野ねずみが持つ病原菌とは?感染症一覧と予防・駆除の正しい方法
公開日:2026.6.25
庭や畑、物置の近くで野ねずみを見かけると、
「野ねずみは病原菌を持っているのか」
「フンや尿に触れると危険なのだろうか」
と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
野ねずみは人に感染する病原菌を持っている可能性があり、放置すると健康被害につながるケースがあります。ただし、野ねずみがいるからといってすぐに感染するというわけではありません。重要なのは、どのような感染症があり、どこから感染し、どう防ぐべきかを正しく知ることです。
特に、アウトドアや農作業では、知らないうちに汚染された土壌や水へ接触しているケースがあります。また、野ねずみそのものではなく、フンや尿、寄生虫が感染源になることも少なくありません。
この記事では、野ねずみが持つ主な感染症一覧、感染経路、感染を防ぐための対策までをわかりやすく解説します。「何が危険で、どう行動すれば感染を防げるのか」を判断できる内容になっていますので、感染リスクを避けるための参考として役立ててみてください。
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野ねずみが持つ主な感染症一覧
単純に「ネズミ=不衛生」という認識だけでは不十分です。なぜなら、野ねずみは人に感染する病原菌を複数持っており、感染症ごとに感染経路や重症化リスクが異なるためです。野ねずみが持つ主な感染症は以下の通りです。
- レプトスピラ症
- ハンタウイルス感染症
- サルモネラ感染症
- ペスト
- 鼠咬症(そこうしょう)
- アナフィラキシーショック
感染症ごとの特徴を理解しておくことで、危険な環境や行動を避けやすくなります。詳しく見ていきましょう。
野ねずみが持つ感染症①:レプトスピラ症
レプトスピラ症は、野ねずみの尿に含まれる「レプトスピラ菌」によって感染する病気です。人と動物の両方へ感染する「人獣共通感染症」のひとつとして知られています。
特に注意したいのは、野ねずみそのものではなく、尿によって汚染された水や土壌です。川や水たまり、ぬかるみ、農地などでは、気づかないうちに病原菌へ接触してしまうことがあります。
感染経路として多いのは、傷口や粘膜から菌が侵入する「経皮感染」です。汚染された水や食品を口にすることで感染するケースもあり、特に野外活動時は注意が必要です。なお、通常は人から人へ感染することはありません。
潜伏期間は2日〜3週間ほどで、その後は発熱・悪寒・頭痛・筋肉痛・吐き気などが現れます。初期症状は風邪と似ているため見逃されやすく、重症化した場合には黄疸や出血症状、腎臓・肝臓障害へ進行することもあります。重症型は「ワイル病」と呼ばれています。
参照元:「レプトスピラ症(ワイル病)(Leptospirosis)」:FORTH
野ねずみが持つ感染症②:ハンタウイルス感染症
ハンタウイルス感染症は、野ねずみが持つ「ハンタウイルス」によって感染する病気です。フンや尿が乾燥して空気中へ舞い上がり、それを吸い込むことで感染する可能性があります。さらに、咬まれたり、傷口へ汚染物が付着したりすることでも発症につながります。
厄介なのは、野ねずみに直接触れていなくても感染するケースがある点です。長期間閉め切った倉庫や山小屋、物置などには、フンや尿が蓄積している場合があります。その状態で掃除や片付けを行うと、病原体を含む粉塵を吸い込むおそれがあります。
代表的なものとして知られているのが、「腎症候性出血熱」と「ハンタウイルス肺症候群」です。腎症候性出血熱では、10〜20日の潜伏期を経たあと、発熱や頭痛、腹痛、背部痛、嘔吐などが現れます。症状が進行すると、腎機能障害を引き起こすケースもあります。
一方のハンタウイルス肺症候群は、風邪に似た症状から始まることが多い感染症です。1〜5週間ほどの潜伏期間を経て発症し、その後急激に呼吸状態が悪化する場合があります。重症化すると命に関わる可能性もあるため、軽視は禁物です。
