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着物を着る際に左前はダメ!右前にすべき理由と簡単に覚える方法

公開日:2021.11.1 更新日:2024.4.9
着物を着る際に左前はダメ!右前にすべき理由と簡単に覚える方法

着物を着る際に、「左前と右前どっちだったっけ」と悩んでしまうことはありませんか。洋服の着用が一般的になった現代の生活では、着物の着方があやふやになることが多いでしょう。本記事でフォーマルな場面で恥ずかしい思いをしないために、正しい着物の着方を押さえておきましょう。

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1. 着物を着る前に覚えておきたい専門用語

着物における基本的な用語を紹介します。

着物の着付けを行っている写真

着物の着方など基礎知識を習得する場合は、専門用語についてきちんと理解しておく必要があります。洋服の着用が一般的な現代社会では聞きなれない言葉が多いので、覚えておきましょう。

・上前(うわまえ)
衣服を着用される際に、前を合わせて外側になる箇所

・下前(したまえ)
着物を着用される際に、前を合わせて内側になる箇所

・衿(えり)
首周りにある、前胸元で交差している細長い箇所

・衿先(えりさき)
衿の先端部分

・衿幅(えりはば)
衿の大きさ

・掛け衿(かけえり)
衿に汚れが付着するのを防ぐため、衿の上に付けるもの

・衿下(えりした)
衿先から褄先にかけての総称

・袖幅(そではば)
袖の長さ

・袖口(そでぐち)
袖から腕が出ている箇所

・袖丈(そでたけ)
袖の長さ

・袖山(そでやま)
袖の前と後ろの折り目になっている箇所

・裾(すそ)
腰から下までにかけての総称。もしくは着物の下の縁

・褄先(つまさき)
衿下と裾がちょうど重なる箇所

・背縫い(せおい)
背中の中心にある縫い目

・身頃(みごろ)
衿や袖などを除いた、体の前面・背面を覆っている箇所

以上の基本的な用語を覚えておけば、着物の着方で困ることはないでしょう。後は実際にご自分で着用してみて、該当箇所を確認しておく必要があります。

2. 着物は左前で着てはいけない理由

着物を着る際には、「右前」に合わせておくのが正しい着方になります。これは浴衣のような比較的カジュアルな和装を着用する場合も同じです。

着物を整えている写真

実際に着物を着用する際、初めに左右の身頃を両手で持って、体の正面で合わせます。そしたら右側の身頃を体に巻きつけ、次に左側の身頃を重ねます。「右前」とは、「右の身頃が手前に出る」ところからきています。

現在のように右前が常識になったのは、719年のことであり、それまでは着物に関する特別なルールは存在しませんでした。当時の元正天皇の命で「衣服令」が発せられ、衿は先に右を合わせなければならないという決まりができました。これ以降は現代まで着物は右前というのがすっかり常識として定着しました。

一方で、左前というのは亡くなられた方が着用される着物の着方になります。かつては人が亡くなった場合、その人は神仏に近い存在に代わると言われてきました。こうした考えに基づいて、死装束を左前に合わせるという風習が始まったという説があります。こうしたことを受けて、「着物を左前に着ることはよろしくない」という考えが常識として定着しました。

以上のことから、着物を着用する時はすべて右前ということになります。

3. 男性が着物を着る時は?

普段から着ている洋服ですと、Yシャツであれジャケットであれ、男女によって合わせ方が違います。

竹林に立つ着物を着た男性の写真

ボタンをかけようとすると、男性は左側が上に、女性であれば右側が上に来るようになっています。

こうしたことから、着物の前合わせも「男女によって異なるのでは」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、着物ですと「男女問わず着物を着用する時は右前」というのが決まりになっています。

女性の場合ですと、洋服と着物で勝手が異なり、紛らわしいものの、男性であれば洋服も着物も「右側」と認識しておけば問題ありません。これは浴衣を着る際も同様になります。男性であれ、女性であれ、正しい着物の着方をマスターしておくことに越したことはありません。

立場やその時の状況によりますが、着物のマナーはその人の印象を大きく左右します。万が一それを犯してしますと、ご自分だけではなく、周囲の人に恥をかかせる結果にもなることもあるでしょう。

左前に着ることは、死装束を連想させてしまう原因となりますので尚更です。特にフォーマルなシーンではマナーが重要視されますので、正しい着方を理解しておく必要があります。着物の常識をしっかり理解しておけば、周囲からの好感度も上がります。

4. 簡単に着物を着る方法

着物を着こなすにあたっては、着付けの仕方を身に付けることが大切です。

着物の帯を整えている写真

ここでは簡単に着物を着るための方法を解説します。

1.事前準備
着物はとてもデリケートで、ちょっとした汚れやホコリが付着してしまうことがあるので、念のため手を綺麗にしておきます。着物は汚れを防ぐために、衣裳敷(着物の下に敷いておく紙)を広げ、その上に置いておきます。

2.足袋を履く
最初に足袋を履いておきます。この時片手で袖を押さえ、もう片方の手で上前を押さえつつ足を入れていくと履きやすいです。

3. 肌着を着用する
次に肌着を身に付けます。

4.補正を行う
着物を着た時に形が崩れないように補正を行います。腰回りに腰パッドを巻きつけておくといいでしょう。パッドはなるべく伸縮性のあるものを選ぶことをおすすめします。

5. 長襦袢を着用する
<手順>
①長襦袢を後ろから肩にかけ、袖を通します。
②衿先を持ち、背中心にて合わせます。
③衣紋をこぶし程度の大きさで抜きます。
④右衿、左衿の順に衿を合わせます。
⑤腰紐で押さえ、伊達締めをしめます。

6. 着物を着用する
<手順>
①着物を羽織って、背縫いを合わせます。
②裾線と衣紋を決めます。
③下前と上前を合わせ、腰紐をしめます。
④おはしょりを整えます。
⑤衿幅を折って、胸元を整えます。
⑥胸紐や着物ベルトなどで押さえます。
⑦伊達締めを行います。

7. 帯を締める
ひと巻きごとに引きしめつつ、巻いていきます。

8.完成

5. 着物を綺麗に着こなすコツ

着物を綺麗に着るにあたっては、いくつか押さえておきたいポイントがあります。

着物の紐を整えている写真

これらを覚えておくことで姿をより綺麗に見せることができます。長襦袢や浴衣でもやり方は同様であり、応用が利きます。

①裾
右前は少し持ち上げて、裾を気持ち短くします。その後で左前をかぶせると、裾から右前が見えないだけではなく、裾が広がることがないため、着物が綺麗に見えます。

②袖
袖については少しゆったりしていると綺麗に見えます。こぶし程度の間隔を開けて着ると見た目が美しくなるでしょう。またゆったりとした感じを出すことで、エレガントさを引き立ててくれます。

③背縫い
また背中の中心部にある縫い目が背中の中心を通るようにすることが、着物を着た姿がより綺麗に映ります。左右の身頃を持って前で合わせておき、縫い目がしっかりお尻の中心部にきていることを確認しておきます。

④帯
帯揚げを行う際にはあまり出過ぎないように注意します。結び目が3~4センチの幅で四角くなるよう整えると、しわが目立たなくなります。そして帯揚げは目立たなくするのがコツです。前からは見えないように帯の中に入れておきます。こうすると、外見から上品な印象を与えることができます。

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