着物保存で役立つ情報を紹介します
公開日:2021.11.19 更新日:2024.4.5
着物は湿気にとても弱いです。湿気の多いところだと、着物にカビが生えやすくなって、着物を傷めてしまいます。日本の風土は多湿なので、長期間保管されていると、どうしてもカビが付きやすい環境になってしまうのです。
この記事では、着物を保存する際の役立つ方法をご紹介したいと思います。
着物は湿気にとても弱いです。湿気の多いところだと、着物にカビが生えやすくなって、着物を傷めてしまいます。日本の風土は多湿なので、長期間保管されていると、どうしてもカビが付きやすい環境になってしまうのです。
この記事では、着物を保存する際の役立つ方法をご紹介したいと思います。
桐タンスは着物や衣類を保存するのに一番適していると言われています。桐タンスは雨の日に開けにくく、天気のよい乾燥した日には、すーっとあきます。
湿気の多いときに膨張した桐タンスは、タンスの気密性を高めるので、外気の湿気が入りにくくなり、着物に余分な湿気が含まれにくくなるわけです。それで着物は余分な湿気をためることなく、カビの発生を予防できるというわけです。
逆に、湿度が低くなるとタンスが収縮し、隙間ができます。するとタンスの中に、湿気を取り込みやすくして、自動的にタンス内の湿度が一定の範囲で保たれることになり、カビの発生を防ぐことができるのです。
また桐の性質として、防湿効果、抗菌効果、保温効果、腐食に強い、難焼性の五つの性質があります。軽くて軟らかい桐材は腐りやすいと考えられがちですが、実は極めて腐りにくい木材です。それは桐材に多量のタンニンが含まれるからです。その為、桐のタンスは長い間使用可能なのです。桐は他の木材に比べ、着火点、発火点が高いため、燃えにくいです。これは、桐自体の吸湿性が高く、水分を含むことにより膨張し、内部への熱を遮断する為と考えられます。
たとう紙とは、簡単にいうと、着物を包んでしまうものです。和紙でできていて、通気性がとても高く、除湿効果も高いので、着物を包んだりする目的などで用いられます。
たとう紙を着物の保管に使用するメリットは、なんといっても湿気の予防です。湿気やカビを防ぐだけでなく、布地にシワをつきづらくしてくれます。
また、たとう紙は、タダ同然で手に入るだけでなく、着物を買った際についてきますし、呉服店でも安く購入できます。糊がついた薄い紙は、虫食いの原因になります。たとう紙は虫食い防止にも効果が高いですが、たとう紙に保管していても着物が虫に食われる、といったケースがあります。この原因は、たとう紙の中についている糊とされていて、虫の大好物なのです。この糊は、たとう紙の中で着物を包んでいる薄紙についていることがあるので、大切な着物を保管するときは薄紙は取りましょう。
たとう紙は着物の保管以外にも、着物の価値を証明することもあります。有名なブランドは、ニセモノも流通することがあり、プロでも見分けが困難な物もあります。これを防ぐため、有名呉服店がオリジナルの刻印つきのたとう紙を使い始め、たとう紙のオリジナルの刻印で、その着物が本物かニセモノかわかる証明手段になったのです。
収納するときは防虫剤や乾燥材を使うのがオススメです。着物用の防虫剤には、たとう紙の中に一緒に包むシートタイプのものや、着物と一緒に収納容器の中に置くタイプのものなどがあります。
また、防虫剤は製品によって含まれている成分が異なります。薬剤の異なる防虫剤を併用すると、薬剤が溶けてシミがついたり変色することがあります。無臭のピレスロイド系以外の防虫剤を使うときは、ほかの薬剤との併用を避けてください。
その他は、ムシューダという商品の和服用がおススメです。和服の上にのせる薄いシートタイプの防虫剤で、防虫効果が1年間持続しますし、取り換え時期の目安になるおとりかえシール付きです。成分がピレスロイド系といい無臭性の成分です。衣類ににおいがつかないので、出した後にすぐ着用できます。
防虫剤を使用する際は、ほとんどの製品が和紙などで包んでありますが、絶対に中の薬剤が直接衣類に接触するような使い方は避けて下さい。一発で変色などしてしまいますよ。それから、揮発するときに発生するガスは空気よりも重いので、防虫剤はなるべく箱の上側に置きます。引き出しの底に敷き詰めてもあまり効果ありません。
虫干しは着物を湿気から守る大切な作業となりますが、着用時に気づかなかった汚れや傷みの点検にもなり、ご家庭でできる最適なお手入れなのです。
しかし着物を干してしまうと、後片付けが最大の難所。昔に畳んだことはあるが何十年もの間、着物から遠ざかっていると忘れてしまうものです。畳み方をネットで検索しながら畳んで収納することはできますが、虫干しを代行できる専門店もありますので、仕事の忙しい方には便利なサービスです。
虫干しには適切な時期があり、それは梅雨の開けた7月末から8月、秋晴れの10月頃、一番寒い2月頃が最適だと言われています。時期も大切ですが時間も気にしなくてはなりません。湿気の多くなる朝と夕方は避け、10時ごろから15時ぐらいまでが最適です。
最近の住宅は独立している部屋が多く着物を干す場所がありません。着物も長いので高所にハンガーをかけないと着物の裾が床について汚れてしまい厄介なのです。一度に何枚もの着物を干すことは不可能ですので、タンスの引き出しをひな壇のように開けて年に4,5回はチャレンジしてください。引き出しの底に入っている着物は上の着物と入れ替えたりしながら空気の入れ替えをして下さい。
桐タンスは、湿度が高くなると湿気を吸収して膨張し、湿度が低くなると湿気を放出して収縮できます。カビの発生も防ぐことができるので、着物の保存に一番適しています。
桐タンスは湿気の調節をしてくれること以外にも、桐自体が虫が付きにくい、燃えにくいという特性もあります。虫がつかない、燃えにくい、どちらも大切なものを入れておくのに大事な要素です。
また、虫を寄せ付けなくするために、乾燥した季節には湿気をとばし着物を乾燥させるために虫干しする事も大切です。