参照元:「ハンタウイルス感染症(腎症候性出血熱、ハンタウイルス肺症候群)(Hantavirus Infection)」:FORTH
参照元:「ハンタウイルス肺症候群(詳細版)」:JIHS
野ねずみが持つ感染症③:サルモネラ感染症
サルモネラ感染症は、「サルモネラ菌」によって起こる食中毒のひとつです。野ねずみが菌を保有している場合があり、フンや尿によって食品や調理環境が汚染されることで感染につながります。
特に注意したいのは、野ねずみが直接食品をかじっていなくても感染リスクが生じる点です。食品保管庫や屋外の調理スペースへフンや尿が付着すると、調理器具や手指を介して菌が広がることがあります。さらに、感染した人や動物の糞便に含まれる菌が、手を介して口へ入り発症につながるケースも確認されています。
感染すると、腹痛や下痢、発熱、吐き気などが現れます。多くは数日ほどで回復へ向かうものの、子供や高齢者では症状が長引くケースもあります。
参照元:「サルモネラ食中毒」:公益社団法人日本食品衛生協会
野ねずみが持つ感染症④:ペスト
ペストは、「ペスト菌(Yersinia pestis)」によって感染する病気です。現在も世界各地で患者報告があり、野ねずみに寄生するノミを介して人へ広がるケースが確認されています。
特に注意したいのは、野ねずみそのものではなく、「ノミ」が感染を媒介する点です。ペスト菌を持つ野ねずみに寄生していたノミが人を刺すことで感染につながります。
代表的な症状は、高熱や悪寒、頭痛などです。なかでもリンパ節が大きく腫れる「腺ペスト」がよく知られています。さらに、肺へ感染が広がる「肺ペスト」は重症化しやすく、人から人へ飛沫感染する可能性もあります。
現在の日本国内では、ペストの発生はほとんど確認されていません。ただし、海外の一部地域では現在も患者報告が続いています。海外渡航時や野生動物との接触機会が多い環境では、慎重に行動した方がよいでしょう。
参照元:「ペスト(Plague)」:FORTH
参照元:「ペスト」:厚生労働省
野ねずみが持つ感染症⑤:鼠咬症(そこうしょう)
鼠咬症(そこうしょう)は、野ねずみや家ネズミに咬まれることで感染する病気です。ネズミの口の中に存在する細菌が傷口から侵入し、発症につながります。
特に注意したいのは、「小さな傷だから問題ない」と放置してしまうケースです。鼠咬症は、咬まれた直後ではなく数日から数週間後に症状が出ることがあります。そのため、体調不良が起きても原因に気づきにくい傾向があります。
代表的な症状は、咬まれた部分の腫れや発熱、発疹、関節痛などです。症状が進行すると全身へ炎症が広がり、重い合併症につながる可能性もあります。
参照元:「鼠咬症」:MSDマニュアル
野ねずみが持つ感染症⑥:アナフィラキシーショック
アナフィラキシーショックは感染症ではありませんが、野ねずみに関連して起こる健康被害のひとつです。特に、野ねずみに寄生するダニやノミ、咬傷などによって強いアレルギー反応が引き起こされるケースがあります。
アナフィラキシーは、体内で急激なアレルギー反応が起こる状態を指します。重症化すると、短時間で呼吸困難や血圧低下を起こし、命に関わるおそれもあります。
初期症状としては、じんましんや皮膚の赤み、かゆみなどが代表的です。その後、息苦しさや動悸、めまいへ進行する場合もあります。
特に、野ねずみが出入りする環境では、ネズミに咬まれるだけでなく、ダニやノミが人へ移動して刺される可能性も考えられます。「ネズミに直接触っていないから安全」と判断すると、寄生虫による健康被害を見落とす原因になりかねません。
また、野ねずみの死骸や巣を素手で触ると、アレルゲンへ大量に接触してしまうおそれがあります。アレルギー体質の方や、過去に強いアレルギー反応を起こした経験がある場合は、特に慎重な対応を意識した方が安全です。
参照元:「アナフィラキシー/Q&A」:一般社団法人日本アレルギー学会
野ねずみの病原菌はどこから感染する?
