです。
この素材を使用した着物にはいくつか役割があるのですが、まず紹介するのは着ていく場所についてです。夏の着物として紗や絽、縮、浴衣などがありますが、使われている素材は様々です。
例えば家族で花火大会や縁日にお出かけする時はどんな着物を着ても問題はありませんね。しかし、大勢の方が集まるパーティーなどの場合は、着るものを間違えると自分も恥ずかしいですし、場の雰囲気を壊すことにもなりかねません。ラフな服装で大丈夫と言われても、浴衣や安物の紗で行くわけにもいかない、そんなときに役に立つのが近江上布や能登上布、越前上布などが使われている着物です。
これらの着物は見る人が見たら、上等なものだということが分かるので、パーティーでも堂々としていれますし、雰囲気を壊すことがありません。それどころか周りに対して涼やかな印象を与えることが出来ます。ましてや宮古上布を着ていれば、周りの方からの注目を浴びること間違いなしです。
この素材の着物の役割としてもう一つ紹介するのが長く愛せる点です。着物と言うのは体のサイズがある程度変化してもお直しすれば何年でも着ることが出来ます。ポリエステル製のものと比べ、上布を使って作られている着物は形が崩れたり生地が伸びたりしにくいです。もちろんそれなりの保管技術は必要ですが、きちんとしていれば子や孫の代まで残すことが出来ます。
この素材を使った着物の相場は産地や状態によって金額が大きく異なりますので、個別で紹介していきます。
まずインターネットオークションなどで出品されている中古品の相場は平均60,000円です。男性ものでしたら、30,000円前後が相場となっています。
ただし、これらの金額で出品されている上布は反物ではなく、すでに仕立てられていますので、サイズが合わない場合は仕立て直し金額が必要になります。
いろいろな模様が描かれている越後上布フルオーダーした手直し付きの相場は321,000円から375,000円です。能登上布は一反106,000円から132,000円、名のある職人が手掛けたものは380,000円となっています。近江上布で作られている近江縮の相場は一反90,000円前後、オークションでの中古品の相場は48,000円です。
この素材を使った着物の相場で特別高級なのが八重山上布と宮古上布です。どちらも状態のよくない中古品でしたら、相場は48,000円前後なのですが、新品の反物でしたら、一反480,000円が相場となります。また草木染や名のある工房で織られた上布でしたら、一反1,200,000円から5,000,000円を超えるものまであります。上布を使った着物は他のものと比較して高級ですが、一生ものですので一枚は持っておきたいですね。
この布にまつわる豆知識で紹介するのは、見分け方です。代表的なものとして越後上布や会津上布、近江上布、能登上布、宮古上布、八重山上布があるのですが、その他にも様々な上布があります。
反物の状態でしたら、証紙(タグ)というものが付いており、産地や工房が分かる仕組みになっているのですが、着物の状態でしたらどこのものか一切分かりません。
ではプロはどのようにして見分けているかと言うと、繊維の太さや肌触りです。太さが均一でしたら紡績糸を使用していることが分かりますし、そうでなければ手績みであることが分かります。肌触りについても同様で同じ麻でも日本で栽培されたものと外国で栽培されたものは経験を重ねたプロが触ればすぐに分かります。
その他で言えば、模様の配置や糸使いなどで産地を見分けることが出来ます。着物買取店などでは、経験豊富なプロが査定していますが、素人では判断が非常に難しいので、オークションで購入する際は注意が必要です。
ここでの豆知識で次に紹介するのは、高額な上布で作られた着物を購入する方法です。町の呉服屋さんでもデパートの呉服屋さんでも500万円以上するお着物は店頭に並んでいないことが殆どです。高級な上布を購入するためには何点か購入して担当に付いてもらい、優良顧客向けの展示会の招待状を受け取ることです。その会場に行くと普段はお目にかかれないような値段の上布がたくさん展示されています。
この布を使用して作られている着物は、夏物がほとんどです。越後上布や宮古上布など着物好きの方でしたら、多くの方が一度は着てみたいものばかり。
しかし興味がない、着物に疎い方でしたら、その魅力に気づくことはないでしょう。実家の立て直しや形見分けなどで出てきても保管に困るだけですね。そのままにしておくと無駄になりますので、着物を活かす意味でも買取店に査定してもらうことをお勧めします。