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中空重力式コンクリートダムとは?

公開日:2021.11.12 更新日:2024.4.3
中空重力式コンクリートダムとは?

中空重力式コンクリートダムに関する様々な情報を簡単に解説します。このダムが担っている役割や必要性などを分かりやすくお伝えしていきます。また重力式コンクリートダムを含む他の種類のダムとの違いや、実際に建造されている場所なども紹介しますので興味を持つきっかけになれば幸いです。そして現在なぜ中空重力式コンクリートダムが造られなくなったのか、どこに問題点があったのかを考えていきます。

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1. 中空重力式コンクリートダムの役割①

中空重力式コンクリートダムの役割その1。低いコストで設置できる

中空重力式コンクリートダムの写真

このダムの役割はコストを削減したことにより、建造を容易にした事です。中空重力式コンクリートダムの見た目や機能はほぼ重力式コンクリートダムと同じなのですが、内部が空洞化されています。

ダムが多く建造されていた1950年代から1960年代はコンクリートの価格も高く、それを運搬するすべも限られていました。その結果、費用が高くなりダムが必要な地域にあまねく建造することが出来ませんでした。

それを解決してくれたのがこのダムです。内部を空洞化することによりコンクリートの使用量を減らすことができ、それに伴う運搬費も削減できました。

さらに重力式コンクリートダムと比較して接地面を広げたため安定性が増しました。貯水量も多いので農業用水や水道水の確保にも大いに貢献しています。資材の運搬が少なく済むという特徴から静岡や山形、岐阜などの険しい山の中に多く設置されています。

このダムは上記でも紹介した通り、1960年代には非常に活躍したものの、それ以降はコンクリートの値段の低下などにより建造されていません。また内部を空洞化させるために構造が複雑化し、それを造るための人件費が高騰したこともあって、今後造られることはないでしょう。それでも中部地域にお住まいの方にとってはなくてはならないダムです。

2. 中空重力式コンクリートダムの役割②

中空重力式コンクリートダムの役割その2。一級河川の氾濫を防止

水のイメージ写真

このダムの役割を考える上で無視できないのが建造されている場所です。

中空重力式コンクリートダムの主な設置場所は、静岡県、岐阜県、山形県、高知県です。これらの県で共通しているのが大規模な一級河川があるという事です。静岡県は大井川、山形県は最上川、岐阜県は木曽川、高知県は吉野川。どの川も川幅や長さ、水量などでランキング上位に位置している川ばかりです。

このような大きな川では昔から大雨や台風による洪水被害に悩まされていました。農作物はもちろんのこと、時には多くの人命が犠牲になりました。それらの被害を軽減する役割を持って建造されたのが中空重力式コンクリートダムです。

前項でも説明した通り、このダムは資材の運搬が容易ですので、上記の川の源流である険しい渓谷にも対応していました。もしこのダムが建造されていなければ、未だに水害に悩まされていたことでしょう。

このダムの役割としてもう一つ紹介するのが、水力発電です。静岡県にある畑薙第一ダムの発電量は完成時で137,000キロワットもありました。この電力は約8,000世帯分に相当します。普通に流しているとただの水も、ダムを活用するだけでこれだけの電力が賄えるのは凄いことですね。

3. 中空重力式コンクリートダムの役割③

中空重力式コンクリートダムの役割その3。観光資源としての活用法

山に囲まれたダムの写真

このダムは日本にわずか13基しか存在していません。しかも新規で建造されることはありませんので、希少性が非常に高いです。そのため一部のダムマニアだけでなく、一般の方も多く訪れています。

またダムの内部が見学できるのも中空重力式コンクリートダムの特徴で、各ダム共に積極的に観光ツアーを企画されています。

畑薙第一ダムでは、南アルプスの登山とセットになったツアーも大人気です。

ダムがある自治体と言うのは基本的に山奥で、これという観光地も少ないので、財政が逼迫(ひっぱく)していましたが、現在ではダムが集客の役に立っています。

その他にもダムの内部でのコンサートが大人気です。コンクリートの中で演奏をすると他の場所では感じることが出来ない残響音が経験できると大好評。コンサートやツアーは個人でも気軽に参加できますので、未体験の方はぜひ一度お試し下さい。

このようにダムの役割と言うのは時代と共に変化しています。洪水被害を出さないための治水や生活のための貯水はもちろんですが、観光地としての役割も持ちつつありますし、自然との調和も大切になってきます。百聞は一見に如かずとも言いますので、私たちの暮らしを守っているダムを知っておくだけでなく、実際に見てその役割をお確かめください。

4. 中空重力式コンクリートダムの建設事例

中空重力式コンクリートダムが建設されている事例を分かりやすくお伝えします

放水されている中空重力式コンクリートダムの写真

このダムの建設事例で最初に紹介するのは井川ダムです。

このダムは日本で初めての中空重力式コンクリートダムで、5年間の建設期間を経て1957年(昭和32年)に竣工しました。

ダムの内部が見学できることはもちろん、すぐそばに建っている井川展示館では、ダムや水力発電の仕組みや完成までの記録なども見ることが出来ます。

次に紹介するのは北海道内にひとつだけの中空重力式コンクリートダムの金山ダムです。この方式でのダムの中では国内で総貯水容量が最大でダム湖も一番大きいです。

すぐ近くにキャンプ場もありますので、夏場の避暑地としてもおすすめ。カヌーや釣り、花火大会も企画されていますので、ご家族での夏休みの思い出作りにもぴったりです。生態系も豊かなので自由研究の題材にも事欠きません。ただしダムを含めた周辺エリアは非常に人気のスポットですので、じっくりダムを堪能したい方は夏以外の時期に行きましょう。

建設事例で最後に紹介するのが、穴内川ダムと大森川ダムです。二つとも四国に存在するダムなのですが、到着するまでに相当苦労します。他のダムとは違い、観光地化されていませんので、未舗装の道路を走行することも。しかし苦労していくだけの価値は十分にあります。大森川ダムは日本の中空重力式コンクリートダムで2番目に古く趣があり、穴内川ダムでは大型のヘラブナを狙う事が出来ます。

5. 中空重力式コンクリートダムのまとめ

中空重力式コンクリートダムに関する様々な情報のまとめとポイントのおさらい

放水されている中空重力式コンクリートダムの写真

このダムに関する情報をお伝えしてきましたが、最後におさらいも兼ねてポイントを紹介します。

まず、中空重力式コンクリートダムは内部を空洞化させることにより、コストが削減され、当時は従来のダムよりも安価で建造することが出来ました。

しかし現在はさらに効率がいいダムがありますので、現存の13基以外は建造されることはないでしょう。

ダムの内部を見学することも出来ますので、まだ見たことが無い方は一度は大迫力をご経験下さい。

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