野ねずみの病原菌について、確認すべき感染経路は以下の通りです。
- 汚染された土壌から感染する
- 汚染された食品や水から感染する
- アウトドアや農作業で感染する
それぞれ詳しく解説します。
汚染された土壌から感染する
野ねずみのフンや尿によって汚染された土壌は、感染源になることがあります。特に湿気の多い場所では病原菌が残りやすく、見た目だけでは判断しにくい点にも注意が必要です。
たとえば、河川敷や農地、草むらなどでは、野ねずみの尿が土壌へ広がっているケースがあるので、その状態で素手のまま作業したり、傷口がある状態で泥へ触れたりすると、病原菌が体内へ侵入しやすくなります。
また、雨の後は病原菌が広がりやすくなるため、見た目が通常の土であっても油断してしまうと、感染につながる危険があります。
汚染された食品や水から感染する
日本では少ない傾向にありますが、汚染された食品や水を口にすることで感染するケースが見られます。特に野外では、気づかないうちに食材や飲み物が汚染されている状況も想定されます。
例えば、野外で放置された食品は野ねずみに接触されるおそれがあります。また、沢水や井戸水などを未処理のまま飲む行為にも注意が必要です。
「見た目に異常がないから問題ない」と判断すると、病原菌をそのまま体内へ取り込んでしまう危険につながります。
関連記事:ネズミの菌は空気感染する?家に出たネズミを安全に対処するための注意点などを解説
アウトドアや農作業で感染する
アウトドアや農作業では、野ねずみが生息している環境へ入る機会が増えるため、感染リスクが高まりやすくなります。
草むらや河川敷、農地周辺は、野ねずみが身を隠しやすい環境です。見た目には異常がなくても、フンや尿によって土壌や水が汚染されている場合があります。
また、野外で放置された荷物や木材を素手で動かした際に、思わぬ接触や咬傷につながるケースもあります。
「短時間の作業だから大丈夫」と油断して防護なしで行動すると、感染につながるおそれがあります。
野ねずみによる感染を防ぐための対策
単純に「野ねずみを見つけたら避ける」だけでは感染対策として不十分です。なぜなら、野ねずみの病原菌はフンや尿、水や土壌などを介して広がるため、知らないうちに接触しているケースがあるためです。確認すべき対策は以下の通りです。
- 野ねずみとの直接接触を避ける
- フンや尿に触れないようにする
- 汚染された水や土壌を避ける
- 野外では防護対策をとる
まずは、どのような行動が感染リスクにつながるのかを確認したうえで対策を行いましょう。
野ねずみとの直接接触を避ける
野ねずみを見つけても、直接触れないことが基本です。特に、弱っている個体や死骸には病原菌や寄生虫が付着している可能性があります。
「動かないから安全そう」と判断して近づくと、突然咬みつかれるケースもあります。また、死骸にはノミやダニが残っていることもあり、人へ移動することも考えられます。
特に注意したいのは、素手で捕まえようとする行為です。咬傷による感染だけでなく、フンや尿に触れてしまうリスクもあります。野ねずみを見かけた場合は、無理に触れず、距離を保つ対応が重要です。
フンや尿に触れないようにする
野ねずみのフンや尿には、病原菌が含まれている場合があり、乾燥したフンは粉塵として空気中へ広がり、吸い込むことで感染につながる恐れがあります。
長期間使われていない倉庫や山小屋では、フンや尿が蓄積しているケースも見られます。その状態で換気せず掃除を行うと、病原菌を含む粉塵を吸い込むリスクが高まります。
また、「少量だから問題ない」と素手で処理すると、傷口や粘膜から病原菌が侵入する可能性も否定できません。
清掃時は、マスク・手袋を着用し、フンを湿らせてから処理することが基本です。乾いた状態のまま掃除機で吸い込む方法は避けた方が安全です。
汚染された水や土壌を避ける
野ねずみの尿によって汚染された水や土壌は、感染源になるおそれがあります。湿気が多い環境では病原菌が残りやすく、見た目がきれいでも油断できません。
たとえば河川敷や農地、草むらでは、知らないうちに汚染された場所へ足を踏み入れていることがあります。そこに傷口がある状態で泥や水へ触れると、細菌が体内へ侵入するリスクが高まります。
雨のあとも状況は変わりません。水が引いた後でも病原菌が残っている可能性があり、「自然の水だから安全」という判断は危険につながることがあります。
野外では長靴や手袋を使い、生水をそのまま口にしない意識が重要になります。
野外では防護対策をとる
アウトドアや農作業では、野ねずみがいる環境に入ることが少なくありません。そうした場面では、まず防護を意識しておくことが大切です。
草むらや木材置き場、古い小屋などは、野ねずみが潜みやすい場所として知られています。何気なく荷物を動かしたときに、思わぬ接触や咬傷につながることもあります。
それに加えて、見落としやすいのが粉塵です。掃除や片付けを素手のまま行うと、フンや尿が乾いた粉を吸い込んでしまう可能性があります。
作業そのものは短時間で終わることも多いですが、だからといって油断はできません。マスクや手袋、長袖・長靴といった基本的な装備をそろえたうえで、換気も意識して進めた方が安心です。
まずは、その場所に野ねずみの痕跡がないかを軽く確認するところから始めると、無理のない対策につながります。
野ねずみと家に入るネズミの違いとは?
家の周りや畑でネズミを見かけたとき、家の中で見たネズミと家の外で見たネズミは同じ種類なのか迷う場面があります。野ねずみと家ネズミは、見た目よりも生きている場所が違います。
ここからは野ねずみと家ネズミの違いを見ていきましょう。
野ねずみとは?特徴を紹介
野ねずみは、山林や草地、畑など屋外を中心に生活しますが、まれにエサや隠れ場所を求めて家のまわりへ近づいたり、すき間から入り込んだりする場合もあります。
農地や倉庫の周辺に現れ、フンや尿を通じて衛生面のリスクが生じるケースがあります。草むらや木材の影など、隠れやすい環境を好むため、気づかないうちに生活圏の近くにいることもあります。
代表的な野ねずみ①アカネズミ
アカネズミは、山林でよく見られる種類で、木の実や昆虫を食べて暮らしています。夜間に活動する習性を持ち、跳躍力も比較的強いため、地表や倒れた木の上を素早く移動します。
巣は地中に作られることが多く、状況によってはモグラの掘った通路を利用する場合もあります。また、岩陰などの隙間を含め、身を隠せる場所を幅広く活用する特徴があります。
代表的な野ねずみ②ヒメネズミ
ヒメネズミは、森林に多く生息する小型のネズミです。夜行性で、暗くなってから活発に行動します。見た目はアカネズミと似ていますが、体がやや小さく、頭胴長より尾が長い点が特徴です。
また、地上だけでなく木の上でも活動する「半樹上性」の習性を持っています。長い尾でバランスを取りながら、細い枝の上を素早く移動できる点も特徴のひとつです。
代表的な野ねずみ③ハタネズミ
ハタネズミは、草地や河川敷、農地周辺などに多く生息する小型のネズミです。地面に穴を掘って生活する習性があり、植物の根や茎を食べる傾向があります。
また、繁殖力が比較的高く、数が増えると農作物へ被害が及ぶケースもあります。背丈の低い草むらや畑の周辺に潜みやすいため、農地では特に注意が必要な種類です。
関連記事:野ねずみの種類一覧|家に出るネズミとの違いと見分け方を解説
家ネズミとは?特徴を紹介
家ネズミは、人の建物の中で生活するタイプのネズミです。食べ物や水を求めて屋内に入り込み、そのまま住みつくケースがあります。
ここが野ねずみとの大きな違いで、家ネズミは「人の生活環境そのもの」を拠点にしてしまう点が特徴です。そのため、食品の汚染や配線のかじりなど、生活に直結する被害が起こりやすくなります。
代表的な家ネズミ①ドブネズミ
ドブネズミは、下水や床下、排水まわりなど湿った場所を好む大型のネズミです。泳ぎが得意で、水辺周辺でも活動します。
警戒心は比較的弱い一方で、攻撃的な一面もあり、追い詰められると咬みつくことがあります。飲食店やビルの地下、ゴミ置き場などで問題になるケースも少なくありません。
関連記事:《ドブネズミの駆除!》習性や退治方法、費用相場などについてご紹介します
代表的な家ネズミ②クマネズミ
クマネズミは、天井裏や壁の中など高い場所を好むネズミです。体が細く、運動能力が高いため、電線や配管を伝って移動することがあります。
また、警戒心が強く、駆除が難しい種類として知られています。住宅やビルへ侵入すると、配線をかじることで火災リスクにつながる場合もあります。
関連記事:《クマネズミ退治!》習性や駆除方法、費用相場などについてご紹介します
代表的な家ネズミ③ハツカネズミ
ハツカネズミは、体が小さく、狭い隙間にも入り込みやすいネズミです。穀類や植物の種を食べる傾向があり、農地や壁際のすき間でも見られます。
繁殖力が高く、短期間で数が増えるケースもあります。また、小さい侵入口からも入りやすいので、侵入口を見つけにくく、気づかないうちに屋内へ入り込んでいることもあります。屋外でも見られる種類ですが、人の生活圏へ侵入するケースもあるため家ネズミとして扱われます。
関連記事:《ハツカネズミの駆除!》習性や退治法、費用相場などについてご紹介します
野ねずみの病原菌による感染を防ぐために知っておきたいこと
野ねずみは、レプトスピラ症やハンタウイルス感染症など、人へ感染する病原菌を持っていることがあります。特に注意したいのが、フンや尿、水や土壌を介した感染です。ねずみを直接触っていないから安全とは言い切れません。
アウトドアや農作業では、知らないうちに汚染環境へ入り込んでいるケースもあります。防護なしで作業したり、フンや尿を素手で処理したりすると、感染につながるおそれがあります。
感染を防ぐには、マスクや手袋、長袖などの防護対策を組み合わせることが大切です。フンや尿を見つけた際は、換気を行ったうえで慎重に処理しましょう。
「少しだけだから問題ない」と油断すると、思わぬ感染につながることもあります。作業を始める前に、フンや足跡など野ねずみの痕跡が残っていないかを確認しておくと安心です。
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